第3話 記憶の中で

これ

俺の気持ちだけど


わあ、きれいな花束


今日はひかりの誕生日だな


覚えてくれていたのですか


もちろんだよ

ひかりのことを忘れるはずがないじゃないか


今日は実はなあのスカイテイストホテルを予約しているんだ

ディナーでもたべて二人でルームで過ごそう


本当ですか


ああ


じゃあ

すぐ着替えてきます

少し待っていてください


僕も着替えないとな


はい

おまたせしました

恭介さん


ところで

君は誰


え、またからかうんですか

もう、ホテルに行きましょう


ホテルにどうして行かないといけないんだ

そもそも、ここは何処だ


恭介さん


恭介さんって誰だ


ええ


そういえば俺は誰だ


恭介さん

わかりました

今日は家でゆっくり休みましょう


ここは俺の家なのか

ちがうだろう

今から家に帰るから


待ってください


あ、タクシー

お願いします


どうぞ


待って

恭介さん

恭介さん




どこなの今日も帰ってこない

警察に相談しないと




あれ、ここは何処だ


おお、恭介じゃないか


誰だお前は


わからないのか

雄一だよ

大学でサークル一緒だったじゃないか


そうか


まあ、久しぶりだからな

これから、どうするんだ


そういえば

ここは何処だ


はははは

お前も相変わらず冗談が好きだな

高知大学時代とそのままだよ

高知に帰って来たんだな

東京の一部上場に勤務になったって自慢してたけどな

まあ、大学も近いし

俺は今は大学の近くの会社で働いているから

また、会おう


ああ

わかった

ここは高知なのか

俺は誰だ

今からどうすればいい

そもそも今から何処に行けばいいんだ


おい、そこの兄ちゃん

うちの建設会社の前に立っているけど

応募にきたのか

ちょうど今、人が足らないんだよ

面接はいいから

すぐ働け


働くのですか


お前は何しにきたんだ


それがわからなくて


わかった、わかった

お前も冗談が好きなんだな

何処に住んでいるんだ


それが今ここに来たばかりで

何も覚えていないのです


なに

わかった

大将、ちょっとおかしい奴がいるんですが


なんだと


記憶を無くしているみたいで


名前はわかるだろう


いえ


自分の名前も言えないのか


はい


大将、どうしますか


ほっとけねえだろう


そうですね

よかったな、大将はいい人だから


いい人は余計だよ

お前は住むところもわからないんだな


はい


じゃあ、俺の家に住め

その代わり、おれのところの仕事が人手不足でな

手伝ってくれるな


名前はどうしますか

大将


そうだな

そういえば俺の弟の大介に似ているな

大介にしよう


わかりました


こいつが哲也だ

口は悪いがいい奴だからな


親方ほど口は悪くはないですよ


はははは


今日は外で焼肉でもするか


おお

いいですね、大将


美雪、新しく入った大介というやつだ

記憶をなくしていてな

面倒みてやってくれ


わあ

超イケメン


お前も男好きだな


イケメンが好きなのよ

何かあったら

何でも私にいって


美雪、今日は外で焼肉でもするか


焼肉は簡単でしょ

私はパスタが得意なの

エビとか貝が入った地中海風のパスタを作るから

お父さんたちは安い肉でも食べてて


美雪ちゃん

俺にもパスタを作ってくれよ


駄目

イケメンさんだけ




パスタ・・・・




どうしたのですか

大介さん


ああ、美雪さん

今日はありがとうございます


美雪でいいのよ

私が年下だから


いえ、それは


慣れたら美雪って呼んでね


わかりました


おい、大介

娘に手を出すなよ


はい

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