第10話 日本拳法と太極拳 その2
今回、私が太極拳のことを知ったのは、今月(2021年8月)15日にネットで見つけた、ある太極拳の世界大会のビデオがきっかけです。
そこに登場する選手のうちの一人、その女性の素晴らしい演武に強い感銘を受け、この2週間、これまで約150回以上鑑賞してきました。観賞(自然の事物を見てその美や趣を味わい楽しむ)というよりも、鑑賞(芸術作品に触れて、その価値を理解し味わうこと: 広辞苑)でしょうか。大自然の景色・摂理の如く、すべての動きが自然で無理がなく、淀みなく流れるような演武。大自然と同じだが、そこに人間の強い意思と情念が込められている、という点で(人間の作り出した)芸術であり、それを鑑賞して味わうことができる。
日本拳法の試合では、素晴らしいとか、良い突き・蹴り、更には芸術的ともいえるような場面とは3分間の中でほんの一瞬ですが、太極拳の場合は約4分間すべてが「見せ場」です。演者の動きがゆっくりなだけに(速い部分もある)、そこに自分が同期できる。演者と一体化できるのです。
今回見つけたのはThi Minh Huyen Tranさんというベトナム人女性ですが、彼女の場合、試合会場へ入場してくる時点から去るときまで一貫して日本拳法をやっている。焼き魚で言えば、頭から尻尾まで食べられる、上等な秋刀魚です。
そして、「明治の木村氏」ほどのスーパープレーではなく、今年の大商大の選手たちのように、ごく普通の技術とパワーで素晴らしい戦い(演武)を見せてくれる。あとで述べますが、この平凡な技術を強力な意思と情念と根性で非凡な演武にするというのが、太極拳の極意の一つであると、私は彼女の演武から学びました。
2021年 8月31日
平栗雅人
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