アンタレスストロベリーエアー

神城 希弥

アンタレスストロベリーエアー

 今日の主役は俺、はやし すぐる。今年で10才になる。


 平日だが、都民の日で学校は休みのため俺はゆっくり過ごしている……はずだった。

 母が俺がいるからと鍵を閉めなかったようだ。おかげで顔見知りのクラスメートが3名ほど俺の家に入り込んでしまったではないか。

 来たのは宍倉ししくら 晴翔はると赤星あかぼし 元太げんた脇谷わきや 空雅くうがで、どんな人だったかは覚えてないが、3名とも誕生日係を担っていた記憶がある。

 誕生日係は、人の家に押し掛ける感じなんだと認識を改めなければならない。


 彼等は我が家を軽く周り、玄関からすぐのリビングで彼等が買ってきたケーキを開け、俺が取皿とフォークを人数分運んでいた時に事件は起こった。


「嘘じゃろ。今日曇りかい」

 日光が雲に食われ、宍倉は空を見ながら悲しんでいた。


「ん? 脇谷の持ってる紙なに?」

 首を傾げる脇谷。ケーキの箱に下敷きにされていたらしい。二つ折りになっていて、開いたら名刺くらいの大きさの紙だった。


「ちょっと貸してみろ」

 勢いよく赤星が紙を取り上げ、その紙を開いた。

 そこには『アンタレスストロベリーエアー』とカタカナで書かれていた。


「アンタレスは蠍座の事じゃろ? じゃけん蠍座の人が関係あるん」

 宍倉が自信満々に言う。

 だが俺は天秤座だし、他の人も違うらしい。


 どうでもいいけどケーキ食べたい。キッチンから包丁を持ってきて帰ってきたら脇谷が喋っていた。

「これアンタレスは赤い星だから赤星。ストロベリーはそのまま苺で、エアーは空気なんじゃないかなと」

「え? 俺かよ。でも意味わかんなくね? 赤星苺空気って……。あ!」


「「赤星、苺食う気か!」」

 皆が解決した顔をしていたが、俺は疑問が出てきた。

「でもこれって誰が書いたんだろうな?」

 包丁を持ちながら喋ったからなのか、皆びっくりした顔で俺を見ていた。


 そしたら脇谷がまた喋り始めた。

「これ星に詳しくないとかけないよね。だからアンタレスを蠍座って知ってた宍倉君かなって思う。さっき天気気にしてたし」


 脇役の脇谷君、実は探偵志望らしい。

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アンタレスストロベリーエアー 神城 希弥 @kohasame

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