秘密

36話 セレネの秘密

「……ん レイに話がある」


「……話?」


何のことだろうと考えを巡らせてみるが、ピンと来るものは無い。


「私についての話」


「あー、その話か」


すっかり忘れていた。


「……むむ 忘れられてた」


少しシュンとしながら呟く。


「いや。 別に忘れてたわけじゃ無いんだ! 魔獣との戦闘やら、階層の攻略とかがあってそれどころじゃ無かったんだ」


「…… 確かに」



「それより、セレネについて聞かせてくれるってことで良いんだよね?」



「……うん。 私について話しておく」


そう言ってセレネは自分の過去について話し始めた。




「まず、私の種族は最高位淫魔サキュパス・クイーンと言って、淫魔の中でも最上位に位置する存在なの」


「なるほど。セレネは淫魔サキュパスだっんだね」


「……ん 今はあるかわからないけど、元は国の皇女で両親は王族だった」


これもまた意外な事実だ。


「皇族って感じには見えないけどね」


おちょくるようにそう言うと、頬を膨らませながら抗議してくる。


「……けど、父をよく思わない連中によって皇帝の座を奪われたの。父も皇族直属の部隊を率いて戦ったけど、結局は勝てなかった」


そして、話を続ける


「私は皇族のみが継承することを許される古代魔法エンシェント・マギナを使えるのと、基本的に膨大な魔力をもっているのもあって、結局殺すのではなく,このダンジョンに封印されることになるの」


「あの結晶の中にいたのも、水晶を守る守護者ガーディアンがいたのもそういう事だったんだね」


「うん。たぶん奴らは私が封印を破った時に、私を始末するために置いていたんだと思う」


「けど、いきなりどうして僕に話そうと思ったの?」


純粋に気になったので聞いてみる。


「……レイなら信用できると思った。人間は魔族が嫌いって言うし、何より私はサキュパスだから……」



「セレネが魔族だろうとサキュパスだろうと関係ないよ。セレネはセレネだ」


「でも…… 私のことを知ってる人は誰もいない……」


セレネは華奢きゃしゃな身体を震わせながら、絞り出したような細い声でそう告げる。


「俺がいるだろ? 何泣いてんだよ」


何ふざけたことを言ってるんだ。と僕は憤りを感じていた。


「え?」


「セレネ1人になんてさせねーよ」


セレネはポカーンとした様子で、僕を見てくる。


「俺がセレナを守り、セレネが俺を守る。2人で一つ。俺たち2人で世界最強だッ!」


そして、続けて言う。



「まさか、ついてこないなんて腑抜ふぬけた事……言わないよな?」


ニヤリと不敵な笑みを浮かべつつ、そう言い放つ。


「……ん! 私もついて行く」  


セレネは溢れんばかりの笑みを浮かべながら、答える。


「……あっ レイ!」


セレネが袖を引っ張ってくる。


「ん? どうした?」


と、振り向いた。 “ぷに”っと柔らかいものが唇に触れる。


「――っ!?」


キスされたと気づいた瞬間、全身が熱くなる。


「えへへ 照れてるレイも好き」


セレネも真っ赤な顔を隠しながら、耳元でささやいた。


「こ、このやろうッ! おちょくりやがって!!」


僕も半分ムキになりながら、叫ぶ。


「……安心して。 私も初めて」


再び頬を染めながら、答える。


「どう安心出来るんですかね!?」


「……レイの心配もよくわかる。落ち着いて……」


ようやく分かってくれたか。全くコイツは……


「……下の方も初めてだから」


顔を真っ赤にしながら、ささやくように答える。


「貴方は! 何を! 理解してるんですかッ!?」



「……ん ふふっ」


セレネも釣られて笑い出した。 


この流れは良くないと感じは僕は話題を変える事にする。




「そんなことより,改めてよろしくな相棒セレネ


「……ん よろしく… 相棒レイ



そうして、セレネの肩を抱き寄せると、今度は俺の方から“キス”をした。









クリザリオンを倒して少しすると、中央に宝箱が出現する。中を開けると、手紙が入っていた。



―――――――――――――――――――――――

おめでとう。ここまで来れたのは君たちが初めてだ!


300年前にも挑んできた人がいたけど、あと少しって所で負けちゃったからね。


君達の戦い非常に素晴らしかったよ!


報酬は弾ませておくね。


では! また会う機会があれば。


―――――――――――――――――――――――


誰が差出人なのかわからない手紙だ。しかも読み終えると同時に燃えてしまった。



奥の間へと進むと、二つの宝箱があった。


【銀色の箱】と 【漆黒の箱】



セレネは銀の箱を、僕は漆黒の箱を開ける。



復活の加護アナスタシス】、【即死耐性】【鑑定無効】を入手しました。


普段とは異なり、頭の中にアナウンスが流れる。



復活の加護アナスタシス


→HPが0になっても、一度だけ復活する事が出来る。(一度使用すると三日間は使用不可)


【即死耐性】


→即死攻撃への耐性が上がり、致命傷となる攻撃を軽減する。


【鑑定無効】

→相手からの鑑定スキルを無効化し、自分のステータスを隠蔽いんぺいする。


かなり便利そうなスキルだ。




「セレネは何か手に入った?」


セレネの方はどうだったのか聞いてみる。


「……ん 【魔力障壁マジック・ディフェンス】と【魔装マジック・アーマー】、【鑑定無効】が手に入った。



魔装マジック・アーマー


→魔力を使用した武装形態。遠距離・近距離の両方に対応可能。


「面白そうなスキルだね」


近距離戦もこなせるのはかなり、便利だ。



「それと…… 今更なんだけど、お互いのステータスを確認しておこうと思うんだけど」


「……ん 分かった」


そう言ってセレネは、ステータスを表示した。




――――――――――――――――――――――



名前:セレネ  Lv16


種族:最上位淫魔サキュパス・クイーン


※レベルが限界に達しました。

種族補正が大幅に上昇し、レベルはリセットされます。


HP:2360

MP:7680

力:13800

防御力:1230

俊敏:1050

精神:2470




スキル:・古代魔法エンシェント・マギナ

    ・魅了

    ・【魔力障壁マジック・ディフェンス】 ・【魔装マジック・アーマー

    ・【鑑定無効】

・【空間操作魔法】

    ・【念力テレパシー

    ・【魔力高速回復】

    ・【体術】

    ・【並列思考】

    ・【魔剣】


【ユニークスキル】


古代魔法を扱いし者マギア・レコード


→古代魔法を扱うための必須スキル。


不滅ミステール


→種族固有スキルであり、体が消滅しない限りは基本的に不死身。


夜の覇者ナイトメア


→ 暗闇でのステータスが大幅に上昇



――――――――――――――――――――――


「めちゃめちゃ強いな……」


強いとは思っていたが、いざ見てみると凄かった。



「……ん! レイのも見せて!」


急にはしゃぎ出したセレネを落ち着かせつつ、ステータスを開示する。


『そう言えば、ステータスを見る余裕が無かったな』



――――――――――――――――――――――


名前:レイ  Lv73【覚醒】


種族:人間 →上位人属ハイ・ヒューマン


職業:収納士【F】→【S】


HP:32700

MP:10780

力:18750

防御力:10980

俊敏:21800

精神:17900



装備:【名前】魔刃剣 ヴェルドラ、


・【不壊】

→武器破壊系スキル・魔法を無効化する。


・【斬撃研磨】

→攻撃によって、切れ味が僅かに上昇する。


・【共成】

→持ち主と共に成長する。持ち主が得た経験の数%を吸収する。





〈耐性系スキル〉


    ・【看破】

    ・【鑑定無効】

    ・【物理耐性】

    ・【魔法耐性】

    ・【即死耐性】


〈魔法系統〉


    ・【魔力操纏】

→ {魔力操作【極】+魔力変換【極】}

    

    ・ 魔石吸収 【極】

    ・全属性魔法エクストラ・マギナ  

    ・【高位召喚ハイ・サモン

    ・【念力テレパシー 

    ・ 遠距離砲撃魔法  


〈攻撃スキル〉

    ・極神剣

• 攻撃吸収


〈補助系統スキル〉


    ・【天駆てんく

    ・【体術(極)

    ・【千里眼】 


    ・思考超加速マインド・アクセル

→ {【思考加速】+【並列思考】}


    ・【加速アクセラレーション

    

    


【ユニークスキル】


・【無限回廊インフィニティ・ストラーダ

・【復活の加護アナスタシス





「…… レイも十分強い」


「……自分でもびっくりしてるよ」


ステータスの増加はまだ予想の範囲内だった。しかし、職業のランクと【ユニークスキル】まで進化していたのだ。


その後、部屋を出ると階層ボスクリザリオンがいた部屋に巨大な魔法陣が出現していた。




いざ、魔法陣に入ろうとしたその時、





「……私達は2人で最強」


セレネが唐突に呟く


「ああ 今日から俺達は生まれ変わる……世界最強という存在に」


「うん。これからもよろしく……レイ」




そうして,魔法陣へと足を踏み入れる。


足を踏み入れた直後、複雑な模様が動き、ひかり始めた。


眩しくて目を閉じる。


そして、目を開ける。 懐かしい街並み風景







久しぶりに見た地上は綺麗だった。

















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る