第197話
男性陣を人払いして光里ちゃんとサツキさんと私の三人でテーブルを囲む。
助手席は光里ちゃんと交代してジェイクさん。
運転もそうだけど、運転席にあるメーターとか機械類に興味があるそうです。これはなんだと上条さんに尋ねて、上条さんも細かく教えている。
「実はね、すぐに着替えることができる魔道具があるといいなって思って作ってみたんだ。参考にしたのは魔女っ子アニメね。そして完成したものがこちらになります」
テーブルの上に煌めくブレスレットが三つ。
手首に回すチェーンタイプで私はハート、光里ちゃんは星、サツキさんは十字架のチャームがついている。
「変身するときはチャームに触れてキーワードを言うの」
私の言葉に、サツキさんと光里ちゃんが引いている。
あれ、ダメだったかな?
「ありすちゃん、私の歳で魔女っ子はきついわ。光里ちゃんと二人組でやってくれないかな?」
「私もきついですけどありすが喜ぶならやります。でも二人より三人の方がマシ。サツキさん可愛らしいしまだまだいけますよ、頑張りましょうね」
光里ちゃんの言葉にサツキさんがフルフルと首を横に振った。
なんでかな?
急に着替えないといけないこともあるだろうから、着替えている間は発光して外から見えないようにして、服も普段着から戦闘服に変わるだけなんだけど。
「もしかして、勘違いしてる?」
「勘違い? 魔女っ子になるブレスレットでしょ?」
「そうだけど、フリフリの服になるわけじゃなくていつもの戦闘服になるだけよ? そうだ、見てもらうのが一番早いかな」
私はテーブルの上の自分用のブレスレットを取り、手首にはめてチャームの部分を握ってキーワードを唱えた。
「ありす行きます!」
座ったままでも着替えられるのを証明するために、椅子に腰掛けたまま。
一瞬ピカっと光ったら私は部屋着のワンピースから戦闘用の服に着替えていた。作った後にこっそりと試運転はしたんだけど、みんなの前でも大成功で嬉しい。
「ん? それだけなのありすちゃん?」
「そうですよ」
拍子抜けしたような表情の光里ちゃんとサツキさんは顔を見合わせ、何かわかり合ったように頷くと、テーブルの上のブレスレットを手に取ってはめてくれた。
「光里行きます」
「サツキ行きます」
もっと叫んでくれてもいいのに、ぽそっと呟くように二人。
一瞬後にそれぞれ戦闘服に着替えていた。よし、大成功だね。
「よかった〜、フリフリじゃなかった」
サツキさんが心配してたのはそこだったのね。
「ありすが見てたアニメとか知ってるから余計に警戒しちゃったわよ」
光里ちゃんの心配も少し理解したので黙っておこう。確かにヒラヒラフリフリは現実で着るのは無理があるよね。三人お揃いのフリフリ服を出そうとしたことも内緒にしておいた方がよさそうね。
「これって、他の服とかにできないの?」
「うん、今のとこ一方通行。この服にしかなれないから部屋着になるには自分で着替えてもらうしかないの」
「ありす、車の中で戦闘服のままだと窮屈なのでは?」
夕彦くんに指摘されて確かに光里ちゃんの服とか、くつろぐには向いてないよねと反省。かっこいい重視だから結構かっちりしてるんだよね。
「そうよね、着替えようか」
一人づつ洗面室で部屋着に着替えて落ち着いた。
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