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結果、小春にたいしての嫌がらせは、すべて、みろくの嫉妬によるものだった。しかし、間に白菊が入り、白菊がみろくに接客のあり方を教えるということで、事態は落ち着いた。
その日の仕事を終えて『化け猫亭』に帰ってきた白菊を、お蘭が出迎えた。
「お帰り、白菊。今日も一日、ご苦労様」
「ただいま戻りましたにゃ、お蘭様」
白菊は甘えるようにお蘭の膝の上に乗った。
「今日はどうだった?」
「小春さんに嫌がらせしてた子が、接触してきたにゃ」
「なにもされなかったかい?」
予想外のことにお蘭はびっくりして、白菊に怪我が無いか確かめる。
「大丈夫ですにゃ。暴力を振るわれたわけじゃ、ないですにゃ」
「そうかい。それならよかったよ。中にはひどいことをしてくるお人もいるからねぇ」
お蘭は白菊の頭を優しく撫でる。
「それから、明日からは小春さんとは別のお客さんのところに、行くことになりますにゃ」
「おや? 仕事をとってきたのかい?」
「にゃあ。小春さんに嫌がらせしてたのは、自分の仕事がうまくいかなくて、嫉妬によるものでしたにゃ。だから私が指導してあげることにしたのにゃ。明日、そのお客さんが店に依頼にきますにゃ。これで小春さんのいやがらせもなくなるにゃ」
「そう。白菊に被害ないなら、私はなにも言わないよ」
「白菊にお任せくださいにゃ」
頼もしい白菊に、お蘭は微笑んだ。
「大活躍なのはいいけれど、無理はいけないよ?」
「無理はしてないにゃ。お仕事、楽しいにゃ」
「そうだね。仕事は楽しくやるのが一番だ」
お蘭は白菊を膝の上から下ろして立ち上がった。
「さあ、もうすぐ紅丸と月夜も戻ってくるだろうから、夕飯のしたくをしようか」
「にゃあお」
お蘭と白菊は夕飯の準備をするため、店の奥へと向かった。
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