12話 初めての狩り 続き

12話 初めての狩り 続き

僕達は15分ほど休憩すると、腰を上げ、狩りを再開した。


まだウィリアはスキルを使っていなかったのでウィリアのスキルの効果を確かめつつ索敵を開始した。実際に実践話交えてスキルを使い、効果がイマイチわからないものに関しては僕が鑑定をして確かめた。


【絶対聖域】


・MPを消費し、聖域を展開する。

→展開するときに込めるMPの量によって展開時間が変化


・効果範囲は3m


・聖域内では全てのステータスに補正がかかる。


・範囲内のモンスターを弱体化デバフ 



【聖剣技】


・切れ味、攻撃力に追加補正


スキルについて鑑定してみたところ


・対魔特効(モンスターに対してダメージ補正がかかる



【約束の栄華】グローリーロード


・MPを全て消費する代わりに一撃必殺の一撃を繰り出す。


『威力が高い分、MP全消費 と 隙がでかいのが難点かな...... メリットもデメリットも大きい技だが使いこなせば切り札に成り得るな。』


【破邪の加護】(常時発動型)


・魔物・モンスターに与えるダメージが1.2倍


・受けるダメージ軽減


『これはかなり有用な加護だな……」



ーー最後のユニークスキル についてだが......


これに関しては結局 何も分からなかった。


ウィリアに試しに使ってみるように言ってみたが 結局スキルを発動する事はなかった。

試しに鑑定してみたのだが、ダメだった……。


色々と検証していた為、もう日が沈み始めている。


『日が落ち始めている……そろそろ帰るか』


「ウィリア 日が沈み始めているからあと数戦だけしたら帰ろう。


「うん」ウィリアも僕の提案に頷いた。










その後、数戦ゴブリンやスライム、コボルトなどと戦った.


コボルトは大型犬並みの大きさで、鋭い牙を持っている。その上 連携の練度が高い為僕達は苦戦を強いられたのだった。


「よしっ 今日はこの辺りで切り上げて帰ろう」 


そして来た道を戻ろうとしたその時……



“ゴガァァァァァァァァァァッ” 大きな咆哮が聞こえた。


「「 ⁉︎ 」」


僕達はあまりの轟音に耳を塞いだ。


“ドシン” “ドシンッ” “ ドシン” “ドシンッ”


さっきの叫び声の主が近づいてきている


そして、足音の主が姿を表した。全長5mはある巨大に鍛え抜かれた筋肉質な身体…その右手には大人三人分ほどの巨大な棍棒を持っていた。


『まずい まずい まずい まずい』 僕は全身から冷や汗が出ていた。


「ウィリアッ! 今の僕達はオーガには勝てない 逃げるぞッ!」 僕は怒鳴るようにウィリアに告げる。


「ーーー」 ウィリアは俯いたままだ。


「何やってるんだよッ!早く逃げろ!」


再度 ウィリアに告げた。


「今ここであいつから逃げたら、村に被害が出るかもしれない…… 私は村のみんなが好き。だから私がここで止めないとッ!」


「私はここであいつの足止めをしておくから、レイは村の大人を呼んできて!」


「ま、待てッ!」


そう言うと彼女は僕の静止を振り切り化け物に向かって駆け出した。


『鑑定』


名前 オーガ(LV23)


HP:230

MP:0

力:153

防御力:160

俊敏:80

精神:30


スキル:咆哮、豪腕、棍術


「なんだこのステータス⁉︎』名前はオーガというらしい。


僕なんかがまともに攻撃を受けたら、“即死”……運が良くても重症は免れない…


『いくらステータスかめちゃくちゃ高いからって彼女一人で戦わせるわけにはいかないッ 怖いから何だッ! 当たったら“即死”? なら当たらなければいい!』 


そう決心すると自然と体の震もか止まり、身体が動いた。



僕は意を決してオーガに駆け寄る。


「レイ⁉︎ 何で逃げてないのッ!ここはわた....し「ウルセェっ!お前一人を置いて俺だけ逃げるなんてありえねぇッ!」僕は彼女の言葉を遮り、早口に告げた。


彼女は意外そうな顔をし、次に頬を緩めたが すぐに気を引き締めた。


「ウィリア! 僕が奴の気を引くからウィリアは足の腱を狙ってくれ!」 


僕は自分の足の腱を指差しながらそう告げる。


「こいッ! この木偶の坊!」


さっき鑑定したが、オーガは通常モンスターより知能が高い その為、オーガは馬鹿にされたと憤怒し僕を殺すべく近づいてくる。


『さすがオーガだな…… 思わず足がすくみそうになる。だが、今の僕にはウィリアがいる…』


必ず倒すッ



ふとオーガを見ると巨大な棍棒を振りかぶっていた。


僕は全速力で左にダッシュし、飛び込んだ。


直後 “ドガァァァンッ” 轟音が鳴り響く 振り向くと僕が数秒前までいた場所に巨大なクレーターができていた。


嫌な汗がブワッと噴き出る。


『だが、甘いッ!」




“ギャァァァ” オーガの悲鳴が上がる。


僕にばかり気を取られていたせいでウィリアに対する警戒が薄れていたのだ。その結果、ウィリアに右足の腱を切られてしまう事になる。自身の体重を右足が支えきれず、オーガが転倒する。


僕は好機を逃すまいと、素早く距離を詰め左足を何度も斬りつけた。


“ガギャアアアアァ” オーガの悲鳴が轟く…



不意に僕は嫌な予感がし、すぐさま離脱する。


「レイッ!避けてぇ!」


すると目の前には最後の力を振り絞り、棍棒を僕に向けて“投げた” 予想外の行動に一瞬固まるが、僕はすぐさま避けよう動いた。が…


『ダメだっ 避けれない!』


棍棒は大型トラック並みの大きさだ とても避けれない。


“死” という字が頭をよぎる。


「まだ....まだこんなところで死ねるかぁッ!」


僕はまだ未検証だがある可能性にかけてみる事にした。


飛んでくる巨大な棍棒 何故か今はスローモーションに見える。


『チャンスは一回』できなかったら....死ぬ。


そして僕は深呼吸をしたあとこう言った。



















「収納ォォォォォ!」っと叫んだ。



すると飛んできた棍棒はその場から“消えた” 否 収納されたのだった。


『まだ 倒せてない』 


僕は最後の力を振り絞り奴の元までいく。


オーガは既にウィリアによって幾度となく切られている為、満身創痍である。


だが、流石オーガだ。まだ目には意思が宿っている。


「さらばだ。オーガ」 そう短く告げる。



そして僕はオーガの額に魔剣を突き刺した。


そしてオーガは今日一番の断末魔を上げた。



“グギャアアァアアアァアアアァアアアァァ.........ァ”


そして、弱々しく鳴くと目から光が消えた。


「やったわっ! 私達二人で勝てたのよ!」


ウィリアが嬉々として僕に喜びを伝えてくる。


「ああ 俺達の勝ちだ!」


そう言って僕は喜びを噛み締めつつウィリアを撫でてやったのだった。


しばらく撫でたあと僕はおもむろにウィリアを見る。


「.....?」


僕は無言でウィリアにデコピンをかました。


「いたぁッ」


ウィリアおでこを抑える


「馬鹿野郎ッ!何であんとき飛び出したんだっ! 確かに村に被害が出るのは僕も嫌だ。だけど、ウィリアだって大事な村の一員なんだ!」


「......ごめんね。レイ 私みんなを守ろうと必死になってた…… けど、結果心配をかけちゃった。」


「僕こそ ごめん。あいつはここで倒さなきゃ、村にも被害が及んでいた。ウィリアの判断は正しかった。ただ…ウィリアを心配する人もいるって事を忘れないで欲しい.....」


「うん。わかった!」  


いつも通り無邪気な彼女の笑顔に毒気を抜かれた僕はオーガの死体を収納した。


『そう言えば。オーガは剣を弾くほどの硬い体毛で全身を覆っていると本に書いてあった。よく刃こぼれせずに切れたな.....』



ガルシュさんに聞いてみよう などと思いつつ帰りの支度をするのであった。










そして、ウィリアと今日一日の成果やオーガについて話しながら二人は帰路につくのであった。

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