第8話 王都への招待
翌朝いつも通りにリビングに降りるとウィリアがいた。
「あっ! レイッ おはよう!」
彼女はいつも通り元気であったが、何処か様子がおかしい。
「おはよう ウィリア 何が様子がおかしいけどどうかしたの?」
僕は彼女聞いてみた。
「ふぇぇ 私....何処かおかしかった?」
やはり様子がおかしい
「うん。いつもより何処かよそよそしいよ。」
「そ....そっかー レイに隠し事はできないなぁ...」
何処か悲しそうだが、嬉しそうな彼女の顔に僕は困惑しつつも、再度尋ねる。
「何かあったんでしょ?嫌なら別にいいんだけど....」
本当は聞きたい だが、彼女が話したくない話なら無理に聞く方が無粋だろう。
そうしているうちにウィリアも覚悟が決まったのかおどおどしながら話し始める。
「あのね.....わ、私....王都に行く事になったの....」
僕は内心、驚き半分 納得が半分であった。
『そりゃそうだ。彼女みたいな逸材をこの村に留めておくのはどう考えても惜しいだろう』
だが頭で理解していても気持ちが納得していない…
今まで一緒に村で模擬戦をしたり、悪戯をして怒られたりとしてきた思い出が蘇る.
『これは僕の我儘だが、言ってほしくない。もう2度と会えないかも知れない』
そう思うと涙が出てきそうになる。だが、ここで泣いたら余計彼女を困らせてしまうだろう。僕がすべき事は彼女を笑顔で送り出す事だ....そう思うと昂ぶっていた感情が落ち着いた気がした。そうして深呼吸を数回したあと彼女に対してこう告げた。
「おうっ! 頑張れよ! 僕も冒険者になるからまた必ず会える。今度会ったらまた模擬戦しような!
あと.........死ぬなよ」
言いたい事はたくさんある けどそれは彼女を困らせるだけだ。僕は彼女にそう告げると頭を撫でてあげた。
『昔っから頭を撫でると猫のように甘えてくるのは変わらないな』
僕は少しだけ気が軽くなった気がした。
その後、村を歩いているとガルシュさんを見つけた。
『王都に行けるようお願い出来るチャンスだ』
そのチャンスを掴むべく、僕は行動に移した。
「ガルシュさん!」 そう叫びながら僕は駆け寄る
「おう 少年じゃねーか どうしたんだそんな大声で」
「お願いが.......あります! ウィリアを王都に連れて行く時に僕も一緒に連れて行ってもらえないでしょうか?」
団長の目が細くなり、僕を射殺さんとみてくる。
「おい....少年 遊びじゃね....「分かっています! 僕はスキルで持ち物を収納出来ますっ! 荷物持ち 雑用 なんでもしますッ お願いしますッ! どうか連れて行って貰えませんか?」
僕は頭を深々と下げた。ウィリアが頑張るんだ....僕も怠けていられない。
「...............お前の覚悟は分かった。領主様に口添えしておこう だが、まだお前を連れて行けると決まったわけじゃねぇ 勘違いすんなよ 」
「ありがとうございます。ありがとうございます」
僕は何度も頭を下げた。
ガルシュはそんな僕をみて微笑を浮かべると宿舎の方へ戻っていった....
あと、今の僕に出来る事は少しでもLv (レベル)を上げる事だ。
『ウィリアとの最後の思い出作りも兼ねて、明日は魔獣を狩に行こう。』
そう決心しつつ、レイの意識は闇に落ちていった。
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