第318話 閑話 罪人への宣告 後編 ※少し長めです






「この世界には――”六色の魔女あんたら”よりも強い存在が居るんじゃねぇか?」


『ッ……』

「あん? な、なんだぁ? この空気は?」

「ん”ん”っ……ええっと、どうしてそう思ったんだい?」


 ラグバルドの問いかけに一瞬だけ訓練場の空気が重くなりピリついたが、ライナが咳払いをすると一瞬にして元の静寂へと戻る。

 一瞬だけ訓練場を襲った重い雰囲気にラグバルドは気圧されたが、それは一瞬の出来事だったので気にしないことにして、ライナの質問へと答え始める。


「別に明確な根拠がある訳じゃねぇ。これはあくまで俺様の直感なんだが……あの時、俺が意識を失う直前に新緑の魔女とは比較にならねぇくらいの魔力を感じた気がしたんだ」

「……ほう?」

「俺様は強い奴と戦うのが好きだ。戦って勝ち残り、更に強くなったらまた更に強え奴と殺し合う。そうして手に入れたこの力でも、正直"六色の魔女あんたら"には勝てるビジョンが見えねぇ……だからこそ俺様は"六色の魔女あんたら"を目標にして強さを磨いてきたんだ。少なくとも、昨日まではな……」


 この時、ラグバルドの言葉にライナは感心していた。

 と言うのも、ラグバルドが藍の正体について知らないのは昨日のフィオラの尋問によって判明している。そして、藍は”女神の羽衣”による認識阻害を行っていた状態であった為、藍の魔力が漏れたのはほんの一瞬の事であった筈なのだ。


 つまり、ラグバルドは藍の正体について何も知らない状況で一瞬だけ漏れた魔力を感知してその強さについて気づいた事になる。


 ライナは視線をチラリとクォンに移すが、クォンが何の話をしているのか理解していない様子を確認すると直ぐにラグバルドへと視線を戻した。


(彼女の顔を見る限り、気づいたのは彼だけか……彼の種族は確か銀狼種だったかな? 銀狼種には極稀に第六感と呼ばれる優れた感知能力を持って生まれる子が居るって聞いたけど……もしかしたら、彼がそうなのかもしれないね)


 僅かな時間で、藍の強さを理解したラグバルドの感知能力にライナは少しだけ興味を抱いた。


「なあ、頼む……教えてくれ。この世界には"六色の魔女あんたら"よりも強え奴が居るのか!? だとしたら、そいつはどうやってその強さを手に入れたんだ!? 俺様は……どうやったら、そいつに追いつくことが出来る……ッ」

「……」


 大きな拳を握りしめて、ラグバルドはその瞳を微かに震わせながらライナに投げかける。

 ラグバルドの言葉を受けて、ライナは少しだけ考える素振りを見せるとその顔を右へと動かしミラスティア達が立つ場所を見た。


 ミラスティアはライナが見ていることに気づくと、他の四人へと目配せをして確認を取りそれが終わると再びライナへと視線を動かして一度だけ頷いて答えた。

 ミラスティアの頷きを受けてライナは頷き返すとその視線をラグバルドへと戻して話を始めた。


「――まず、僕達よりも強い者が存在するのかだけど……これは条件によって大きく回答が変わってしまう。だから答えを定める為に”現在この世界で生きている者の中で”と言う前提を付けさせて貰って良いかな?」

「……ああ、それで構わねぇ」

「そうか、なら君の質問に答えるとしよう。僕達よりも強い存在は現在、この世界に確かに存在しているよ」

「そうか! やっぱり居るんだな!? なら、どうやったそいつに会え――「でも、君が彼……いや、彼らに会うのは不可能だ」――ッ!?」


 まだ見ぬ強者の存在を知ったラグバルドはどうすれば会えるのかと聞こうとするが、そんなラグバルドの願いはライナの言葉によって一蹴される。


「まず、彼らの存在は事情があって秘匿されていると言う事。これに関しては君も勘づいていたんじゃないかな?」

「……あれだけの認識阻害を掛けてたんだ。俺様は他人よりも強い気配を感知しやすいから分かったが、まあ隠そうとしていたのは理解できる」

「そうなんだ。あの時は緊急時だったから魔力の一端を使ってしまったけど、彼らは今のところ公に姿を現す予定は無い。だから、君が幾ら頼んだとしても会うのは無理だろうね」

「……そうか」


 ラグバルドはライナの話を聞き終えると少しだけ肩を落として訓練場の出口へと歩き出した。自分が求める強者には会えないと知り、もうラグバルドには此処に居なければいけない理由がなくなったからである。


 そんなラグバルドの背中を見ながら、ライナはぼそりと呟いた。


「ただ、君が僕の出す条件を守り成し遂げたなら、会わせてあげてもいい」

「本当か!?」

「……ライナ?」


 ライナの呟きにラグバルドは勢いよく振り返り獰猛な笑みを見せる。

 そして、ライナ背後では怪訝そうな顔をするミラスティアの姿があった。ライナは少しだけ低い声音のミラスティアの声に「大丈夫だから」とだけ返し、ラグバルドへ三つの条件を提示する。


「一つ、冒険者としての活動を再開する事。一つ、冒険者として活動を始めたら一切の犯罪行為を行わない事。これは自分からと言う意味で、正当防衛や喧嘩くらいなら許すよ。そして最後に……死の森に生息する血戦獣の何れかを”一人だけで”討伐し、その死体を一部でも良いから冒険者ギルドへ提出する事。これらの条件を全て守り、見事血戦獣を討伐した暁には――君が会いたいと言う人物との面会を許そうじゃないか」


 ライナの提示した条件は決して楽な道のりではない。

 死の森に生息している血戦獣を討伐したと言う報告は、未だ冒険者ギルドにされていない。この世界で血戦獣を討伐出来るのは”六色の魔女”かその弟子達、もしくは魔竜王だけだと言われているからだ。

 そもそも血戦獣を抜きにしても死の森に生息する魔物はどれも強力であり、Aランク冒険者であっても一人では太刀打ちできないとされている。


 そんな危険指定地域に行けと言う条件は、言い換えれば死刑宣告に他ならない。

 常識を持っている者であれば、即座に断るくらいに高難易度な条件なのだ。


 ライナの後で控えていたミラスティア達五人も、この条件には苦笑を隠せないでいる。”六色の魔女”の弟子の中で一番死の森へ放り出された回数が多いであろうレヴィラであっても、血戦獣を討伐するのには最低でも三日は掛かるのだ。

 そんな場所へ魔女の弟子でもないただの獣人が入ればどうなるか、そんなことは考えるまでもなく分かるだろう。


 ……しかし、ライナから条件を提示されたラグバルドは違った。


「はっ! 面白れぇ……面白れぇじゃねぇか!!」


 武者震いで体を震わせながら、まるで遠吠えをするかの様に叫ぶラグバルド。

 そう……彼はライナやグラファルトと同じ”戦闘狂バトルジャンキー”と呼ばれる部類の生物なのである。


「冒険者ギルドには僕から話を通しておく。つまり、君は冒険者として活動している間、常にギルドを通して僕から監視されていると言う事だ。条件を守れず問題を起こせば僕が直接手を下すことになる。真っ当に冒険者として強さを極めて行くと言うのなら何も問題なく生活できると思うよ」

「そいつはありがてぇ! 問題を起こして追放された身だ。ギルドに戻れるかどうかが問題だったが、あんたが手を貸してくれるなら俺様は強くなることに専念できるぜ!」

「出来れば通常依頼や緊急依頼にも参加して欲しいんだけどね」

「そいつは内容次第だな。ただの護衛なんかなら却下だ! ただ強え奴と戦えるのなら引き受けてやる!!」

「わかったわかった、ギルドにはそう話しておくよ。ミラスティア姉さん達もそれでいいかな?」


 嬉々とした表情で喜ぶラグバルドを見て呆れた様な笑みを浮かべたライナは後ろへと振り返りミラスティア達へと視線を送った。

 ライナに問われたミラスティア達は一度だけ全員で目配せをした後、五人の代表としてミラスティアが一歩だけ前へと踏み出しライナへ言葉を返す。


「まあ、その条件なら良いわよ。ただし、それで被る被害が起こった際には全責任をライナが負うと言う事で良いわね? あなたが言い出した事なんだし」

「それで構わないよ。さて、ミラスティア姉さん達からも許可は取れたし、僕達は歩きながら今後の話でもしようか?」

「おう! 俺様はそれで構わねぇ!」

「それじゃあ、僕は予定通りラグバルドをプリズデータ大国の外まで送り届けるよ。それでラグバルド、拠点にはヴォルトレーテ大国を使った方が良いよ。あそこなら僕が色々と融通出来るからね。それと――」


 そうしてライナとラグバルド、その二人を慌てて追いかけたメイドの計三名が訓練場を後にした。

 訓練場から離れるまでの間、ライナとラグバルドが愉快そうに話す声が静寂の訓練場に木霊する。

 そんなライナの様子を見て、ミラスティア達五人は”またライナの厄介な世話焼き病が発症した”と半ば諦め混じりに三人が消えて行った訓練場の出入り口を見つめるのだった。











「――さて、色々と予定外の事がありましたが……次はクォン・ノルジュ・ヴィリアティリアの番ですね」

「ッ……」


 ラグバルドの破天荒振りについていけなかったクォンは、今までのやり取りを唯々呆然と眺めることしか出来ていなかった。

 しかし、いよいよ自分の番が来た事で呆けていた意識をはっきりとさせる。


 少しだけ強張った表情をしたクォンを見下ろして、フィオラはクォンの罪状について説明を始めるのだった。


「貴女はプリズデータ大国の王都にて、故意に殺傷能力の高い魔法を使用しましたね? それに加えて、意図的にシーラネル第三王女殿下へ魔法を放った疑惑もあります。そして最後に――これはプリズデータ大国は関係のない事ですが、貴女は精霊を意図的に殺すと言う禁忌を犯しましたね?」

「ッ!!」

「おや? もしかして、今回の判決はプリズデータ大国内で起きた出来事のみを追求するものだと思っていたのですか? そんな訳がないでしょう? それならば、私達がこうして直接判決を下す必要は無いのですから」


 驚いた様子で見つめるクォンに対して、フィオラは声に僅かばかりの怒りと殺意を織り交ぜながら話を続ける。

 そんなフィオラの姿を見て、クォンは何も言えずに震えることしか出来なかった。


「こう言ってはプリズデータ大国に申し訳ないですが、王都内で起きた事柄は物のついでです。我々がこうして人を罰するのは――そのほとんどが<使徒>としての役目を全うする為なのですから」

「あ、あ”ぁ”……ッ」

「クォン・ノルジュ・ヴィリアティリア。貴女は故意に、そして多くの精霊を殺しましたね?」

「わ、わた、くしは……」

「分かっているとは思いますが、私に嘘は通用しませんよ?」

「ひっ……」


 何とか取り繕おうとしたクォンに、フィオラがその魔力を強めて釘を刺す。

 この訓練場には現在フィオラが発動した結界が張られている為、フィオラの溢れる魔力が外へと漏れる事は無いがそれはあくまで外へ漏れないだけである。

 フィオラと同じ空間に居るクォンはその魔力の圧を強く受けており、クォンはその身を襲う恐怖から逃れる様に両腕を後ろ手に縛られた状態で尻もちを着き、後ずさる様にして距離を取ろうとしていた。

 そんなクォンの傍らに立って居たメイドは、既に意識を失って倒れている。

 それ程までにフィオラが体外へと放出した魔力量は多く、常人では耐えられない程の圧迫感が既に訓練場一帯を覆い尽くしていた。


 しかし、当のフィオラは周囲の様子に全く気づいていない。

 それどころか、質問をした相手が逃げようとした事を不快に思い、後ずさるクォンを追おうとして一歩足を踏み出していた。


 だが、そんなフィオラの行動を制止させるべくミラスティアがフィオラの左肩を掴む。


「――落ち着きなさい、フィオラ」

「何ですか? 私はいま気が立って――「あら……”私にお説教をされたいの?”」――ッ!?」


 フィオラをも超える紫黒の魔力を解放したミラスティアが一瞬でフィオラの解放した魔力を吸収し尽くすと、ミラスティアは紫黒の魔力を霧散させ訓練場には再び静寂が訪れた。


「ここからは私が引き継ぐわ。あなたは思っていたよりも今回の騒動について怒りを覚えている様だから。良いわね?」

「……はい。すみませんでした」


 優しく諭す様に話すミラスティアの言葉にフィオラは我に返り周囲を見渡した後、顔を青くして直ぐに謝罪の言葉を口にした。


「気にしなくて良いわ。さて……それじゃあロゼは倒れているメイドを、アーシエルはクォンを気付け薬を使って起こしなさい。フィオラとリィシアは私と一緒に待機よ」


 フィオラから場の指揮権を譲ってもらった後、ミラスティアは的確に指示を繰り出し場を整え始める。

 そうして意識が朦朧としていたクォンは正気を取り戻し、再び"六色の魔女"の前へと戻った。しかし、ロゼが介抱していたメイドは完全に意識を失っていた状態であった為、気付け薬でも回復は見られず、ミラスティアの指示でロゼが訓練場の外へと連れて行くこととなった。



「それじゃあ、判決に戻りましょうか。とは言っても、クォンが意図的に精霊を殺したのは事実。プリズデータ大国での騒動に関しても、目撃者が居るから言い逃れは出来ないわ」

「ッ……」

「とりあえず、プリズデータ大国での件についてはラグバルドと一緒よ。罰金として金貨100枚とプリズデータ大国への出入り禁止ね。支払いはいつでもいいけれど……今すぐ払えるかしら?」

「は、はい……手を、解いていただければ直ぐにでも」

「そう。なら、直ぐに外させるわ。一応忠告しておくけれど、上手く撒こうだなんて思わないようにね?」


 ミラスティアの忠告にしっかりと頷いたクォンを見て、クォンの背後で監視していたアーシエルが亜空間から取り出したナイフで腕を縛っていた縄を解いた。

 アーシエルによって縄を解かれると、直ぐにクォンは亜空間から金貨が入った麻袋を取り出してアーシエルへと渡す。


「……うん。じゃあ余剰分は返しておくね」

「は、はい」

「ミラ姉! 確認終わったよ〜!」


 麻袋を開いて中身を数え始めたアーシエルは、ものの数分で中身の確認を終えると麻袋の中から金貨数枚を取り出してクォンの手に渡した。

 そして、金貨の入った麻袋を一旦自分の亜空間へと仕舞うと、元気よく右手を振ってミラスティアへ声を掛け、罰金の支払いが完了したことを告げる。


(と、とりあえず、これで罰金は払い終えました……良かった……魔封じの腕輪は免れたのですね……)


 一連の流れを脅えながら見守っていたクォンは、罰金を支払い終えたことで安堵してしまいその場にへたり込む。


 しかし――


「あら、まだ最後の罰が残っているわよ?」

「え……」


 ――そこで終わりに出来るほど、クォンの罪は軽いものではなかった。


 クォンに科せられた最後の罰を告げる為に、ミラスティアの後方に立っていたリィシアが前に出る。


「……クォン・ノルジュ・ヴィリアティリア」

「は、はい……」

「……精霊達を殺した罰として、女神ファンカレアの<使徒>である私――リィシア・ラグラ・ヴィリアティリアは罪人であるお前に"精霊の呪い"を付与する事を決めた」

「なっ……」


 ヴィリアティリア大国の女王であるクォンは"精霊の呪い"についてよく知っていた。だからこそ、その呪いが解呪できる代物でないことも理解していたし、ヴィリアティリア大国の女王である自分にとっても最悪の証である事もよく理解していたのだ。


「い、嫌です……ど、どうか、どうか、ご慈悲を!!」

「……殺された精霊達を前にして、お前は慈悲を与えようとしたの?」

「ッ……がぁっ!?」

「おっとっと……まあ、逃げられるわけないよね〜」


 慈悲も情けもかける気の無いリィシアの様子に、クォンは即【獣化】の固有スキルを使い逃げようとするが、体長2m程の金狐に姿を変えたところでアーシエルによってその首を掴まれて地面へ叩きつけられてしまう。


『い、嫌よ……絶対に嫌ァァァ!!』

「……殺された精霊達も、みんな一緒だった。死にたくない、嫌だって……絶対叫んだはず。そんな精霊達を……お前は殺したんだッ!!」


 金狐となりながらも人の言葉で呪いを嫌がるクォン。しかし、リィシアは勿論の事、訓練場に居た全員かクォンの言葉に耳を貸すつもりは無かった。


「大人しくしなよ〜……私だって、ミラ姉やフィオ姉が止めてなければ、君の首をへし折ってやりたいくらいなんだから」

『グゥ……ッ! そ、そうです! 精霊はどうするのですか!? "精霊の呪い"を付与するには上位精霊の力が必要な筈……!! しかし、ここには上位精霊はおろか、下位精霊も居ませんよぉ!? さ、探しに行くのでしたら、その間わたくしは大人しく――「……その必要はない」――へ?』


 唯一の突破口を開いめいたクォンは、この場に"精霊の呪い"を付与できる上位精霊が存在しない事を指摘した。そうして上位精霊を探しに行っている間に、何とか隙を作って転移出来る術がないかを考える時間を獲得しようとしていたのだ。


 しかし、そんなクォンの望みもリィシアによって砕かれる。


「……"精霊の呪い"を付与するのは――私だから」

『は……はぁ!? そ、そんなこと出来るわけが無いじゃないですか!? "精霊の呪い"は上位精霊の存在が不可欠なんですよ!? 例え貴女が女神の<使徒>であったとしても、所詮は唯の人間……なん、ですから……ッ!? ま、まさか……嘘です……そんなのありえないッ!!』


 リィシアの発言を馬鹿にする様に反論を口にしていたクォンだったが、最後の最後に自分が口にした言葉の意味を頭の中で理解して、ある可能性を見出して途端に狼狽え始める。


 悲しいかな。

 これが獣人の誰しもが持つ察知能力であるのなら、これ程までに哀れで悲しい事は無いだろう。


 不運にも――最後にクォンが導き出した可能性が現実のものになってしまったのだから。


「……そう、私は女神の<使徒>。ファンカレアからその称号を授かり、それと同時に――一つの力を授かった」

『嗚呼……嘘だ……嫌だ、嫌だ嫌だ!!』


 狼狽え狂ったように暴れるクォンだったが、アーシエルがその手を離すことはない。そうしている間にもリィシアはその体内で魔力を練り上げて、やがてゆっくりと瞳を閉じた。


「……私はお姉ちゃん達とは違う。私が授かったのはスキルでも、魔法でもない。私が望んだのは――私自身が精霊と成る事だから」


 開眼したその両目には魔力色と同じ六色の光が瞳の中を揺らめく様に灯り、リィシアの背中には半透明な虹色の羽が四枚現れた。

 その羽を使って体を浮かせたリィシアは、地べたへと叩きつけられたクォンを見下ろしてその魔力を解放する。


「……私は精霊と人間の両方の性質を持つ存在。さあ、私の精霊家族を殺した罪人への裁きを始めましょう」

『ひぃっ……』


 王都で暴走した時とは比べ物にならない量の魔力。

 それは精霊と化したリィシアが家族である精霊から借り入れた物だった。


 こうして、リィシアは怯えた様子のクォンに対して”精霊の呪い”を付与する事に成功する。

 呪いの付与が終わった事でリィシアは精霊の姿から元の姿へと戻り、全ての罰を与え終えたクォンはアーシエルによってプリズデータ大国の外へと連れて行かれた。





 その後、藍達がプリズデータ大国に滞在している間にクォンとラグバルドを見た者は居ないと言う。

 ただ、ユミラスがヴィリアティリア大国へと放った眷属からの情報によれば、クォンがヴィリアティリア大国へと戻った様子は無い様だ。


 果たして、クォンは何処に隠れているのか……。

 藍達が死の森へと戻った後、ユミラスは眷属達を再び外へと放ち”精霊が寄り付かなくなった場所”が無いか探させたと言う。











@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


 【作者からの一言】


 これにて閑話は終了です。

 そして、ここでリィシアがファンカレアから与えられた力?が判明しましたね。

 次回は藍くんサイドのお話に戻り、その後は午後のアーシェとのデートへ移ります!

 

 【作者からのお願い】


 ここまでお読みくださりありがとうございます!

 作品のフォロー・★★★での評価など、まだの方は是非よろしくお願いします!

 ご感想もお待ちしております!!


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