第306話 プリズデータ大国 三日目(午後)⑤ ※少し長めです






 三人で商業地区を見て回り結構な時間が経っていた。


 基本的にはリィシアの説明を聞きながら、店舗には入らず出店を眺めて興味が惹かれれば品物を見て行くといった形だ。

 ”女神の羽衣”を纏っている状態で店舗に入るのはまずいと判断したのと、デートの下見とは言え、細かく見過ぎると新鮮さが無くなって面白くないかなと思ったから。


 リィシアとファンカレアにはちゃんと説明してある。

 二人はアーシェの楽しみを奪う訳にはいかないのと、出店だけでも十分見応えがあるからと言って快諾してくれていた。


 アーシェの事を大事にしてくれているって言うのもあるんだろうけど、二人が言うように商業地区で出店を開いている人は多い。

 リィシアの話ではロゼが制作した魔道具をユミラスが買い取って、それを商業ギルドからの貸出と言う形で出店を開きたい人に使わせてあげているのだとか。

 その魔道具の効果で雨風は勿論、雪の降る日でも関係なく出店を開けるらしい。魔道具の説明も詳しく聞きたかったんだけど、興味が無かったリィシアが『忘れた』と言った事でこの話は終わった。暇な時にロゼに聞こうと思う。


 商業地区は中央広場の出入り口付近の人気の店舗が並び、王都の外へと続く奥に行けば行くほど店舗が少なくなり簡易的な造りの出店が増えて行くようになっている。


 俺達は店舗には基本的に入らないつもりだったので、早々に奥まで進んで行き出店が並ぶエリアへと移動した。

 出店では本当に色々な物が売っていて、出店エリアへ着いてからは店舗エリアの時とは違い目移りばかりしてしまって、数歩進めば止まると言う流れを何度も繰り返していた。


 勿論、出店を回る道中でミラ達へのお土産も買ってある。

 ドワーフ種である夫婦が開いていた出店で、奥さんの作品だと言うガラス細工だ。


 出店に人が居なくなったタイミングで俺達三人は夫婦の出店の傍まで移動して”女神の羽衣”の”視認阻害”と”反響阻害”を解除して出店の前へと移動してローブを外す。

 事前に外見に関しては人種で青髪、黒目と統一するように話し合っていたので、俺達の存在がバレる事は無い。

 夫婦も俺達が親子だと勘違いしてくれたので、問題なく買い物をすることが出来た。


 ……まあ、夫婦に子供と認識されていたリィシアは若干不満そうな顔をしていたけど。


 何でも夫婦は元々ロゼが建国した国――ラヴァール大国――に住んでいたらしいのだが……五大国連盟が崩壊する前後からラヴァール大国の方針が一気に変わり始めた様で、その方針について行けず夫婦でラヴァール大国を出て行く決意をしたらしい。

 幸いにも夫婦には鍛冶師やガラス細工師としての確かな腕があったのでラヴァール大国を出てからも特に生活には困ることなく暮らせている様だ。


 そんな半ば旅行も兼ねた生活の中で辿り着いたのがこのプリズデータ大国であり、商業地区の盛り上がりや魔道具の豊富さに感心した二人は、全財産を叩いて住宅地区の中で一番広く王都の外壁に面しているエリアを購入して工房兼住宅を建てた様だ。

 二人はプリズデータ大国の商業地区でも有名になりつつあり、次の目標はお金を溜めて自分達の店舗を持つことらしい。


 ……何故、俺がこんなにも詳しく知っているかと言うと。


「――それでね? あたしは別に出店でも良いよって言ってたんだけど、ダリルったら『……お前に苦労をさせたくねぇ。俺について来たお前と一緒に店を開きてぇんだ』だってさぁ!! もうっ、ダリルってばあたしの事を愛し過ぎだよねぇ!」

「「そ、そうですね……」」

「…………」


 ガラス細工を見ていたら、夫婦である二人の内の一人……奥さんであるエンラさんに話し掛けられて、最初はガラス細工についての説明だけだったんだけど俺達が相槌を打っていたら自然と世間話に方向転換して行き、最終的にはエンラさんの惚気話へと移行していったのだ。


 ちなみに、旦那さんであるダリルさんは出店の奥の方で包丁を研いでいる。

 どうやらエンラさんの友人である奥様方の包丁を研ぐようにとエンラさんから頼まれた様だ。

 俺達がエンラさん達の出店を訪れた時に丁度のその話をしていて、エンラさんから大量の布で刃先を包まれていた包丁を渡されていたダリルさんが『……俺ぁ武器専門のつもりなんだがなぁ……』とボヤいていたのを聞いている。

 それでも断らないのは、なんだかんだで奥さんのお願いを断れないからだろう。その気持ちは俺にも分かるので、心の中でダリルさんの仕事を応援しておいた。


 エンラさんとダリルさんは120cmくらいの身長でエンラさんが肩まであるおさげ結びの赤髪に茶色の目、ダリルさんがボサボサの短髪の黒髪と無精髭に茶色の目と言う見た目でドワーフ種としてはまだ若い40代と言う事だった。

 ダリルさんは身長は低いがその体は筋肉質であり大きな金づちを腰に携えている。エンラさんは女性らしい体つきをしているが袖なしの服から伸びた手は引き締まっていてスポーツマンと言った容姿をしていた。

 ドワーフ種にとって鍛え上げられた肉体は必須だと言う事で、小さな頃から金づちを振り下ろす練習を毎日させられていたとエンラさんが教えてくれた。


 ダリルさんとはご近所同士で、その縁から今も一緒に居るらしい。

 そこからまた惚気話が始まったのだが……ダリルさんもエンラさんを止める様子は無く奥に引っ込んでしまったので、俺達は苦笑を浮かべながらもその話を聞き続けてたのだった。


 そうしてエンラさんの話を聞きつつも、俺はエンラさんが作ったと言うガラス細工を選んでいった。


 商品棚に並べられていたエンラさんのガラス細工は全てが花の形をしている。

 エンラさん曰く、ダリルさんにプロポーズされた時に渡された花束がいまでも印象に残っていて、折角貰った花束が枯れてしまった事を悲しんだエンラさんが”自分と同じ思いをして欲しくない”と言う願いを込めて、枯れる事の無いガラス細工の花を作り始めたようだ。


 その願いが通じたのか、エンラさんの作るガラス製の花は夫婦やカップルの記念日に買われることが多いらしい。特注の依頼も度々あるそうで、忙しいながらも楽しい職人ライフを満喫しているようだ。


 並べられていたガラス細工は、飾る用にスタンドも付いてくる物や、髪飾りとして使えるもの、ブローチとして服に付けられる物など色々とある。花の種類に関しては有名な花をモチーフにしたり想像上の花であったりと様々な様だ。

 ガラスには透明なものと色が付いている物があり、高いのは色付きガラスの方らしい。これは技術面の問題ではなく単純に材料費が上乗せされているからだと教えて貰った。


 色々とある物の中で、俺は飾る用のガラス細工をお土産に買うことにした。

 花は見た事のあるラフィルナがあったため、在庫の確認をして貰い人数分ある事が分かってから購入の旨を伝える。


 あ、リィシアとファンカレアの分は自分達で選んでもらいました。

 二人は花はラフィルナだけど、髪飾りタイプにするらしく、購入後に付けて欲しいと頼まれて俺が二人に付けることとなった。


 耳の上に挿す形で付けたのだが、二人は亜空間から鏡を取り出して満足そうに眺めている。君たち……元の姿は違うだろうに……。


 そしてそんな二人の姿を見たエンラさんは俺から代金を受け取るとダリルさんの元へと駆けて行き『あたしにもあれをして欲しい!』と駄々を捏ねていた。そんなエンラさんからの猛攻を受けたダリルさんは最終的に渋々同意する事となり、喜ぶエンラさんの隣でチラリと俺を睨みつけてきたので苦笑を浮かべて頭を下げておく。いや、本当に申し訳ない……。


 こうして無事? お土産を購入し終えた俺達はそろそろ移動しようと言う話になり、上機嫌なエンラさんに『また何時でもおいで!』と見送られる形で夫婦の出店を後にした。


 気さくなエンラさんと口数の少ないダリルさん。今度は変装することなく素の姿で交流したいものだ。







 その後も出店を見つつ散策を続けて行き、ある程度時間が過ぎたところで一度中央広場に戻ることにした。

 というのも、出店の周囲には人が増えてきて正直暑苦しい。それに、元々人が多い所が得意じゃなかった俺にとってはあまりなれる事が出来ず、人混みに酔ってしまっていた。


 二人にそのことを伝えると、大小の違いはあれど二人も同じように感じていたらしく反対意見が出ることは無かった。


 そうと決まれば、出店エリアにいる理由は無いので来た道を戻るようにして進んで行く。途中でエンラさん達の出店近くにも行ったのだが、人でいっぱいだったので挨拶をするのは止めておいた。


 そうして立ち止まることなく進んで行くと、店舗エリアへとそうそうに辿り着き出店エリアよりは落ち着いた雰囲気に変わり始める。


「ふぅ……出店エリアとは違って店舗エリアは静かで落ち着くな」

「そうですね。人混みがあそこまで辛いものだとは思いませんでした……」

「……それに使用人の人も何人かいた」

「「えっ!?」」


 俺とファンカレアが人混みの辛さを共感し合っていると、リィシアからとんでもない言葉が放たれる。

 どうやらリィシアは、王城で働いている筈の使用人さん達を何人か目撃していたらしい。


「……気配を上手く隠してたけど、精霊に教えられて少し集中してみたら分かった。人混みに紛れて四角い紙みたいなのを見ながら誰かを探している感じだったから、多分お兄ちゃんの似顔絵かお兄ちゃん特徴が書かれたメモだと思う」

「ぜ、全然気づかなかった」

「私もです……」

「……お兄ちゃん達は王都観光に夢中だったから。注意力散漫」

「「ご、ごめんなさい……」」


 ファンカレアと二人で、こっちをジト目で見上げるリィシアに謝罪する。

 確かに目の前の光景に心奪われて注意力が欠けていたな……俺達は勝手に抜け出して王都に来ている身なのだから、もうちょっと気をつける事にしよう。


 最終的には怒られるのだから、それならせめて王都観光を楽しんでからにしたい。


 だ、大丈夫。

 ちゃんとお土産も買ってあるから死ぬことは無い……と思う。

 はぁ……いっその事逃げ出したいけど、悪いのは俺だからな。ここはしっかり怒られる事にしよう。


 とは言え、まだ帰るつもりもないのでリィシアからの報告を聞いた後、俺達は足早に商業地区を抜けて中央広場へと移動した。

 他の場所にも多分居るんだろうけど、確定で居ると分かった場所にいつまでも留まるのは良くないと思ったからだ。


 そうして俺達はなんの問題もなく中央広場に戻ってこれたのだが……。


「あれ、なんか人が多くないか?」


 商業地区に入る前は人の流れも疎らで落ち着けるだろうと思った中央広場だったが、戻って来た中央広場には人がごった返している。

 何事かと思ってその様子を見ていると、リィシアが俺の右手のローブを引っ張って来た。


「どうした?」

「……精霊に聞いた。なんか、エルヴィス大国で有名な菓子店が出張して来てるみたい。噴水の前で出店の形で売ってるって」

「エルヴィス大国で? どんな店なの?」

「……さあ? エルヴィス大国に行く機会はないから知らない」

「ええ……ファンカレアは知ってる?」

「えっと、私は結構大雑把にしか世界を見ていないので……」


 どうやらファンカレアも知らないみたいだ。

 世界を見守って居たとは言っても、そこまで細かく見ていた訳ではないのだろう。それに、ファンカレアの場合はただ寂しくて、その寂しさを少しでも埋められたらと言う思いで見ていただけだったろうし、こればっかりは仕方がない。


 申し訳なさそうにしているファンカレアに気にしない様に言いつつ、俺はリィシアにどんな感じのお店なのかを調べて貰う事にした。


 こういう時に精霊と自由に意思疎通が出来るのは便利だなと思う。

 俺も真剣に”精霊魔法”に関して勉強しようかな?


「……聞いた」


 しばらく俺から視線を外していたリィシアは一度だけ頷くと俺の方へ顔を向けてそう言った。

 俺はリィシアにお礼を言い、話を聞く事に。

 すると、驚く事実をリィシアから聞く事が出来たのだった。


「……多分、お店をやってるのは――転生者だと思う」

「えっ!? 本当か!?」

「……精霊に店頭の様子見て来て貰ったけど、商品の名前が”フルーツタルト”とか”モンブラン”とかミラお姉ちゃんがたまに買って来てくれるケーキの名前と一緒。あと……くれーぷ? って言うのもあった」


 あー、それはきっと転生者だと思う。


 そうかぁ……そりゃあ転生者の作った料理は珍しいし、ちゃんと再現出来るのなら味も間違いないだろう。

 そして、リィシアがその名称を言うまで忘れてたけど"クレープ"を販売しているのも良い判断だと思う。


 前にミラが言っていた事だけど、フィエリティーゼの食材は魔力を蓄えていればいるほど美味い。極論ではあるが、こだわりさえ無ければ魔力を蓄えた肉を適当に切って焼くだけで十分美味しいのだ。

 だから、クレープと言う選択肢はフィエリティーゼにとっては最良の選択であり、果物を巻く生地と、果物ごとに添えるクリームやバターなどの加工品にこだわれば簡単に作れて間違いなく売れるだろう。


 それにしても、お店のオーナーはパティシエだったのかな? リィシアの話だと出張店でその場で作っている訳では無さそうだから転生者本人は居ないだろうけど、なんか同郷の人がこっちの世界で頑張っている姿は嬉しく思える。


 ……死祀の一件があったから、尚更ね。


「……二人とも、在庫に限りがあるだろうし今から並んでも食べれるか分からないけど、折角だから並んでみていいかな?」


 これも何かの縁だ。

 エルヴィス大国でも食べれるみたいだけど、タイミング良く目の前で開店しているみたいだし味も気になるからな。


「……わかった。私もお兄ちゃんの作るのと違うのか気になる」

「私も構いませんよ。……転生者の方がこうしてちゃんと生活してくれているのは嬉しいですからね」


 理由は違うみたいだけど、どうやら並んでくれるらしい。

 それならば善は急げと言う事で早速並ぶ為に人で溢れた噴水の近くへと向かうことにした。




 そうして俺達は噴水の近く、人混みの側へとやって来た訳だが……。


「……なんか、雰囲気悪くないか?」


 噴水の周囲には人が壁を作っている状態で肝心の噴水前までは辿り着けない様子。

 だが、俺達の前にいる人達の表情は何処か不安そうだったり、嫌なものを見るような目をしていたりとあまり楽しそうなものでは無かった。


「……何か揉めてるらしい」


 俺が首を傾げていると、そんなリィシアの呟きが聞こえて来る。


「揉めてる?」

「……客の一人が横入りしようとしてそれを店員が諌めてたら、横入りをしようとした客が店員を殴った」

「は?」


 なんだその痛い客は?

 折角これからケーキを買おうと思ってたのに気分が悪いな。

 あぁ、だから俺達の前に居る人達はこんなにも不穏な空気を纏っていたのか。


 うーん、どうしよう。


「どうしますか?」


 俺が悩んでいると、リィシアを挟んだ先に立っているファンカレアが俺に顔を向けてそう聞いてきた。

 フードの奥から覗く表情は何処か不安そうで、縋るような視線を感じる。


「……はぁ。ケーキは食べたかったけど、多分買えないよなぁ。でも、転生者がやっているかもしれないって話を聞いた後だと、このまま無視するのも心苦しいし、とりあえず自分の目で確かめてから判断するよ」


 まあ、もしまだ頭のおかしい客が暴れるならストレス発散する為にちょっと懲らしめるのもありかなって思ってる。

 もちろん"女神の羽衣"は纏った状態で魔法は使わないようにするけど。

 血戦獣も魔法なしに物理で倒せたし、あれより強い奴なんてそうそう居ないってミラが言ってたから大丈夫だろう。


 そんな憂さ晴らしの面もありはするが、殴られたと言う店員の事も心配なので、とりあえず様子を見に行くことにした。

 本当は俺一人で行く予定だったんだけど、どうやら二人もついて来るらしい。


「何も出来ませんが、心配ですので……」


 右手のローブを掴むファンカレアにそう言われて、俺は本当に悩んだ。

 言わずもがな、ファンカレアはフィエリティーゼにとっては知らない人など居ないと言えるくらいの有名人である。

 もし、ファンカレアの存在がバレてしまったりしたら……確実にパニックになるだろう。


 本当なら同行することを断って待機してもらうのがベストなんだろうけど……ファンカレアってたまに抜けてるから置いて行くのも心配なんだよな。


 う〜ん。


 結局、悩みに悩んだ結果……俺はファンカレアの同行を許可した。

 離れて問題を起こされるよりはなるべく傍に居てくれていた方が対処しやすいと判断したからだ。

 もちろん絶対に正体を隠し通すように注意はしたし、例え俺に何があってもファンカレアは知り合いの誰かに助けを求める事しかしちゃ駄目だと伝えてある。

 ファンカレア自身もこの世界においての自分の立ち位置については十分に理解していると思うので、多分大丈夫だろう…………一応リィシアにもフォローを頼んでおきました。


 俺とリィシアのやり取りを聞いてファンカレアは不満そうにしていたけど、こればっかりは実績があるファンカレアが悪い。心配だからね。


 そしてもう一人、リィシアもついて来る様だ。

 まあ、リィシアが言い出さなくてもファンカレアがついて来ると言った以上、フォローを頼むことになるから助かるけど……リィシアがついて来る理由がいまいち分からないんだよな。


「……精霊から気になる話を聞いた。事実なら、罰しなきゃいけない」


 一瞬ではあったが、ピリつく様な空気を感じるくらいに、リィシアから発せられた声は冷えきったものだった。

 その真意はまだ分からないけど、どうやらリィシアを怒らせる原因が俺と同じ目的地にあるらしい。


 まあなんにせよ、これからの行動について話が纏まった所で俺達は早速移動を開始した。

 時々ぶつかりながらも人混みの隙間を縫うようにして進んで行き、問題なくトラブルが起きている現場まで近づけている。


 そうして、もうすぐで人混みの先頭に辿り着けるといった距離まで進んで行くと、何や聞き覚えのある女性の叫び声と低い男の声が聞こえた。


「――ですから、そもそも貴方が狡をした事が原因では無いですか!! ちゃんと謝罪をするべきです!!」

「うるせぇなぁ、なんで俺様がこんな列に並ばなきゃいけねぇんだよ? 俺様の言うことを聞いて大人しく食いもんを寄越してりゃあ、そいつも怪我することは無かったんじゃねぇか?」


 ……えぇ。


「それがルールであり、お客である私たちが守らねばならない事なのです! それが理解できないのであれば大人しく立ち去れば良いのです!! 貴方のしでかした事はただの暴力であり、許されるべき行為ではありません!! 最低です!!」

「あ? さっきから大人しくしてりゃあいい気になりやがって……女の癖に生意気なんだよ!!」


 いや、嘘だろ……?


「性別など関係ありません!! 自分のしでかした愚かな行為を恥じなさい!!」

「ッ……もういい、あいつに言われて大人しくしてたが……もう我慢ならねぇ!! てめぇみたいな小娘が俺様に意見なんてしてんじゃねぇよ!! 徹底的に痛めつけてわからせてやる!!」


 獣人っぽい男を非難し続ける少女には見覚えがあった……。

 成長しては居るが、その面影は確かに残っている。



 ――シーラネル・レヴィ・ラ・エルヴィス。



 エルヴィス大国の第三王女であり、死祀に囚われていたあの小さな少女が、すっかり成長した姿で目の前に立っていた。










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 【作者からの一言】

 長くなってしまって申し訳ありません。

 そして、遂に藍くんとシーラネルの邂逅を書くことが出来ました!!

 次回はシーラネル視点からのスタートとなります。


 【作者からのお願い】


 ここまでお読みくださりありがとうございます!

 作品のフォロー・★★★での評価など、まだの方は是非よろしくお願いします!

 ご感想もお待ちしております!!


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