16…

さて、彼女は覚悟を決めたらしく、翌週にはホワイトデーのチョコを美味しくしませんかと言う怪しい貼り紙に誘われ、フランス・パリへと旅立っていきました。

帰ってきたら盛大に告白して撃沈します。


そしていよいよ今日、雨の中飛行機に乗って愛しの彼女は帰って来ました。

空港には彼女の300人のファンクラブと100人の親衛隊が待っていましたが、彼らは彼女を見かけた途端に彼女の胴上げを開始しました。勢いのままずっと胴上げしながら出口まで行く、と思われましたが彼女には逆らえないらしく、彼女がお手洗いに行くと言うと胴上げを止めて彼女を下ろしました。

そう言えばこのキャンペーンには佐々木さんも参加していたそうで、彼女が来ると私と上杉さんと鬼小島さんは彼女に水と汗拭きタオルとスティックパンを渡しました。私は水と使用済みタオルを持つ係でしたがこ係は天職です。だって彼女、とても良い匂いがするのですもの。


その後私は用事があって帰りました。

そして一筆書いてラッピングをして、それらを上杉さんと鬼小島さんに渡します。

上杉さんに渡したのは告白の日時を伝える文章です。ちなみに当日は土砂降りなので彼女には来なくて良いと書きましたが私は雨天決行です。上杉さんには協力したいと言ってもらえたのでこの紙を彼女の家まで届けてもらう事としました。

鬼小島さんに渡したのはバレンタインの時に貰った本命っぽいラッピングのチョコをくださった「佐々木」と言う名字の人を探してほしいという迷子を探す感じの紙です。彼も仕事が欲しいそうなので渡しました。こちらの人には後日私もお返しを渡します。


準備は整いました…明日が楽しみですね…と言っている間に当日になりました。

そしていざ告白するぞと午後4時の土砂降りの屋上に、今私も…あ、上杉さんのお友達の方の佐々木さんが来ました。もしかして上杉さんが行き先を間違えたのでしょうか…?

と思っていたら、彼女は髪をほどいてメガネを外していました。





「牟呂君…私からも、貴方に言うことがあります。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る