第10話 父の形見


「頼むよッ!父さん....武器が欲しいんだ」


「ーーー」 父は無言のままだ。


「二日後にはこの村を離れる事になる。だから今のうちにレベルを上げておきたいんだ お願い!」


僕は父の目を見つめ、真摯にお願いをした。


「お前が小さい頃から、ずっと鍛錬を続けてきたのはよく知ってる。お前の言い分はわかった。その気持ちに俺も答えてやる。子供の巣立ちをサポートするのが親の役目だからな」


「ありがとう父さん」


「少し待ってろ」


そう言って父は物置小屋に入っていった。






〜数分後〜



父が物置小屋から出てきた。父の手には漆黒の剣があった。見るからに普通では無い剣に僕は興味と不安の混じった目で見つめる。



「そんな 構える必要はない。 これは魔剣でな俺が現役で冒険者だった頃手に入れたものだ。」


「ありがとう父さん!大切にするよ」


「この剣だが、切れ味がとてもいい。刃こぼれもしない。おまけに持ち主と一緒に成長する魔剣だ。


『そんなすごい剣だとは思わなかった。』


僕はその魔剣を胸に抱え、父に向けてお礼を言った。


「これは、お前の装備だ」


手渡されたのか、急所を庇う軽量の鎧だった。







「この魔剣鑑定できるかな?」 


ふと疑問に思った。早速僕はその魔剣を鑑定してみた。まだまだ精度は高くはないが、色々な物を鑑定してきたおかげである程度見えるようになっていた。





【名前】魔剣 スカルヴェラ LV 1


【特性】切れ味補正、不壊【微】、成長、



切れ味補正→切れやすくなる、また 刃こぼれがしにくくなる


不壊【微】→剣が壊れにくくなる。


成長→持ち主と一緒に成長する。ごく稀に魔石を与えるとスキルを覚える。



『何だこれッ 強すぎだろう。』 正直チートすぎると思った。


『これは強すぎるだろ.....父さんありがとう」


心の中で父に感謝した。








〜その後ウィリアムとの待ち合わせ場所に向かった。〜




待ち合わせ場所にはすでにウィリアが立っていた。


「お待たせウィリア。ごめん…待たせたかな?」


「大丈夫だよ!ちょうど今来た所だよ!」


彼女は元気な声でそう告げた。



「じゃあ、森へ行こうか」僕はウィリアにそう提案した。


「うんっ! レイと初めての狩りだね! 緊張しちゃうなぁ....」


ウィリアはとても楽しそうにはしゃいでいる。



『楽しそうで何よりだ』 



そんなウィリアが微笑ましく思えた。




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