「惑う心に月流る」

 

   心音が 心に響かないとき

   

   治らない痛みが どこから始まるのか


   分からなくなったときは


   体から 今だけは心を離して


   その心を 月に重ねて 


   夜明けをただ待つのだ



   帰る場所を失った いちまいの花弁と


   網戸に捕まったまま 力尽きたとんぼと


   あなたに渡す言葉の在処を忘れた私は


   月夜に全て 近似してゆく


   

   私の言葉と あなたの言葉と


   重ならないかたち 角度 


   私はまだ あなたがあの時


   発しかけて 空気と一緒に飲み込んだ


   言葉を知らないままでいる


   

   惑う心に月流れ


   私は今 夜の間を揺蕩う


   あなたは あなたも 


   この夜に漂っているのでしょうか




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   コメント欄で返信頂く度、完成度の

   高さと美しさに幸せになるのですが、

   改めてこの「読者の皆様に完成して

   もらう」という、詩のコンセプトに

   立ち直ると、心の中に少しでもこの

   詩の欠片を残して頂いたならそれで

   良いな、なんて思うこの頃です。

   コメントして頂けると大変嬉しいの 

   は全く変わりませんけれども。

   

   またお付き合い頂けると幸いです。

   

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あなたとつくる詩 羽谷海 @harashin

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