姉妹
あれから一晩が経ち、俺たちは再び王城へと来ていた。
「おはようございます。昨日ぶりですね。」
「うむ。よく来てくれた。昨日伝えたとおり、お主に私の娘2人を鍛えて欲しいのだ。2人とも良い子なのじゃがなぁ…片方は性格が、片方はスキルが発言しなくての…。帝都のダンジョンで実戦経験を積めば少しは変わると思うのじゃ。だから、よろしく頼ぞ。レイ」
「分かりました。」
「それと、じゃ。昨日こちらからも護衛をつけると言ったじゃろ? あと少しで、娘たちを連れて来るはずじゃ。」
「なんで私が指導なんて受けなければならないわけ?無能な冒険者に教えてもらうことなんてないわっ!」
「…ですが、姉様。相手はかなりの実力の持ち主らしいですよ?」
「スキルのひとつも使えない無能が私に指図するんじゃないわよ!」
「落ち着いてください姫様。シャルロッテ様がお決めになられたことです」
遠くから声が聞こえてきた。
ドアが開かれる。
2人の少女。1人は、黒髪に翡翠色の目のした少女。
もう1人は、赤色の目をした気の強そうな少女。
「ほら! 見なさいよ。見るからに弱そうじゃないっ!」
「お姉様落ち着いてください…」
「だから、黙りなさい! それにお母様。なぜ私がこのようなみすぼらしい男に指導を受けないといけないのですか? 」
「それが分からないようでは、お前もまだまだじゃの。妾が決めたことだ。異論は認めん」
「ぐっ…、わ、分かりました…」
「紹介がまだであったな。翡翠色の目をしているのが妹のスレア。赤色の目をしてるのが姉のレイナじゃ。そして今回の護衛を務めるエルザじゃ」
「お願いします… スレアと言います。よろしくお願いします」
「……」
「よろしくお願いします。私はスレア様とレイナ様の護衛を務めているエルザと申します」
エルザさんは、金髪にキリッとした目をした美しいひと段落だった。
「お願いします」
当たり障りのない返事を返し,ちらっと姉の方――を見る。
姉のレイナは相変わらずぶっきらぼうな様子だ。
「ところでシャルロッテ様。今回はどちらに向かえば良いのでしょうか?」
「ふむ今回お主達に行ってもらうのは帝都のダンジョンじゃ。
スレアとレイナの2人に実戦経験を積ませるのが目的じゃな。何か質問は?」
「どの程度のダンジョンに潜ればいいのでしょうか?」
エルザが質問する
「期限については1ヶ月程度を予想しておる。レイ。お主も何か質問はあるか?」
「いえ。今のところ大丈夫です」
と軽く返事を残し、俺は部屋を去った。
――――――――――――――――――――――――
次の日、俺達は帝都のダンジョンの付近で集まっていた。
こち側が、俺・セレナ・シルビィに、スレア、レイナ、エルザの編成だ。
「ところで、エルザさんは近接職ですか?軽装に見えますが」
「あぁ。まだ説明していませんでしたね。私の職業は
(…聖霊騎士か。かなりの激レア職だな。伊達に、近衛部隊に入っているわけでは無いんだな…)
「では、とりあえずウォーミングアップがてら、狩りに行きましょう」
あまり、グダグダと話していても進展がないのでとりあえずダンジョンに入ることにした。
今回入るのは、帝都でも比較的難しい部類に入るダンジョン――
中級ダンジョンに分類される中でも難しいと言われている。入場には冒険者ランクがC + 以上出ある必要がある。
いわば、――上級ダンジョンへの登竜門
俺達がいればさほど問題はないだろうという事で,ここに決まった。
――――――――――――――――――――――
“ザシュッ” “ザシュッ!”
犬型の中型魔物―― ガルム
中級ダンジョンの看板モンスターとも言えるモンスターだ。
個々の戦闘力はもちろんのこと、群れで連携を図ってくる非常に厄介なモンスターだ。更に、厄介なのはそれぞれの群れごとにリーダーが存在しており,指揮をとってくるのだ。
ガルム単体であれば,Dランク。群れであればCとかなり厄介なモンスターだ。
ベテランのパーティーでも侮れない代表格のモンスター。
俺達は、基本的には手出しをせず見守っている。
赤目,赤髪の少女――‘’レイナ” はどうやら実力はあるみたいだ。
(ただ。まだ、荒削りなところがあるな…)
それでも、彼女がこの歳でこれだけの実力があるのは驚くべきことだった。
(問題は…)
「はぁ…はぁ…」
妹の方のスレアの方だ。一応,俺が援護をしているがそれでも不安を拭えない。
一応補助魔法をかけているが、やはり負担が大きそうだ。
ひとまず群れの殲滅を終えたので,そろそろ切り上げ時だ。
(スレアの方をどうするかだな…)
素材の剥ぎ取りを終え、入口を目指して歩き出す。
“グルガァァアアァァッアアァァ!”
「…ッ!?」
遠から聞こえてきた遠吠え。心臓を握りつぶすかのような重低音
「一旦出口へと向かいましょう」
エルザさんも同じ意見のようで、直ぐに出口へと歩き始めた。
――――っとその時
「伏せろっ!」
背中に悪寒がしたので、みんなを地面に伏せさす。
「直後,風の刃が唸るように頭上を通り過ぎていった。
――いや。 か普通のガルムでは無い。黒鉄色の毛に、
巨大な牙。
ガルムキングの変異種……“ブラック・ガルム”
――そのランクはA
「セレネ守りは任せたッ!」
「ん!」
距離を詰め、脳天に拳を叩き込むと、即座に魔法を打ち込む。
「
正面から一撃を受けのけぞったが, 魔法は少し表皮を焼いただけだ。
魔力の流れを感じ、一旦下がる。
“ブワッ!”
炎が一面を覆い尽くす。俺は熱波を収納し,セレネは障壁で攻撃を防いでいてくれるようだ。
「加勢します。レイ殿。」
護衛のエルザさんも攻撃へ加わる。
「
エルザさんの身体を紅の炎が纏い、ガルムを飲む混む。 だが,やはり効果があまりない。
「ガァっ!」
単調な火の玉が数発飛んでくる。
微かな違和感
こんな単調な攻撃をしてくるのには何か別の狙いがあるように思えた。
だが,そのまま食らうわけにも行かないので大人しく避け――――――――
直後,背中に悪寒が走る。
左に避けようとしたが,後ろに進路変更をする。すると,避けようしていた場所が爆ぜる。
「ッ! 簡単な攻撃で逃げ道を誘導して,油断したところに本命の一撃を当てる…って言ったところか。だが,二度目は食らわない。これで終わりだ」
距離を詰めると、炎と風を纏う爪による攻撃を皮一枚で避ける。
「――――ここだっ!」
奴が無防備になったその瞬間を見逃さず,奴の目に魔剣を突き刺す。目に突き刺した魔剣は,そのまま脳まで届き完全に届いた。
身体がコントロールを失い,倒れる。
「剥ぎ取りは私がします!」
スレアが自信満々な様子で名乗りです
「いい機会なので、剥ぎ取りは任せます」
スレアに剥ぎとりを任せる
「お疲れ様です。レイ殿」
エルザさんがこちらへと歩いてくる
「お疲れ様で………」
――――直後、死んだはずのガルムが黒い霧を纏い動き始める。
今剥ぎ取りをしようと近づいていた黒髪の少女、スレア。
少女へと振り下ろされた爪。
「甘い」
魔剣で爪を防ぎ、腕を切り飛ばす。今度は完全にとどめを刺した。しばらくして黒い霧が四散した。
すると、淡い光を放ち始める。段々と光が強くなり始める。
(……これは。 ……ッ!まずい!)
「自爆だ!! 伏せろっ!」
直後、閃光が一面を飲み込んだ。
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