第205話 スキルについて、証人召喚





「さて、それではそろそろ本題に入りましょうか」


 一通り騒いだ所で、この場の進行役であるフィオラが全員に向かってそう話した。

 その言葉に異論を唱える者はおらず、さっそく本題であるオリジナルスキル……【神装武具】について話し合いが始まる。


 とりあえず始めに、俺は詳しい話を知らないであろうミラ達に”ライナが俺とグラファルトにファンカレアから授かったスキルを見せてくれる事になっていた事”、”そのスキルが何故か俺のステータス画面にも載っていた事”について説明した。

 その際、ファンカレアからも「確かに【神装武具】の名が記載されていました」と証言してもらったので、嘘だと思われることは無いと思う。


「――って、いう訳なんだけど……」

「へぇ~! そんな事があるんだね~」

「アーシエル、こんな事は普通起きませんからね?」


 俺の説明が終わると、開口一番にアーシェが驚きの声を上げて、アーシェの言葉にファンカレアが苦笑気味に返す。それ以外にも、初めて話を聞いたロゼとリィシアの二人も俺がライナしか持っていないはずの【神装武具】を持っている事に驚いていた。


 ただ、ミラとフィオラはそこまで驚いた様子は無かった。

 ロゼとリィシア同様に、初めて話した筈なんだけどな……。

 そう思い気になった俺は、思い切って二人に聞いてみる事にした。


「なあ、ミラとフィオラはあまり驚いてないみたいだけど、それはどうしてなんだ?」

「え? やだ、忘れたの?」

「んん?」


 何の事だ?

 俺が何のことを言っているのか分からず首を傾げていると、ミラは溜息を吐いてその答えを教えてくれた。


「あのねぇ……私とフィオラがあなたの講師として授業を始める時に、一度あなたのステータスを全て教えて貰ったじゃない」

「あ、そう言えば……じゃあ、フィオラも?」

「ええ、そう言う事です」


 呆れた様子で話すミラと苦笑を浮かべながら話すフィオラ。

 そっか、もう三年以上も前の話だからすっかり忘れてたな……。

 俺がそんな事を考えていると、ミラがおもむろに亜空間から一枚の紙とペンを取り出した。そして、取り出した紙とペンを俺の方へと差し向ける。


「……ん?」

「いえ、三年前からどれくらい成長したのかなと思って。とりあえず、あなたのステータスをここに書いてほしいのだけれど」

「え、まあ別に良いけど……」


 そうして、俺は別に隠す理由も無かったのでミラに言われた通りに紙に自分のステータスを書いていった。


 うーん、こういうのって上から全部書いていった方が良いよな? 流石に通常スキルは多すぎるから省略するか……あ、紙が小さくて書くスペースが足りない。


「ミラ、もう一枚紙くれないか?」

「……はい」

「? ありがとう」


 ん? いまなんか凄い顔をしていた様な……まあ、良いか。とりあえず書いてしまおう。

 そうして十分くらい時間を掛けて、ようやく自分のスキルを書き終わることが出来た。

 一応書き間違いがないか確認する意味を込めて、自分のステータスと見比べてみよう。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


名前 制空藍 


種族 人間(転生者)


レベル ―――


状態:”共命(グラファルト・ヴァヴィラ・ドラグニル)”


妻 グラファルト・ヴァヴィラ・ドラグニル

妻 黒椿

妻 ファンカレア


スキル:~非表示(30568)~


固有スキル:【竜の息吹】【竜の咆哮】【人化】【竜化】【眷属創造】【地脈操作】【水流操作】【火炎操作】


特殊スキル:【改変】【漆黒の略奪者(一部制限中)】【白銀の暴食者(使用不可)】【魔法属性:全】【スキル合成】【スキル復元】【創造魔法(神属性の魔力が不足しています)】【神性魔法(神属性の魔力が不足しています)】【神眼】【千里眼】【隠密S】【不老不死】【精霊召喚(黒椿)】【女神召喚(黒椿・ファンカレア)】【状態異常無効】【精神汚染耐性S】【物理耐性EX】【神速】【神装武具】【全域転移】【万物鑑定EX】【武術の心得EX】【家事の心得EX】【浮遊】【空歩】【錬金の心得S】【鍛冶の心得S】【魔導の心得EX】【審判の瞳EX】【スキル封印】【詠唱破棄】【並列思考】【封印耐性EX】【威圧EX】【冷静沈着】【スキル複製】【気配察知EX】【ステータス隠蔽EX】【魔力察知EX】【スキル譲渡】【遮音】【偽装】【スキル成長値増加】【修練の賜物】


称号 【精霊に愛されし者】【黒椿の加護】【異世界からの転生者】【女神の寵愛を受けし者】【魔法を極めし者】【魔竜王の主】【略奪の主】【運命を共にする者】【厄災を打ち砕く者】【超越者】【料理の達人】【カミールの加護】【魔竜王の伴侶】【女神の伴侶】【精霊の伴侶】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 うん、ステータスと見比べても書き間違いは無さそうだな。

 それにしても、改めて見ると多いよな……というか、通常スキルが倍以上になってるのはどうしてだ?

 まあ、もしかしなくても犯人はウルギアなんだろうけど……【スキル複製】で増やしたりしてるのかな? でも、一体何のために?


 後は、Sと表示されていたスキルの幾つかがEXになってる。

 主にライナとの戦闘訓練で使っていたものばっかりだな。この【スキル成長値増加】っていうのと【修練の賜物】っていうスキルが影響しているのかもしれない。


 とりあえず、書き間違いは無さそうだったのでさっきからジーッとこちらを睨んでいるミラに二枚の紙を渡した。


「一応これで全部だけど……」

「……じゃあ、ちょっと見せて貰うわね」

「あ、それじゃあ私も……」

「あ~! じゃあロゼも~」

「わ、私もみたいです!!」


 そうして次々と女性陣から声が上がり……結局、グラファルトとファンカレア以外の全員がミラとフィオラの背後へと移動し、俺のスキルを凝視していた。

 最初は嬉々として見ていた六人だったが、次第にその表情を曇らせて行き、最後にはジト目で俺とステータスが書かれている紙を交互に見続けている。


「えっと……何か?」

「「「「「「……はぁ」」」」」」


 泣いていいかな?

 全員から一斉に溜息を吐かれるとか、結構傷つくんだけど……。


「いや、どうやったらこんなにも異常なスキル数になるのよ……私とフィオラが確認した時よりも圧倒的に増えているじゃない」

「ええ、それにスキルの質と言えばいいのでしょうか? どれもが上位スキルと呼ばれるスキルばかりで……正直、驚きました」

「うぅ~私よりも多いみたいだし、しかも【偽装】も持ってる……わたし、教える事あるかなぁ?」


 話を聞いてみると、全員が溜息を吐いた理由は俺のスキルの内容が原因だった。

 ミラ、フィオラの二人は驚きを隠すことなくそう溢し、アーシェに至ってはがっくりと肩を落として自信を喪失しかけていた。


「いやいや、スキルは持っていても使いこなせている訳じゃないから。出来ればこれからもアーシェには教えて貰いたいな」

「うぅ~……ランくんが優しいよぉ……」


 俺の素直な気持ちを伝えると、アーシェは感極まった様子で泣きそうになっているのを励ます為に声を掛けたのに、結局泣かせてしまった。


 その後もミラ達から色々と言われたが、そのほとんどが「どうしてこうもおかしなスキル量になったのか?」という質問ばかりだった。しかし、それに関しては俺にも全く分からないので、お互いに不完全燃焼な状態が続いている。

 そうして困り果てていた俺達だったが、そんな時……ファンカレアからある提案をされた。


「あの、藍くんのスキルについて一番理解していそうな人物に心当たりがあるのですが……その方に聞いてみるのはどうでしょうか?」

「俺のスキルについて詳しいって……それって、まさかウルギアの事か!?」


 ファンカレアの提案を聞いて、それがウルギアの事であると直ぐに気づいた。

 俺とファンカレアの言葉に何人かは首を傾げていたが、何度かウルギアについて話した事があるミラとフィオラ、そしてウルギアとは犬猿の仲ともいえるグラファルトは納得といった様に頷いていた。


「ここは私が支配権を持つ白色の世界の一部――つまりは神界です。ここでなら、呼べるんじゃないですか?」

「うーん……(と、いう訳なんだけど……実際どうなんだ? ウルギア)」

(……可能、です。しかし、私の姿はその……普通の人間とは異なっておりますので、藍様に不快な思いをさせてしまうかもしれません)


 ウルギアに確認を取ってみると、ウルギアには珍しく歯切れの悪い口調でそう答えてくれた。

 そう言えば、長い事会話をしてきたけど、ウルギアの姿を見た事は無かったな……。


(ウルギアとは長い付き合いだしお前が悪い奴じゃないって言う事は理解しているつもりだ。だから、俺はお前を見た目で判断したりなんかしない。お前がどんな姿であっても不快になんて思ったりすることは無いと誓うよ)

(……わかりました。藍様がそう仰って下さるのなら、私も覚悟を決めましょう。私は元神ですので、【女神召喚】のスキルで呼び出せる筈です。我がスキル【改変】を使い、私を呼び出せる様に改変しますので少々お待ちください)

(わかった)


 ウルギアにそう返した後、俺はみんなにウルギアについて説明する事にした。

 そうしてウルギアを呼び出すことが出来る事も説明し、今は【女神召喚】のスキルを改変中であると伝えた。


 それにしても、”不快な思いをさせるかもしれない”って……一体ウルギアはどんな姿をしているのだろうか?

 まあ、どんな見た目であろうとも、ウルギアがウルギアである事には変わらないから問題は無いけど。


 【女神召喚】が改変されている間、俺は妙な緊張感を胸にウルギアとの邂逅を待ち続けるのだった。





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 遅くなってしまい申し訳ございません。

 体調が依然良くなる様子が無く、執筆作業が遅れてしまいました……。


 今後、もしかしたら連絡も無く休載する事があると思いますが、あしからず。


            【作者からのお願い】


 ここまでお読みくださりありがとうございます!


 作品のフォロー・★★★での評価など、まだの方は是非よろしくお願いします!


 ご感想もお待ちしております!!


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