また会えるさ。必ず。
次の日、僕達はギルドに立ち寄っていた。
素材の換金と、次の目的地への地図を貰うためだ。
事前に鑑定に出しておいたので、お金の受け取りはすぐに済むはずだ。
しばらくして、受付の人が声をかけてくる
「おはようございますレイさん。奥の部屋へと案内するように言われてます」
言われたとおり、ギルド長の部屋まで案内された。
受付嬢が、ノックをする
「ギルド長。レイさんを連れてきました」
「お疲れ様。入ってくれ」
言われたとおり入室すると、机の上にお金が置いてあった。
「改めて、今回のスタンピードは助かった。その袋には報酬と素材のお金が入っている。次の行先はどこにするんだ?」
「次は、サエスタ帝国に行こうと思ってます」
「サエスタ帝国ならダンジョンも沢山あるからレベル上げにも最適だな。あちらのギルマスには私から話を通しておいた。着いたらこの手紙を渡してくれ」
「ありがとう。世話になったな」
「なんてことないさ。また朝顔出してくれよ」
「あぁ。また出すさ」
ギルドを出た俺たちだが、1度宿に戻った。
あることを試していなかった。そう。【
「…ん レイついに使うの? 楽しみ…」
隣で、セレネも興奮気味にはしゃいでる
「
ボーションをがぶ飲みしながら、スキルを使用する
暫くすると、銀色の卵が出現した。
さらに、魔力を注いでると卵が光り、閃光を撒き散らした。
暫くして目を開けると、そこには銀翼の翼に、白金色の鱗をしたドラゴンが浮遊していた。
種族:銀翼龍 LV1
HP:780
MP:1270
力:980
防御力:1250
俊敏:720
精神:830
【ユニークスキル】
・人化
・
「…ん レイこの龍可愛い」
セレネは頬を緩ませながら、召喚された龍をつんつんと指でつついている
「名前をどうするかだなあ… うーん。シルビィとか良いんじゃないか?」
“ピィ~っ!ピィピィ”
どうやら気に入ってくれたみたいだ。
「そういえば、シルビィは人化できるの?」
“ぴぃ!”っと鳴いた後体を淡い光が包んだ。そして…
「こちらの姿を先に見せるべきでした。改めて、よろしくお願いします。ご主人様」
白ががった銀髪に、ショートカットの美少女が姿を現した。
「力を温存するためにも、基本は龍のままで活動させていただきます」
そう告げると、再び龍の姿に戻った。
思わないところで、新たな仲間ができた。
宿でのんびりしていると、いい時間になってきたため、指定の場所へと向かった。
広場へ着くと、そこには懐かしい美少女がいた。
「……良かった。生きてた…」
そう。幼馴染のウィリアだ。
彼女はこちらへ歩み寄ってくるや否や、木刀を渡してきた。
「ああ。無事さ。最後に…決着をつけておこう」
真剣な眼差しで、こちらを見据えてくる
「もちろん」
既にウィリアは戦闘モードに入っていた。
先に動きだしたのは、ウィリアだ。
一瞬で距離を詰めてくる。上段からの袈裟斬り、なぎ払い、下段からの逆袈裟斬り、突き…
ウィリアの猛攻を落ち着いて難なく防ぐ。
斬る。突く。薙ぐ。払う。
動きを見切るために、しばらく攻撃を凌いでいると、ウィリアの身体が淡く発光し始めた。
聖騎士のスキルを発動したのだろう。俺が知らない間に新スキルを身につけたのだろう。
だが、俺の方がステータスでのアドバンテージがあるので、余裕はある。まずは落ち着いて相手をよく観さ……
ウィリアの身体がブレたと思った直後、脳が警鐘を鳴らした。直感的に木刀を斜に構えてしっかり踏ん張る。
“バシュッ!” “ズドンッッ!”
「がっッ! がはアッっ…」
1度目が 不可視の飛ぶ斬撃、そして2度目は全身に踏んだんのバフをかけた状態での一撃。そして、斬撃が爆ぜる。
初撃の斬撃で体制を崩され、そこにバフを上限までかけた状態での攻撃。更に、斬撃が爆ぜることによる追加ダメージ。
ステータスで言えば、かなりのアドバンテージがある。しかも防いにも関わらずHPが2割も削られた。
固定ダメージと、追撃による連撃による、高度な連携技。
どうやら、成長しているのは、俺だけでなはいようだ。
さすが、聖騎士…と冷や汗が頬をつたる。
だが、あれだけの一撃をノーリスクで打てるはずもなかった。ウィリアは力尽きて、その場に倒れ伏している。
「…俺の勝ちだウィリア。立てるか?」
勝ちを宣言し、力尽きているウィリアに手を差し伸べる
「うぅ…無理そう…」
倒れ伏したまま、唸っているウィリアをおんぶする。
「ガルシュさんそこにいるんでしょう? そろそろ出てきてくれてもいいんですよ」
「がははっ 気配を消していたんだが、気づかれたか」
先程から気配を消して、俺とウィリアとの戦いを見ていた近衛騎士団の団長ガルシュさんが、角から姿を現す。
「最後に別れの挨拶でもしておいたらどうだ?」
広場の時計へと目を向けると、確かに馬車の到着までもう時間が無い。
僕は頷くと、ウィリアを見る
「ウィリアにはお世話になりっぱなしだった。ありがとう。帝国に行くけど、また王国にも戻ってくるから、その時はまた手合わせしような。それと…これあげるよ。僕からのプレゼント」
そう言って、奈落のモンスターの素材から作ったネックレスを渡す。
「即死耐性とMP回復力上昇 の効果が付いてるんだ。ウィリアを守ってくれるよ」
「……ふふっ ありがとう… 嬉しい。 大事にするわ!」
ウィリアも感極まった表情を浮かべている。
「…ん ウィリア… レイは私が守る。任せて」
「ウィリア殿。 私もご主人様を守るとお約束します。ですので、御安心してください」
セレネもシルビィも真剣な眼差しで、ウィリアを見ている
「うん。セレネちゃん、シルビィちゃんレイの事任せるね。あっ…それと レイってたまに夜ゴソゴソしてるからその時はそっとしてあげてね」
「おいこら。何勝手に吹き込んでるんですかッ? てか、……ってか、それはどう言う、、」
俺の全力のツッコミをウィリアは華麗にかわして、話を続ける
「ふふふ。 まぁその話は置いといて。みんな元気でね」
(置いとくのか…っと心の中で思いつつ話題が逸れたことに安堵する)
「そろそろ兵舎へと向かうぞ、ウィリア」
兵舎行きの馬車が既に来ている。
「了解です 団長。 それじゃ みんな元気でね! バイバイ」
ウィリアが元気よく手を振り、別れを告げてくる
「頑張れよ。ウィリア」
「…ん ウィリアも頑張って」
「ウィリア殿も頑張ってください」
「あ!そうだ! レイっ! こっち来て」
「…ん? どうしたんだ?」
疑問に思いながらも、ウィリアに近づく。
“チュッ”
「……。 ……!!?? ふぁ!??!」
「ふふふ。プレゼントのお返しっ! 次こそは勝つからね! 」
本人も恥ずかしいのか、顔が真っ赤になっている。口早に挨拶を告げると、走って言ってしまった。
「…あの野郎ッ!」
(まんまとしてやられた…)
「……レイ。照れてる…」
「ご主人様。お顔が赤いようですが…?」
「う、うるさい! 馬車が来てるんだ。早く行くぞ!」
照れ隠しのために、そっぽを向いて足早にその場を去って誤魔化した。
縄文の近くは、帝国行きの馬車が次々と入ってきている。
帝国に行くほかの冒険者や、他の国に行くための馬車を待ってる者もいる。
ギルド長のおかげで、自分達の馬車はかなり広く、貸切だ。
「良し。帝国までの旅も楽しもうな」
俺の呼び掛けに、セレネ、シルビィも頷き馬車へと乗車する。
〈俺達の旅が本格的に幕を開ける。〉
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