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 翌日、営業が終わり、小春と白菊で店の前を片づけていると、いつも店を見ていて、小春の悪口を言いふらしている女性のほうから近寄ってきた。


「小春」

「みろく? どうしてここに」

「にゃ? 二人は知り合いなのかにゃ?」

「あ、はい。幼馴染みで……」


 みろくと呼ばれた女性は、小春を鋭い目で睨みつけた。


「小春。あんたは卑怯ね」

「え?」


 みろくは小春の足元にいる白菊を見下ろす。冷たい視線に、白菊は無意識の内に耳を垂らす。


「そんな猫を使って、人に媚びをを売るなんて、やり方が卑怯なのよ。そこまでして、人にきゃーきゃー言われたいわけ?」

「にゃ! 白菊はただの猫じゃなくて、立派な化け猫族の猫又ですにゃ!」

 

 ただの猫と言われ、白菊は地団太を踏んで怒る。小春も渋い顔をして、みろくに文句を言う。


「白菊さんを悪く言わないで! 白菊さんは、私がお願いしてお店を手伝ってもらってるのよ」

「ふん。どうでもいいわよ。猫だろうが、化け猫だろうが」


 みろくは小春に指を突き付ける。


「小春、あんたちょっと人気があるからって、ずいぶん調子にのっているようね。でも、あんたなんかよりあたしのほうが人気なんだから!」

「と、突然なんなの? 私、自分が人気だなんて思ってないわ。ただお店が好きで、お父さんとお母さんの手伝いをしたくて、やっているだけだもの」

「そういうところが、嫌いなのよ!」


 みろくは叫んだ。小春はただただ困惑する。白菊も何も言えず、そばで様子を見守ることしかできない。


「あんたはいつもそう! いつだってあたしより優秀なくせに、自分は下だと思い込んでる。本当に気にくわない! あたしの店に来る客みんな『小春ちゃんのほうがいい』って言うのよ! あたしのなにが悪いのよ! あたしだって、一生懸命やってるわよ!」

「みろく……」


 小春は戸惑いと悲しさで、なにも言えなくなる。

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