高名の依頼人
オープニングはなかなか衝撃的。山をかけ降りる男と、地面に倒れた状態の人間らしきものの姿が短いカットで交互に映し出されます。
倒れていた人物が出血し、負傷していることがわかり、男が駆け寄り声をかけます。
原作には描かれていない緊張感あるシーンから始めるのは、映像ならではの工夫。いや、映像ではなく、CMのあるテレビドラマならではとしたほうがよいのでしょうか。
もっとも近年の「リアルタイムでなくても後で見られる視聴スタイル」はドラマのつくり自体を変えているようですが。
今回の見所は、かなりの悪党グルーナー男爵とホームズの対決。モリアーティ教授も悪党ですが、こちらの男爵はなんというかゲスの極みみたいな野郎。
グルーナー男爵に狙われた女性をホームズは救えるのか、というのがポイント。
犯罪者に狙われた女性を救うというのは、ホームズ譚の一つのフォーマットです。作り手としては救い出すために女性をひどい目にあわせる必要があるのですが、今回はひどい。
またアクションシーン多めなのと、ワトソンの活躍が必要な展開なのも注目したいです。
【ネタばらし見所解説】
本作はなんといっても、キティ・ウィンターでしょう。
ホームズが困った女性を救う英雄で、女性は助けられるだけの存在かといえば決してそうではない。そんなことを伝えてくれる強烈な存在。
キティはグルーナー男爵の元恋人(というか変態男爵にしてみれば過去の収集品の一つ)で、ひどい目にあわされています。ロンドンの闇のなかで暮らしながら、男爵への復讐からホームズに協力します。
原作では影の薄いキティを連れてきた元犯罪者でホームズに力を貸す男とキティの逃走シーンも見もの。
この「太っちょ」というあだ名の男性が立ち回りでみせるカッコよさと、男爵の秘密のノートの醜悪さとの対称性。
対称性はグルーナー男爵に騙されているヴァイオレットとキティの二人にも見ることができます。
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