ショスコム荘

 オープニングは白馬のアップ。というのも、今回は競走馬のかかわるお話でもあるから。ホームズと馬といえば「銀星号事件」でしょうが本作にも競馬は登場します。

 馬主のもとに騎手になりたいと青年がやってきます。馬主サー・ロバートが「考えておく」と告げたところに来客の知らせが。

 客人は借金の取り立て人ブルーワー。サー・ロバートは次のレースで勝たないと破産という状態だったのです、というのが導入部。

 見所はグラナダのドラマの前作「ソア橋のなぞ」で不在だったハドソンさん。今回はちゃんといますし、ラストでチャーミングな魅力を発揮します。

 さまざまな動物、馬、犬、山羊、鶏がたくさんの場面に登場します。馬と犬は内容にからむのでわかりますが、ちゃんと町の景色として山羊や鶏を出す点にはスタッフの熱意を感じます。

 馬車を追いかけた後の犬の表情は助演賞もの。

 地味ですが、ホームズが「熱ッ」となるシーンが二ヶ所あるので、原作は読み込んだよというマニアや暇なかたは探してみてください。

 そして、見所というか聞き所はサー・ロバートの声をあてている人。なんとあの人。



【ネタばらし見所解説】



 ハッキリした事件の姿が提示されず、なにが起きているのかを探るお話。登場人物も多いのですが、ちょっとクセがありそうだったり、秘密を抱えていそうだったり。じっくりたっぷり描けば、昨今のドラマを語るキーワード「考察」に繋がりそうな原作です。

 サー・ロバートの姉の身代わりは、仕事を求めて厩舎やってきた青年なのですが、この青年を端役の匂いをさせて、さらりと冒頭に登場させるあたりにミステリーの見せ方のセンスを感じます。

 ちなみに原作の日本語翻訳書では姉ではなく、妹なのです。どうやらドイルの原作では姉か妹か判別がつかないらしいのです。

 動機やサー・ロバートの性格を考えると「ちょっと無茶をする弟を放っておけない姉」、「姉の結婚した死んだ男の財産をあてにする姉に甘える弟」という設定のほうがスムーズにも感じます。

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