第193話
そういえばサツキさんの装備を整えてなかったと朝食後に気がついた。
お昼前には出発しようということになって私とサツキさん以外は旅の準備ということになったんだけど、なんでジェイクさんは残ってるのかな。
気にしないでサツキさんを着せ替えてみる。
綺麗なお姉さんの服作るの楽しいわ。
「うーん、ちょっと私には派手すぎるかなー」
「そうか? もっと短くてもいいと思うんだが」
「じゃあ、ここのレース抑えます?」
スカートを短くさせようとするジェイクさんは放っておいて、サツキさんと装備の調整。
胸元のレースが多くて谷間がチラリしていたところを直す。こういう色っぽいのもいいと思ったんだけど、サツキさん的に許されないらしい。
「よし、完璧ですね!」
「ふわぁああ、素敵、嬉しい。ありがとうありすちゃん!」
「どういたしまして。サツキさんスタイルいいから楽しかったです」
私が作ったサツキさんの装備は、体のラインがわからないようなふわりとした藤色の膝下丈のワンピース。足をあまり見せたくないと言うのでブーツは腿まであるサイハイブーツ。
編み上げになってるけどこの紐は飾りなんですよ、横にあるファスナーで脱着してね。
絶対領域は必要だよという私と光里ちゃんの主張は、サツキさんの本気で泣きそうな顔を見て止まってしまった。
アラサーなんだよっていう呟きが切なかったんです。
シャバルコットンの生地に、胸元と裾に細かいレースを入れてシックと可愛らしさを混在させてみました。
これだけだと魔法付与が足りないので紺色のショートマントも作った。マントの襟周りにファーをつけたかったんだけど断られてしまった。
それとつるバラをモチーフにした銀のバレッタを作った。長い黒髪に映えると思うの。
ジェイクさんの装備は赤茶色の胸当てがついた革鎧。アイン村で初めて会った時とは違う装備になってる。青い髪はあの時より少し伸びてるね。
擦り切れたり、ここは金属の方が強度上がりそうだというところを直しただけだけど、元々がいい装備なのでこれ以上はフルプレートにするくらいしか防御力上げられない。
「なんだ、俺は装備の新調なしか」
「だってジェイクさんの使ってる革鎧、すごくいいやつですよ」
「うんうん、ジェイクさんの装備かっこいいし、それでいいと思います」
「そうね、ジェイクはその格好がいいよ!」
ちょっぴりがっかりしてるジェイクさんが可愛いと思ってしまったのは私だけじゃないみたい。サツキさんとちょうど帰ってきていた光里ちゃんもジェイクさんを慰めてる。
他の人たちも戻ってきたね。外に行って食料や素材を調達してきてくれていたはず。
「上条さんの装備もそれで充分ですね」
「まあね」
上条さんが着ているローブも防御力、魔法強化などが付与されている上に素材もシルクっぽいものでできていた。ちょっと触らせてもらったけど、手触りも最高。
この生地作れないかなーと考えてしまうほどだった。
そうこうしているうちにしっかりと準備は整いました。
目指すはさらに北の地。
キャンピングカーに乗り込んで思ったんだけど、この車で行くのがダメなら森の中を進む用に小型の車を用意したらいいんじゃないかなと言ったらそうしようということになって、夕彦くんとあれやこれを考えることになった。
後部座席にあるテーブルにはデザインを描いたメモが散らばることに。サツキさんが車好きなのは意外だったけど相談に乗ってもらえて嬉しいわ。
「キリ、運転していいか?」
「おう、次交代するからよろしく」
「じゃあ私助手席に座っていいですか。運転を覚えたいです」
「いいよ。って言っても特に覚えることなさそうだよ。自動運転できるし」
「気分ですよ、気分」
上条さんが運転席に座ると、光里ちゃんが続いた。そういえば、高校卒業前に免許取りに行こうかなんて話していたものね。
そして、出発。
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