20話 奈落
「グハッ」
体が地面に叩きつけられた。
僕は朦朧もうろうとした意識の中、辺りを見渡す。
見たところ、暗くて何があるのかよく見えない。洞窟みたいな感じだろうか?
僕は一度落ち着こうと、無限収納から取り出したポーションを飲む。
ポーションのお陰で、思考が冷静になった。
とりあえず、ここが何階層なのかもわからない状態で動くのは危険だ。
幸い今いる場所は魔獣が入ってこれるようなスペースも無い。
『どうしたものか……』
悩んだ結果、僕は一旦お腹を満たす事にした。
▼
少し、お腹を満たしたおかげで心に少し余裕が出来た。
僕はポーションを再び飲み、探索を開始した。
””ゴアッアアアアアアアアアッ””
『!? !?』
僕は咄嗟に身構える。そう……あの化け物の声と瓜二うりふたつだ。
『ここに居たら まずいッ!』
そう判断し、僕は速やかにその場を離れる。
““ズガァアアアアアアァァァンンンッ””
直後、さっきまで僕がいた場所から爆音が聞こえる。
『何!?』
僕は思わず、振り返ってしまった。
そこには、一メートル大の石が深々と地面にめり込んでいた。
そして、振り返ってしまった事が僕の最大のミスであった。
奥から顔を出して来た化け物はさっき遭遇したやつより、さらに一回り大きかったのだ。しかも、3メートルはあろう棍棒を手に持っている。
試しに鑑定をしてみた。
名前 エンシェント キング ミノタウロス(LV???)
HP:???
MP:???
力:???
防御力:???
俊敏:???
精神:???
スキル:???
僕は反射的に、その場から全速力で逃げ出した。
その化け物はニチャァっと笑うと、僕の方へ歩いてくる
▼
『何だ!? 何だあの化け物は!?』
考えつつも、来た道を一心不乱に走る。
ーーたが、逃げられるはずもなく すぐ後ろに気配を感じる。
『!?』
危機を感じ、前へ跳躍する
““ドギャアッ””
「があああッ」
僕が寸前までいた所を、巨大な棍棒が叩きつけた。
僕は完全に避けきれず、壁に叩きつけられた。
“死”
脳裏のうりにそんな言葉がよぎる
「嫌だっ! 死にたくない……」
僕は情けなく、地べたを這いつくばりながら逃げる
そんな僕を見て、その化け物は“ニチャァっと笑う。
僕を恐怖を煽あおるように、少しづつ近づいて来る。
「嫌だ嫌だ嫌だッ! 何で僕が死ななくちゃいけないんだ!」
たが、僕は逃げることに必死で先が行き止まりだと気づいていなかった。
「あっ……」
思わず情けない声が出てしまう
そんな僕を見て、化け物はきみの悪い笑みを浮かべながら近づき、棍棒を振り上げた……
僕は最後の悪あがきで、目潰し用の石灰を投げつける。
“ガァアアアアアアッ”
不幸中の幸いというべきか、運良く相手の視界を潰すことに成功した。
今のうちに逃げようとしたその時だった。
“グチャッ”
「え?」
目の前の化け物が急に“潰された”のだ。
突然のことに思考が止まる
そして、直後化け物の死骸しがいが消滅する
そして、その正体が明らかになる
巨大な爪と牙を持つ、ハムスターのような魔獣が姿を表す。
名前 殺戮王 マーダー
HP:????
MP:????
力:????
防御力:????
俊敏:????
精神:????
今回ばかりは逃げきれないと悟った僕は最後の悪あがきをしようと決めた。
まだ、考案しただけで実戦で使った事のない大技だ。
「くらえっ!
“ズガアアアアアアンッ”
直後、轟音が鳴り響いた。
僕が行ったのは、周りの“空気”を収納し、一気に解放する
それによって、圧縮された空気が膨張して爆発する
「まだ、実戦で使った事がなかったけど上手くいって良かった……」
爆発によって、あたりにマーダーの肉片が散らばっている。
何かに使えるかもしれないので、素材の一部を剥ぎ取った。
▼
住処に戻るなり、僕は疲労も重なり意識を手放した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます