VS ヒニル

【緊急クエスト】『HAO』攻略本スレpart132【無理ゲー】


23 名無しのプレイヤー


敵概要

・分厚い装甲

・再生能力持ち

・超火力高速の触手アタック

・機械獣を統率する能力もある模様



24 名無しのプレイヤー

街のNPCが絶望して役目放棄してるの笑う。RE社だと武器買えんぞ



25 名無しのプレイヤー

勝てそうじゃね?と思ったけどこんなのが数十体いたわけか。嫌な世界だ



26 名無しのプレイヤー

核撃てないのか?



27 名無しのプレイヤー

>>26 倒せはするらしい。ただ普通に耐えて再生されたり狙撃で撃ち落とされたりしたとのこと。最悪の場合核を取り込まれたりする



28 名無しのプレイヤー

え、あの武装を吸収するやつってもしかして後付けもありなの?



29 名無しのプレイヤー

>>27 普通の機械獣は無理だけど分裂体はあるらしい。だから今回のは映像を見る限り何も吸収してない、一番プレーンな雑魚と思われる。それでも無理ゲーだけど



30 名無しのプレイヤー

これどうやったら勝ち目あるんだ?



31 名無しのプレイヤー

多分勝ち目ないな。装甲抜けない以上どうしようにもない



32 名無しのプレイヤー

昔に兵士やってたおっさんたたき起こして聞いてみた。結論としては融合型Apollyonか核爆弾連射、あるいは高火力の砲撃+プレイヤーの特攻しかなさそう



33 名無しのプレイヤー

確かこの街の砲台、ほとんど機能不全なんだよな



34 名無しのプレイヤー

砲撃のプランってどうやって勝つんだ?



35 名無しのプレイヤー

>>34 砲撃で装甲に穴を開けてそこをプレイヤーの手でこじ開けて殺す。あの触手を乗り越えなければならないけど一番現実的。肝心の装備がないけど



36 名無しのプレイヤー

海外サーバーはどうよ 



37 名無しのプレイヤー

>>36 俺たちと場所が違うから何も関係ない。海外サーバーはワシントンとか全く別の場所の話をしてるから。そのせいで街が悲惨だったりするらしいけど



38 名無しのプレイヤー

日本サーバーだけ明らかに崩壊度が低い(NPCがきちんと機能している)から他サーバーから文句出るくらいだったのに今日の緊急クエストで手のひらドリルだぞあいつら。日本サーバーじゃなくて良かったって



39 名無しのプレイヤー

宇宙にでも脱出させてくれ……



40 名無しのプレイヤー

となるとやることは装甲を抜ける装備を探す事か。あと数日猶予があるなら修理が間に合うかもしれない



41 名無しのプレイヤー

は????????

街中で急にPKされたんだが何これ?????



42 名無しのプレイヤー

>>41 このゲームではたまによくあることだ、慣れろ



43 名無しのプレイヤー

いや俺も殺された。なんだあいつら?



44 名無しのプレイヤー

場所は北区の工場区画だった。数十人くらい徒党組んでんだけどあいつら



45 名無しのプレイヤー

きっしょ!!!!

複数人で角待ちしてやがった!!!〇ね!!!



46 名無しのプレイヤー

俺も確認した。あれヒニルだ 

『【断罪】犯罪者オレンジに皆で鉄槌を下す配信!!!』

https■■■■■■■■■■■■■■■■



47 名無しのプレイヤー

え、じゃあなんで俺ら巻き込まれたんだ?



48 名無しのプレイヤー


・情報漏洩して社会を混乱させた犯罪者オレンジには罰が必要

・支援している運営Hereafter社も同罪

・犯罪者のゲームをしているプレイヤーも同じ

・だからPKしてログイン制限かけて記念すべき一発目のクエストを失敗させてあげる。特にオレンジはR18Gを利用してしっかり断罪する


配信の概要欄よりコピペ。視聴者動員してPKさせてる



49 名無しのプレイヤー

何様だよ、〇ねや



50 名無しのプレイヤー

こいつ確か未成年晒して脅してた奴だよね。

断罪とか痛々しくないのかな



51 名無しのプレイヤー

断罪wwwwwwwwwwwwwwww



52 名無しのプレイヤー

配信見る限りPKは本気だな。50人以上集めて全員装備をパワードスーツと機関銃で統一して蜂の巣にしてる。もと

もとFPSゲーマーだけあってシンプルに上手い


53 名無しのプレイヤー

最悪だろ。オレンジが潰してくれることに期待



54 名無しのプレイヤー

>>53 それは絶対ダメ。だってオレンジと対決なんてしたら再生数死ぬほど稼げて広告収入でヒニル大勝利だぞ。オレンジvsヒニルが実現した瞬間にヒニルは勝ってるんだよ




「……なんか別の話になってきてるな」


「集団PKか、確かにこのタイミングで来ると面倒だね。他のゲームと違ってログイン制限があるこのゲームだと影響は大きい」


「これはPK狩りを優先すべきなんか、それとも装甲を壊せる装備を探すべきなのか悩むなぁ」



 嘘を本気と捉えるこのヒニル君とやら、相当のおバカなのではなかろうか。本当に機密情報がゲームの中に入っているわけもないのに。



 まあそれはおいておくとして対策はわかった。敵が今特殊能力なしの最弱状態である事、それ故に装甲さえ破れれば数の暴力でどうにかなること。さあどうしよう、と思ったところでシステムの時計が目に入る。現在時刻。10時半。



「寝るか」


「「えっ」」



 いや何を驚いた様子をしているのか。睡眠時間は大切です、皆さん寝ましょう。





 翌日である。この前レイナに借りた漫画を返すべく10時にあいつの家の前に立つ。ゲームのことは気がかりではあるもののAPの修理にどうせ3日かかるのだ、そこまではゆっくりしても良いだろう。



 またそれとは別にNPCの睡眠ルーティンというものがある。冒険者ギルドは昼に機械獣を狩って夕方から夜にかけて人々は訪れる。そのため昼から夜まで空いているような仕組みとなっている。だからあのまま続けてもすぐに追い出されるだろうしその間にPKにあったら困る。俺の目標の1つ、量産型APで分裂体を倒すという夢はまだ続いているのだから。



「未島でーす」



 インターホンを押してカメラに向かって呼びかける。俺の住むマンションの右隣にある小さな一軒家、それがレイナの家だった。もうどこをどう見ても普通としか言いようのない白い壁の家である。綺麗に片付いた床や玄関は家主の手入れ能力が現れている。



「いらっしゃい勘次君、レイナは部屋にいるわよ」


「お邪魔します、白犬さん」


「アンナさんでいいのに」


「そういうわけにもいきませんよ」



 出てきたのはレイナ……ではなくその母である。白犬アンナさん。見た目はレイナをそのまま大人にしたような姿だがレイナのスレンダーな体型とは真逆なのが特徴だ。アンナさんはパーカーを羽織っているのだがその隙間からは包帯が見えていて、俺がそれに視線を向けたのに気が付くと彼女は服の中に手を入れる。



 黒く滲んだ包帯が取り出されて俺が反応に困っているとアンナさんは優しそうに笑いながら言った。



「大丈夫、もう治ってるから」


「いやでも凄い色してませんでしたか?」


「出血止まらなかったのよねぇ、おばさん困っちゃったわ」



 レイナの母という事を考えると明らかに年齢詐称な見た目をしたアンナさんはウインクをする。その頭の上にはレイナと同じく帽子があった。帽子も見た目と同じく遺伝するのだろうか、不思議な家庭である。



 適当に話をしていると上の階から声がする。



「ママ、変な事しないでよ」


「はいはい、ほら勘次君上がってちょうだい」


「なるほど、白犬さんに聞けばレイナの恥ずかしいエピソードがあいてっ!」



 跳弾の要領で飛んできた消しゴムのビンタに促されて俺は家に入る。どうなっているんだお前の消しゴムエイムは。



 入り口直ぐ横にある階段を上がると2つ部屋があり、一番手前がレイナの部屋である。レイナはベッドに座ったまま消しゴムの発射体制に入っており降参の姿勢を取ったまま部屋に踏み入った。



「ブー」


「ブラックリスト!?」


「警告音が随分とトラウマになってるね。それでどうだった。貸した漫画『ブブブーブ・ブーブブ』」


「ブラックリスト!? ブラックリスト!? ブラックリスト!?ブラックリスト!? ブラックリスト!? ブラックリスト!?ブラックリスト!?」


「ブーの一音ごとに反応しないでくれよ」


「ブラックリスト!?」


「これにも反応するのか君!?病院行くかい!」



 冗談は置いておいて借りた漫画、『ブブブーブ・ブーブブ』をレイナの机の上に置く。本当に理解不能の話で読んでて頭痛がするほどだ。笑いの前に来る疑問詞が大きすぎて頭の中が空白になる、不思議な経験だった。



 そう言うとレイナは若干不服そうな表情をしながらブブブーブ・ブーブブを棚に戻してゆく。レイナの部屋はベッドと本、そしてVRダイブ用の椅子がついた机以外は何もない。ただ置かれている漫画の個性が強い気もするが。



「何か遊ぶ?」


「いいけど君、今何してるか本当に理解してる?」



 俺が能天気にレイナにそう言うと呆れかえった表情で彼女はパソコンを指さした。そのモニターには配信が音無しで流れ続けている。配信開始より13時間が経過したその配信は目的が達成できる様子がなく視聴者も撮影者も焦っているのがすぐに分かった。



「え、ヒニル君これ徹夜コースなの?」


「うん、徹夜で君を探して街を走り回ってるよ。だって君来ないと始まらないもの」


「……なんかゴメン」

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