上手くいかない現実

「ぐぁぁー」


「ちょっと美伽さん、原稿が書けないからって奇声をあげないで下さいよ。近所迷惑になりますよ。」


「仕方ないじゃないじゃないですか…ほんとに悩んでるんですよ。」


この人は不幸にも私の担当になってしまった編集社の木島さん。

今日もこんな狭いアパートまでご苦労様です。


「でも本当に。困りましたね。今月もまた部長に怒られる事になりそうです。」


ぐっ。胸が痛む。


「本当ににごめんなさい。でも…。」


「わかってますよ。美伽さんが本気で書こうとしてるのは。」


優しくされると余計に申し訳ない。

木島さんが優しすぎるのも、私の悩みの1つかもしれない。


結局今日も、こんなペンが滞る状態が続いた。夕食時には木島さんも帰り、静かで狭いワンルームに私だけが残る。

夕食に自炊するか一瞬迷うも、結局は近所の弁当屋に行ってしまう。

夕食を済ますと、私はいつも布団へ向かう。

疲れてるわけじゃないんです。

ただ、早く眠りたい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る