第204話 家族会議




 俺がグラファルトとファンカレアの三人でライナのスキルを眺めていたら、とんでもない事実が発覚してしまった。

 俺の保有スキルの中に、ライナだけのオリジナルスキルである筈の【神装武具】が入っていたのだ。

 その事実に気づいたのは俺だけではなく、<共命>という特殊な状態で魂が繋がっているグラファルトにも俺のステータス画面は見えていて、その事実に気づいた俺達は出来れば嘘であって欲しいという願いが叶わなかったことで、盛大な溜息を吐いた。


「え、ええっと……僕、何かやらかしちゃったのかな?」

「さ、さあ……。私にもさっぱり……」


 盛大に肩を落としている俺達を見ていたライナは、不安そうな顔をしてこっちへ近づいて来ていた。その右手には2mを超える黄金色の魔力を刀身に纏った大剣が握られている。両刃で厚みのある銀色の刀身は、先端に行くにつれて少しずつ細くなっていて、鍔……刀じゃないからガードっていうのかな? ガードの中央には大きな半透明の魔石に見える鉱石が埋め込まれており、その内部には刀身にあるのと同じ黄金色の魔力がゆらゆらと揺らめいていた。


 近くで見る大剣は、本当に綺麗だった。

 それだけに、ライナには申し訳ない事をしたと思う。ライナが悪い訳ではないのだから。


「ライナは何も悪くないんだ。実はさ――」


 心配そうに俺達を眺めるライナとファンカレアに、俺は自分のスキルの中にオリジナルスキルである筈の【神装武具】が入っている事を説明した。

 俺から説明を聞いたファンカレアは、俺に断りを入れてから直ぐに創造神としての権限を使い、俺のステータスを確認し始めた。


 そこには当然、俺とグラファルトが確認した様に【神装武具】が載っている訳で……ステータスを確認したファンカレアは「ど、どういうことなんでしょうか……」と困惑していた。


 そこから話はトントン拍子に進んでいき、ファンカレアが念話で呼び出したミラ、フィオラ、ロゼ、アーシェ、リィシアの五人が合流して、今俺達はミラによって用意された円卓をその場にいる九人で囲んでいる。



 そしていま――



「――それでは、第十三回”制空家、家族会議”を始めたいと思います」

「「「「「「「はーい!!」」」」」」」

「待て待て待て!! 色々とツッコミたい事がある!!」



 フィオラの言葉を合図に全員が手を上げて返事を返し、謎の会議が開かれていた。


「いや、何この会議!? ていうか十三回も開かれてたのか!? 俺一回も参加した事ないけど!?」

「む、そう言えば藍を交えての家族会議は初めてだったな」


 俺が動揺を隠すことなくそのまま疑問をぶつけてみると、グラファルトがうっかりしていたと言う様な顔をしてそう呟いた。

 そんなグラファルトの言葉に続いて、アーシェが苦笑を浮かべながら口を開く。


「グラちゃん、それはあれだよ。今までの議題が議題だったから……」

「んん? どういうことだ?」

「……今までの議題、全部お兄ちゃんについて」

「はい!?」


 アーシェの言葉にまたまた疑問を口にすると、紫のウサギのぬいぐるみで遊んでいたリィシアがぼそりとそんな事を呟いた。

 嘘だろ……十三回も開かれていた事についても驚きだけど、その内容の全てが俺に関して!?


「ほら、前に藍が自室から二階に直接転移して来たことがあったじゃない? 確か、新作の料理を持ってきてくれたんだったと思うけれど」

「うーん……? あっ」


 そう言えば、そんな事もあった気がする。

 確かあの時、両手が塞がってたから自室の扉を開けるのが面倒で”転移魔法”を使って移動したんだよな。

 それで移動したら……そうだそうだ! 何か俺以外の女性陣が勢ぞろいして何かを見ていたんだ。


「思い出した? あの時も絶賛家族会議中だったのよ」

「いや、そもそも家族って……」

「あら、数年も同居しているのだから大事な家族でしょう? それとも、藍はそう思っていないのかしら?」

「うっ……それは……」


 ミラの言葉に一瞬だけ口ごもってしまう。

 別に家族と思っていない訳じゃないけど、それを改めて言うのはなんだか照れくさくて……。

 そうして俺がたじろいでいると、全員が俺の事をジーッと見つめていた事に気が付いた。

 ニヤニヤとこの状況を面白がっているミラとグラファルト以外の全員が不安そうな顔をしている。

 いや、ファンカレアはもうちょっと自信を持とうよ……妻なんだから。


「お、俺も……みんなの事を大事な家族だと思っています……」

「「「「「「ッ!!」」」」」」


 結局みんなの圧に負けて、本心を口にする事になった。

 俺の言葉を聞いたミラとグラファルトを覗いた六人は、不安そうな顔を一瞬で変えて満面の笑みを浮かべる。


「……照れてるな」

「……照れてるわね」


 おいこら、ニヤニヤ組。

 キャッキャと六人が嬉しそうに話している中、顔が熱くなっていた俺を見てミラとグラファルトがニヤニヤと笑みを浮かべていた。


 はぁ……【神装武具】について話し合う筈が、何故こんな辱めを受ける事に……あれ、もしかしなくても変にツッコミを入れてしまった俺の所為か?





@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


 すみません、体調が優れず、本日は短めとなっています……。


            【作者からのお願い】


 ここまでお読みくださりありがとうございます!


 作品のフォロー・★★★での評価など、まだの方は是非よろしくお願いします!


 ご感想もお待ちしております!!


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る