第392話 神殺し







 フィストレアの許可を貰い【神眼】を使った俺は、フィストレアのステータスを覗かせて貰っていた。

 ちなみに俺の右隣りでは、フィストレアのステータスに興味があると言うグラファルトも一緒になって【神眼】を使っていた。勿論、グラファルトに関しても、ちゃんとフィストレアからの許可は得ている。


 そうして俺達はフィストレアのステータスを覗き見る事が出来たのだが……フィストレアのステータスを見た俺達は、二人揃って首を傾げてる事となった。


「「んー?」」

「んお? 儂のステータスは何処かおかしいのかのぅ?」

「いや、おかしいと言うか……」

「うむ……見たことの無いスキルばかりだな」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


名前 フィストレア


種族 神


レベル ――


状態:”ステータス低下”、”成長逆行”、”表示不可”


スキル:(表示不可)


固有スキル:【禁獣化】【精霊魔法】【精霊言語】【人化】【魔神の種子生成】(その他表示不可)


特殊スキル:【消去】【死出継承しいずるけいしょう】【忍び寄る幻影】【詠唱破棄】【並列思考】【威圧S】【気配察知A】【状態異常無効SS】【精神汚染耐性S】【不老不死】【封印耐性S】【浮遊】【空歩】【歴戦の双腕】【神性魔法】【神眼】


権能:【神器(悪童の籠手)】【奈落の戦場】【魂魄定着】【スキル創造】


称号:【――――】【フィエリティーゼの天敵】【死を受け継ぐ者】【災いの主】【世界の悪を背負う者】【ファンカレアに反する者】【悪神】



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 俺にはいま、フィストレアのステータスがこんな感じに見えていた。多分、仕草を見る限りではグラファルトも同じだと思う。

 フィストレアの保有する特殊スキルは聞いた事の無いものが多く、そして名前だけではその効果がイマイチ分からないものも存在していた。


「このスキルと固有スキルに書かれてる”表示不可”って言うのはなんだろう? フィストレアの目からはどう映ってるんだ?」

「ん? スキルと固有スキルか……儂の見た限りでは”非表示”、”その他非表示”と書かれておるのぅ」

「あ、それはですね……」


 表記の違いについて三人で首を傾げていると、俺達の様子を見守って居たファンカレアが丁寧に説明してくれた。と言うか、初めからファンカレアに聞けばよかったのでは?


「まず原則的にステータス画面は基本的に本人しか確認できません。ですが、神に連なる者のみが持つ特殊スキル【神眼】を用いれば相手のステータスを見れる様になっています。この神に連なる者と言うのは女神であるフィストレア、邪神となったグラファルトの事ですね」

「「「ふむふむ」」」

「【神眼】を用いれば他者のステータスを見れます。ですが、それは言わば他者の魂に刻まれている記録の全てを読み取るに近しい行為であり、【神眼】の使用者の脳に大きな負荷を掛けてしまう行為でもあるのです。ですので、覗き見る対象が保有するスキルが多い場合は負荷を減らす為に”表示不可”と表記する様にしたんです。意識を集中すれば更に細かく見る事も出来るのですが……その負荷は大きいと思いますのでお勧めはしません」

「「「なるほど……」」」

「ふふふ、こうして三人に説明をしていると、先生になった気分ですね」


 ファンカレアはそう言うと嬉しそうにニコニコとした笑顔を見せてくれた。

 実際、すごく分かりやすかったし、ファンカレアは人に教えるのが向いているのかもしれない。


「ファンカレアのお陰で表記に関する謎は解決したけど、脳に負荷が掛かるならやめておいた方がいいかな?」

「そうじゃな。普通のスキルと固有スキルは諦めてもらうしかないのぅ。まあ、儂としてもスキルや固有スキルでは釣り合わぬと思っておったから、遠慮する事無く特殊スキルから選んでくれ」


 フィストレアに笑顔でそう言われた事で、俺とグラファルトはフィストレアの言葉に甘えさせてもらい、特殊スキルの中でも聞いたことのないスキルを選んでいき、その能力についてフィストレアに聞いていく。


 そうして特殊スキルの詳細について説明して貰った後で……俺はフィストレアのステータス画面、その下の部分に視線を向けた。


「なあ、この権能って言うのは?」

「むっ、それは無理じゃ」


 俺としてはこれはなんなのか説明して欲しかっただけなんだけど、フィストレアは俺の質問に対してそう即答してその表情を曇らせた。


「いや、権能の中から選ぶつもりは無かったんだけど……これって、フィストレアの神格に宿る力なのか?」

「そうじゃ、これは言わば儂の魂そのものと言っても過言では無い。まあ、五万年前の一件で随分と物騒にはなってしまったがのぅ」

「そうなのか……もしもの話だけど、権能を俺が貰ったりしたらどうなるんだ?」


 ちょっとした好奇心からそんな質問をしてみると、フィストレアは少しだけ考える素振りを見せたあとでゆっくりとその口を開くのだった。


「うむぅ……恐らくではあるが、儂は大幅に弱体化するじゃろうな。最悪の場合は儂は権能を四つ持っておるが、その一つでも失うとなれば……最悪の場合、自我の崩壊が起きてもおかしくは無い。権能の無い神など、ただの人と変わらぬからのぅ」

「うーん、じゃあ権能の中から貰うのは無しだな。いや、元々貰うつもりもなかったんだけどさ」


 フィストレアに影響を及ぼす事態に陥るのなら、例え通常スキルであっても貰ったりはしない。自分が強くなることとフィストレアの安全なら、俺は迷うことなくフィストレアの安全を最優先する。

 今でも十分戦えるし、大切な人達を犠牲にしてまで力が欲しいとは思わないからな。


 俺がそう伝えると、フィストレアは嬉しそうに笑っていた。


「そうじゃな。儂としてもまだ死にたくは無いからのぅ。じゃが、心配しなくても人であるお主では儂の権能を動かすことは出来ぬから、そんな心配は必要ない――「あの、フィストレア」――んぉ? なんじゃ、ファンカレア?」

「大変申し上げにくいんですが……藍くんなら、私たち神々の権能を奪えますよ?」

「なにっ!? さてはランは……あの"神殺し"なのか!?」


 ファンカレアの言葉を聞いたフィストレアがその顔を驚愕に染めて俺を見る。話を聞いていた俺はいきなりの展開についていけず、ただただ首を傾げることしか出来なかった。



 …………"神殺し"って、なんの事だろう?








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