19話 遭遇


ーー通路をしばらく進むと広い広場に出た。


「あれ? 行き止まりだね」


「通路を間違えたのか?」


不思議そうなルキにジャックが問いかける


『ここまで特に別れ道はなかったはずだ。道を間違えるなんてあるのか?』


僕は違和感を覚えた。


「もしかして、噂に書く転換期か?」


僕は違和感を感じたので尋ねる


「いや、流石にそれは無いと思うよ。僕も長いこと冒険者をしてるけど、転換期なんて起こったことがない」


「そうか……」


そう答えたものの、違和感は晴れない。



「とりあえず、ボスだけ倒して帰ろうか」


みんなもそれ賛同し、ボスを倒して帰還することにした。



僕たちはボス部屋に向けて歩き出した。












あれから僕達はボス部屋へと向かって歩いていた。




”ゴアッアアアアアアアアアッ!”




突如、断末魔だんまつまのような方向が聞こえてきた。



『!?』


僕は思わず身構える




「何だ!?」


ルキも同じく困惑しているようだ。



「とりあえず逃げよう」


僕の提案に頷いたメンバー達は来た道を急いで引き返した。




だが、甘かった。



方向を上げた化け物は、ありえない速度でこちらへ接近してきた。



そして、僕達の退路を塞ふさいだ。



「グルルルルルルルルッ」


その化け物は全長五メートルはある巨体に、それを銀色の毛並みが覆おおっている。手には二メートルはある斧おのを持っている。



「ーーッ なんだこいつ!?」


僕は思わず声を荒げる。



「逃げるぞ!」


ルキも迷わず退散を選んだようだ。


だが、逃げ道は化け物に塞がれている。




少し考え、僕は閃光玉を取り出し、投げだ。



刹那せつな、眩いまばゆい閃光が弾ける



が、あまり効果がないようだ。



「どうする?」


僕はルキに尋ねる



「ーーー」


ルキは、考えているのか沈黙している


そして何か閃ひらめいたように顔を上げ、こう言い放った。



「すまん…… レイ」


「ーーッ!」


嫌な予感がし、咄嗟とっさに伏せた。



「ぐッ!」


避けきれず、僕は胴体を深く斬られた。



「悪いが…… 俺たちのために死んでくれ」


ルキは見下すような視線を僕に向けながら言う。



「ふざッ…… けるなッ!」


「安心しろよ。墓ぐらい立ててやるさ! はははっ」



「ちょっとッ! ルキ! 私は反対よ!」


「黙れッ! リーダーとしての命令だ!」


コレットがすかさず反対するが、ルキは一蹴いっしゅうする



「コレット…… こいつ1人の犠牲でみんなが助かるんだ。 我慢しろ……」


「で、でも……」


「ごちゃごちゃ言ってねーで早く逃げるぞ」


ルキは怒鳴るように告げ、駆け足で逃げ出した。



「くそッ くそッ!」


僕は囮おとりにされた悔しさと、絶望から地面をひたすら殴る



”ドシンッ ドシンッ”


そうしているうちに化け物が近づいてくる




「ーーッ 早く逃げなきゃ」


しかし、腰が抜けてしまいうまく歩けない。


僕は地面を這はいつくばりながら、近くの穴へと逃げようとする。



しかし、化け物は僕を弄もてあそぶかのように、僕を蹴り飛ばした。



「うゴあッ 」


激しく壁に叩きつけられ、僕は意識が遠のくのを感じた。



再び、ゆっくりと近づいてくる化け物に対し僕は目潰し用の石灰を取り出し投げつけた。


運良く、奴の目に当たり視界を潰すことができた。


『チャンスだ!」


僕はそそくさと地面は這いながら穴へと逃げ込んだ」



“グルルルルルルルル ガァアアアアアアッ”



目をつぶされた化け物は、怒り狂い周り斧で周りを破壊し始めた。



そして運悪く、僕の逃げ込んだ穴に斧が直撃した。




「え?」


僕は急に感じた浮遊感ふゆうかんに思考が止まった。


そして、奴の攻撃で足場が崩れたと理解した時にはすでに遅かった。











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