自販機彼女の決まりごと

突然現れた彼女はそれはそれは凄かった。


足の踏み場もあまり無く、散らかり放題だった俺の部屋は半日も経たずに入居してすぐのようなスッキリとした部屋へ早変わりした。


料理の腕も中々で、二日酔いが酷い俺にサラダを作ってくれた。サラダなんてただ生野菜を盛り付けるだけだと思っていたが、彼女が作ったたまごサラダはこれまでのサラダの概念を覆すほどに美味かった。


そして何より彼女は目の保養になった。


背もすらっとしていて、ゆったりとした服を着ているにもかかわらず胸が大きいことが分かる。そして丁寧に手入れされているのであろう黒髪から覗く整った顔立ちは、テレビやポスターで見る女優さんよりも美しく見えた。


そんな彼女を好きにできる。

男なら誰しもそう思うんじゃ無いかな。

俺も最初はかなり期待した。というか下心しか無かったと言ってもいい。だが彼女から提示された鉄の掟によって、その妄想は打ち砕かれてしまったんだ。


「一、プライベートの詮索禁止」


「二、身体に触れることを禁止」


「三、22時以降の夜間でのサービス禁止」


「これらに違反してしまうと、サービスが出来なくなってしまうので、注意してくださいね」


彼女からはそう告げられた。

俺は無理やり溢れそうになる下心を押さえつけた。

たたでさえアンダーグラウンド感の漂うサービスなのに、もし違反でもしたら、どんな厳つい輩が乗り込んでくるか分からない。

そんな気がしたからだった。


でも俺は満足だった。

気立もよく家事も出来る超絶美人が家にいる。

それだけでも十分勝ち組だろ。

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