第2話

「はぁ……はぁ……はぁ」


 俺は必死に逃げ出した。始まりの国ペンドラゴンから逃げ出したんだ。


「何なんだよもう……いくらステータスやスキルが期待外れだったからって、あんな扱い、あんまりだろ?」


 俺は嘆いた。だが、嘆いてばかりもいられない。レベルをリセットした俺は、前回の自分(キャラクター)を超える事ができる。最強を超えた、真なる最強の賢者に至る事ができた。


 俺の心はワクワクしていた。勇者パーティーを追い出されたのは不幸中の幸いかもしれない。団体で行動するっていうのは、時に枷にもなる。


 パーティープレイよりも、ソロプレイの方が自由に立ち回れた。パーティーで行動するメリットよりも、このゲームの最適解を知っている俺にとってはデメリットの方が大きい。


「よし」


 俺は気を取り直す。俺はこの世界の全てを熟知している。東にギアナ平原という平原がある。そこには比較的コストパフォーマンスの良いモンスターが出現する。


賢者の俺は物理攻撃や物理防御に秀でていない。それ故に短期的に魔法を覚え、戦力を補強しなければならない。強くならなければ冒険者として金を稼ぐ事もできない。


やはり、いくら知識があっても戦闘力もなしにこの世界でのし上がっていく事は困難であった。


「あの勇者たちめ……そしてあの王様、人を小馬鹿にしやがって。いや、そんなもんじゃない。人を大馬鹿にしやがってと言った方が良い位だ」


確かに、俺のステータスはゴミだ。その上に、保有しているスキルもネガティブスキルしかない。


だけど、俺はこのゲーム内の事を熟知している。やり込んで来たゲーム知識があるんだ。


 さらに、多くの代償を払って手に入れた、ボーナススキル。【成長限界突破】。このボーナススキルは隠しスキルになっている。普通の方法では見る事もできない。その上にLV99のキャラをリセットしなければ手に入れる事ができない、特別なスキルだ。


この隠しスキルがあれば、俺はレベルの限界を超えて、強くなれる。LV99を超えた、最強の賢者になれるんだ。


今はその準備期間、投資の期間なんだ。耐えるべき時だ。絶対に見返してやる。あの勇者パーティーも、王様も。今に見ていろよ。


「すぅーはぁー」


 俺は深呼吸して気持ちをリセットした。濁った気持ちは自分の判断を鈍らせるからだ。気持ちを切り替えて、俺は次の目的へと向かう。


 レベルアップの為の絶好の狩場。コストパフォーマンス最高のギアナ平原へと向かったのだ。






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