第6話 侵入経路

とりあえず、この場は侯爵家の騎士に任せて、僕達は立て籠りの現場、ユイナーダ銀行学園街支店に行く事にした。



「あれ?そう言えば、ケイトちゃんの彼氏のライネル様はどうしたの?

確か透明化インビジブルが得意だったよね?」



という僕の質問に対してエリーちゃんは……



「それがねー5日前に、ベネト領の冒険者ギルドから指名依頼が来て今近くに居ないのよ。」



と残念そうに答えた。



5日前にこっちを出たんなら、今頃現地に着いたところかな?

何の依頼かわからないけど、それじゃ絶対間に合わないよね。



「エリーちゃん…もう1人くらい小柄で身軽な人居ない?

もし、僕が見つかった時に連絡役で欲しいんだけど。

後、銀行の見取り図とか設計図も。

シルバーが侵入経路を知ってるだけじゃ困るよ。」



僕の要求にエリーちゃんは少し考えてから答えた。



「う~ん。侵入経路の方は大丈夫。

専門の人※1がいるから、もう揃ってるわ。

それから小柄な子も1人居るわよ。

ここへ来る前に連絡したから、たぶんもう来てると思う。」




エリーちゃん達と話しながら着いたのは、銀行じゃなくて少し離れた空き家だった。



「ここって?」



何か嫌な予感が……



「正規のルートじゃ侵入できなかったから、他にないか探してたらそこに転がってるおじさん達が、地下から銀行に行くトンネルを掘ってたのよ。

ちょうど良いから利用させてもらう事にしたわ♪」



周りをよく見ると簀巻きにされた、が40人近くいた。

エ…エリーちゃんそれって、もしかしなくても別口の銀行強盗じゃ!?



「あれ?このおじさん達が通れるなら、別に僕じゃなくても通れるんじゃないの?」



と僕が言うとエリーちゃんはため息を吐きながら



「それがねー、このおじさん達のトンネル金庫室の近くにあった、キングノーネズミの地下通路までは続いているんだけど、そこから先はその地下通路を通らないと銀行側に行けないのよ。」



あゝ確か銀行強盗防止策で銀行の地下は、土魔法で掘れないんだっけ。




「全部人力で掘らないといけないからトンネルを掘る為に、あれだけの人数がいる訳なのよ。

まぁ残念ながら先を越された上に、こうして私達に捕まってるんだけどね。」



銀行強盗未遂のおじさん達、エリーちゃんに見つかったのが、運の尽きだったね。



「ところでこのおじさん達どうするの?」



やっぱり衛兵隊に突き出すのかな?



「穴掘りが好きみたいだし、最近ボルネオール領で見つかった鉱山で働いてもらおうかしら?

おじさん達のおかげでケイト達の救出作戦が早く進んだから、父様に交渉してあげるわ。」



うわぁ~エリーちゃんの所の最近見つかった鉱山ってアレでしょ?

如何にも親切そうに言ってるけど、この前領地に帰った時にシルバーが見つけた、ダンジョンの中にある魔石鉱山。




絶対、国の鉱山の方がマシだよー。




なんか銀行強盗未遂のおじさん達、エリーにお礼言ってるけど、きっと後悔するだろうね。



----------------ーー


※1


銀行強盗未遂犯のおじさん達の事。

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