069 衛生改善
(新しい世界に、新しい能力か...そこで、こうして生きられるなんて、とても楽しい事だし、とても嬉しい事なんだな...それに幾ら才能が開花しようが、道を切り拓くのは努力だ。僕は必ず、この世界で一番になってやる!!)
世界が再構築されてから、どれくらいの時が経ったのかをまだ知らない僕達。
その進化している世界で、能力やスキル、魔法と言ったものがどう変化を遂げているのか楽しみで仕方ない。
そんな風に考察をしながら進んで行くと、徐々に山道の傾斜がきつくなり始めた。
それに合わせるかのように突然。
「きゃっ!?」
「危ない!?」
僕は瞬時に、さくらが転びそうになる前に、その身体を支えた。
この時、僕の方へと身体を無理矢理引き寄せたので、僕の顔とさくらの顔の距離が寸前まで近付く。
転びそうになり慌てているさくらを見る事はこの時が初めてだった。
「さくら、大丈夫?」
「あっ、ありがとう」
突然の事で、さくらの両手には拳が握られていた。
驚きと焦りから声も上擦っていた。
だが、転ばずに済んで安心しているように見える。
「...どうする?この先、もっと山道がきつくなると思うけど、一旦、教会に戻ろうか?」
「...大丈夫。ルシウス、心配掛けてごめんね。でも、ちゃんと次から足下を確認するから、このまま進んでも良いかな?」
確かに、山道の傾斜がきつくなっていたのだが、今の場合、木の枝を踏んでバランスが崩れてしまっただけだ。
それに、だいぶ山を登って来ているのだが、さくらに疲れている様子は全く見えない。
だが、この時僕が思った事は、唄う事で全身に魔力を纏い身体強化をして山道を進めていたと考えれば、唄わずに足元に集中してしまった場合、「進むペースも、疲れも変わって来るのでは無いのか?」だった。
「...うん。解った。じゃあ、それなら僕がさくらの手を引っ張って行くから、さっきみたいに歌を唄って貰っても良いかな?」
「...歌を?」
僕は、さくらの手をとって山道を登る事にする。
これなら、咄嗟の事態が起きる前に対処が出来るし、さくらは唄う事で疲れずに進む事が出来る筈。
それに、さくらの歌を聞けた方が、僕自身のモチベーションも上がる為だ。
「そう。さくらが唄ってくれれば僕も山登りが楽しく出来るからさ!だから、さくらの声を聞かせて欲しいんだけど、ダメかな?」
僕がそう伝えた時、さくらは突然、下を向いてしまった。
両手を太ももの位置で、服の袖をギュッと握り締めていた。
あれっ?
突然、どうしたんだろう?
「...さくら?」
もう一度、声を掛けた。
すると、さくらが顔を上げて答える。
「歌を...ルシウスに声を聞かせて欲しいと言われた事が嬉しくて」
これは...
見える表情だけで判断するなら照れているのかな?
少し顔が紅くなっているように見える。
「それはそうだよ!こんなにも素敵な歌声なんだから!じゃあ、唄ってくれるのかな?」
さくらは自分に自信が持てないようだ。
それは、前髪で表情を隠している事からも読み取れる。
そんな風に思う必要は無いのに勿体ない。
「うん!」
「ありがとう。じゃあ、行こうか!」
僕は、さくらに手を差し出した。
さくらはその手を取って、再び唄い始めた。
「♪♪♪~」
その歌声は、先程よりも楽しい(嬉しい)感情が乗っていた。
僕もその歌に引っ張られるように陽気な気分となり、疲れを全く感じない。
同じ歌を何度聞いたとしても、その度にすんなりと耳に入って来る、さくらの歌。
もしかしたら、僕の波長と合っているのかも知れない。
(この歌声...本当に、ずっと聞いていたいな)
まるで、遠足のように楽しみながら山を登って行く。
それ以降、僕達は山道を一度も躓く事が無く進む事が出来た。
そうして無事に山の中腹の川へと辿り着いた。
「わあ...綺麗!!」
さくらがその景色を見て、声だけを発して動きが固まってしまう。
此処を流れる川は、勾配のきつい上流から滝を経由して、森の間を緩やかに流れている川。
「水が...空から落ちている?」
「あれは、滝って言うんだよ」
「たき?...雨よりも、全然凄いね!」
「うん。そうだね。本当に...本当に凄いよね!」
人生で初めて目にした滝。
上流から勢い良く音を鳴らしながら水が落ちていた。
その滝には太陽の光が当たり、幻想的な光のカーテンが薄く周囲へと伸びているように見える。
そして、森の間を流れる川へと木漏れ日から光が差して、ところどころ青白く反射をしていた。
今、僕達の目の前に映るものは、誰の手も触れた事が無い自然のままの状態。
流れる水はとても綺麗で、川の底が見える程に透き通っていた。
「ここでしか見られない、自然が作り出した景色...空気が汚れていない事も、人の手が加わっていない事も」
「えっ、ルシウス?」
さくらは突然、僕が口にした言葉に驚いていた。
何を言っているのか解っていない様子だ。
だけど、この自然を目の前にすれば、そう思わずにはいられなかった。
元の世界では、排気ガスなどによる空気汚染。
森林伐採などによる人の手が加わった自然破壊。
何かを壊すのは簡単な事なのだ。
だが、それを元に戻す為には何倍もの労力や時間が必要になるのだから。
「この自然は...守らなきゃ」
文明を進めて生活を向上させる事は今の世界には必要な事だ。
だが、それは自然を守った上での必要最低限。
そうとどめるべきだと、僕が心に思った瞬間だった。
どうやら、僕は周りに聞こえない声でボソボソと独り言を呟いていたらしい。
さくらは、その様子を黙ったまま僕の傍で待っていてくれた。
それに気が付いた僕は、慌ててさくらの方へと向き直す。
「...大丈夫なの?」
さくら曰く、僕が真剣な表情をして遠いところを見ている時。
その場合は何を言っても聞こえていないとの事だ。
どうやら、僕が気が付くまで待つしか無いのだと。
これは申し訳無い事をしているな...
「...うん。待たせてごめんね。じゃあ、川の水を汲みに行こうか!」
「うん!」
僕達は気を取り直して、当初の目的を果たす為に行動をする。
此処からは、川における注意点に気遣いながら。
「川の流れはそんなに速くないけど、一応、川の中には入らないでね?」
「はい!ルシウス!...手で触れるのは大丈夫ですか?」
さくらは、勢い良く上に手を上げて姿勢正しく返事をした。
傍から見れば僕が先生のようで、さくらが生徒のように見えるだろう。
「手で触れるくらいなら大丈夫だよ!」
僕がそう伝えると、さくらは川の水に触れては「わあ、冷たい!」と驚いていた。
今日は石鹸作りがある為、ちゃんとした川遊びが出来無い事が残念だ。
今度は流れのもっと緩い下流で川遊びをするのも良いかもな。
(せっかく川に来ていると言うのに、遊べない事ほど残念な事は無いからね)
そんな風に思いながら、背負っている瓶を下ろして木の蓋を外した。
さくらと二人で瓶の中に川の水を汲んで行く。
そうして瓶の中に水が満杯となると。
うん。
これは、結構な重さだ。
瓶だけでも重いのに、そこに水が加わると、かなりの重量になる。
これは、僕の体重よりも全然重いものだ。
「よし!これで良いかな?」
瓶に水を入れ終わると、さくらが興味深そうに見ていた。
「ねえねえ、ルシウス!私も持ってみたい!」
「えっ、これを!?だって、かなり重たいよ?多分、さくらじゃ持ち上げる事も出来無いよ?」
さくらは、僕が魔力で身体能力を強化している事を知らない。
さくらと身長の変わらない僕が瓶を持っている事からも、自分も持てる物だと考えているようだ。
「...でも、ルシウスは持ち上げているよ?私も、ルシウスのお手伝いしたい!」
何よりも石鹸作りを一から作りたい気持ちから、素材集めや素材運びの段階から手伝いをしたいとの事だ。
その気持ちだけで十分だと言うのに。
でも、それなら好奇心があるものに直接、触れて貰った方が納得出来るだろう。
それが決して出来無い事だとしても。
此処で断って、その事がしこりとして残るのは避けたいし、実際に触れて確認して貰った方が本人の為になるのだから。
それは子供と言えども意思がある為に、本人が納得出来る事が重要なのだ。
「じゃあ...一度、持ってみようか?」
「ありがとう!ルシウス!」
さくらの話す声が明らかに嬉しそうだ。
やはり、この年齢は何でも自分で試してみたい年頃。
僕は、さくらが怪我をしないように全力でサポートし、問題そのものを起こさせないよう注意する。
そうすれば、不測の事態にも対応出来るだろう。
そして、さくらが水の入った瓶に触れてみる。
その大きさから、「えーっと、うーん」と、手を何処に置けば良いのか感覚を掴めていないようだ。
「う~」と無理矢理持ち上げようと試しているが、瓶はビクとも動かなかった。
「駄目だ...動かない。何でルシウスは、そんな簡単に持ち上げているの?」
「それは、ほら、僕が力持ちだから!ねっ?」
僕はそう言って、瓶を軽く持ち上げた。
魔力で強化していない状態では瓶を持ち上げる事も出来無いが、魔力で強化した状態であればこれくらいの重さは難無く持ち上げる事が出来る。
「ルシウス、すごい!!私も出来るようになるかな?」
僕が、簡単に持ち上げたのを見て驚いていた。
やはり、どんな形だろうと褒められる事は嬉しいんだと、僕はその時に思った。
「さくらも?...そうだな。メリル様達みたいに大きくなれば持てるようになるよ!」
「そうなんだ...それなら、早く大きくなりたいね!」
さくらは顔を少し捻って残念がっていたが、すぐに気を取り直していた。
その言葉には希望が詰まったもの。
自身が大人になった姿を思い描いては。
「じゃあ、帰って石鹸作りを始めようか?」
「うん!」
そうして軟水を入れた瓶を背負って、山道を下って行った。
帰りの方が足腰の負担は大きくなるのだが、僕も、さくらも、魔力を纏う事で問題無く進んで行った。
やはり、さくらの歌は凄い。
そうして、教会に戻ると、ようやく石鹸作りだ。
魔力で強化をしているとは言え、瓶を背負ったまま山道を進む事は大変で流石に汗を掻いてしまった。
疲れはさほど感じていないのだが、瓶を背負って動いている為、どうしても暑くなるのだ。
水瓶を降ろして、一息つく。
「ふー。戻って来たね!」
「ルシウス、ごめんね。私がもっと手伝えたら良かったのだけれど...」
さくらが申し訳無さそうに、明らかにトーンダウンをして話す。
そのしょんぼりしている姿が、とても悔しそうだった。
「そんな事無いよ!僕は、さくらが一緒だから楽しく軟水を取りに行けたんだよ?だから一緒に来てくれてありがとう!」
僕は、満面の笑みでお礼を伝えた。
本当に、さくらの歌が無ければ、こんなに楽しく山道を進む事など出来ていなかったのだから。
「えへへっ。なら良かった!」
さくらも嬉しそうだ。
「じゃあ、石鹸作りをしようか!」
「うん!」
石鹸作りに必要な材料は、これで全部揃う事が出来た。
オリーブオイル。
木灰。
軟水。
この三つで作成をするのだ。
この時、火を使う為、水場の近くである教会の井戸がある広場で作業を進める。
「始めは、木灰を軟水で煮込んで灰汁を作るんだ。火が必要になるから、先ずは火起こしからだね!さくらやってみる?」
先ずは広場で、枯れ枝や枯れ葉を集めて焚き火を起こす。
その際、鍋を使用するので、焚き火を起こす場所の周りに石を組んで、鍋をセット出来るように形を作って行く。
此処では、ライターやマッチが無いので火の起こし方がとても原始的だ。
木と木を擦り合わせる摩擦を利用した火起こし方法で、かなりの労力が必要なもの。
だが、これは僕とプロネーシスが事前に木と紐で作った、舞いぎり式の火起こし器を使用する。
僕一人では作れなかったものでも、プロネーシスがいれば乗り越えられる。
本当に頼りになる相棒だ。
(プロネーシスありがとう)
他の誰にも聞こえない頭の中で、「はいマスター。お役に立てて良かったです」と簡単なやり取りをする。
そうして、舞いぎり式の火起こし器を使用して木を擦って行く。
これは十字に組まれた道具で、中心に穴の開いた横の木板を、縦の心棒に紐を捻り合わせたもので、 横の木板を上下に動かす事で心棒が回転する仕組みだ。
「うん!やってみたい!」
「じゃあ、この木の板を下にひいて、この道具を使って火種を作ろうか」
道具の説明をしながら、火種を作る為に、舞いぎり式の火起こし器の下に、木の板をひく。
「横の木板を上下に動かせば、この紐の捩れのおかげで、真ん中の心棒が回転するんだ。じゃあ、さくら。横の木板を動かして貰っても良い?」
「はい!」
さくらは、その道具を慎重に動かし始めた。
「わぁ!凄い!クルクル回って動いている!」
さくらは、その初めて使用する道具を楽しそうに動かしている。
ただ、この心棒が回転している原理を、とても不思議がっているが。
「じゃあ、黒い粉が出て煙が出始めたら、こっちに移そうか?」
木と木を擦り合わせて行くと、茶色い粉が出始める。
この段階では、まだ火種にはならない。
更に擦り合わせる事で茶色い粉は黒い粉へと変わり、中から煙が出始めるのだ。
これで火種の状態としては完成する。
この火種を枯れ葉などの着火材に移して、火を大きくして行くのだ。
慣れれば、ものの五分程度で出来る作業だが、ライターやマッチが無い場合では大変な作業なのだ。
「わあ!煙が出てきた!ルシウス、これで良いの?」
「うん、ばっちりだよ!じゃあ、これをここに移すんだけど、これは火傷したら危ないから僕がやるね」
この作業も、さくらはやりたそうな顔をしていたが、こればかりは危ないので僕がやる事に。
その代わりに、火種を大きくする作業を手伝って貰う。
「じゃあ、ここに空気を入れながら火を大きくするのだけど、さくらは、これで扇いで貰っていい?」
うちわや扇子みたいなものが無いので、代わりとして程良く薄い木の板で扇いで貰う。
「うん!」
こうして焚き火を起こして、灰汁作りの準備が出来た。
僕は空の鍋を持って来て、その焚き火に鍋をセットをする。
「じゃあ、次はこのお鍋に灰と軟水を入れて貰って良いかな?」
さくらが作業をしている間に、僕は木灰と軟水の分量を目分量になるのだが予め用意をしておいた。
「はい!じゃあ、これを混ぜていけば良いの?」
「そうだよ。でも、熱いから気を付けてね?」
鍋の中に、木灰と軟水を入れて熱を加えながら木のヘラで混ぜ合わせて行く。
目安は、灰色でドロドロになるまで。
「これくらいで大丈夫かな?これで灰汁の完成だよ!」
「ふふふっ!出来た!」
此処からは人によってやり方が分岐するが、僕達は初めてなので、そのままオリーブオイルを加えて熱するやり方を試す。
人によっては、灰汁を一日寝かせる場合もあるみたいだ。
「じゃあ、次は灰汁にオリーブオイルを加えて混ぜようか!」
「これを入れれば良いの?」
「うん!それで大丈夫だよ!でも、そうしたら、火は少し弱めようかな」
焚き火だと温度の調整が難しい事が難点だ。
弱くし過ぎると簡単に消えてしまうので、後は火と鍋の位置をズラしたり、放す事で調整する。
「石鹸♪石鹸♪」
さくらは、火の前で泣き言を一切言わずに、汗をかきながら一生懸命に作業をしている。
前髪が汗で濡れ出して、段々とその素顔が見えて来ている。
本人も、今の状態を気にしている余裕は無いみたいだ。
前回に偶然、素顔を見た事はあるが、隠れていたその目は、二重瞼がパッチリしていて、とても綺麗な瞳をしていたのだ。
(綺麗な瞳だ...吸い込まれそうだな...)
そんな事を考えていたら、灰汁とオリーブオイルが混ざり合って、掻き混ぜる事で鹸化が始めっていた。
粘度が上昇して、粘り気(とろみ)が出始める。
(ウソ!?一発成功?)
「ルシウス、こんな感じで大丈夫かな?」
「これで...大丈夫そうだね!」
鍋の中の灰色の液体は、良い感じに混ざっている。
此処からは専用の型に入れて形を固めるのだが、此処には木で作った長方形の容器しか無い。
クッキングペーパーで、木と石鹸を剥がし易いように出来れば良いのだが、無い物を考えてもどうしようも無い。
一か八かになるが、直接、木の容器へと入れてみる。
「じゃあ、これが最後の段階になるけど、この容器に液体を移して行こうか?」
「これで石鹸が出来るの?」
「...後はこの液体が固まって、くれればかな?」
容器に移した後は、何日か寝かせて固まるのを待つ。
だが、今回作成している物は軟石鹸と硬石鹸の間。
きっと固形物のようにしっかりと固まる事が無い物だ。
今の状態でも鍋の中が泡立っているので、石鹸としての効果は発揮する。
ただ、保存が出来るかによって石鹸としての価値が変わって来る。
流石に、一日使い捨ての物を、これだけの労力を掛けては作れないからだ。
でも、此処は魔法世界。
材料は、魔力があれば無限に採集が出来る。
人員さえ確保が出来れば、直ぐにでも大量生産が出来そうだ。
僕はそんな事を考えながら、鹸化させた鍋の液体を木の容器へと移して行く。
木は液体を吸って少し滲んでいるが、容器から漏れてはいなかった。
「じゃあ、後は、これを干して待つだけだね!」
「ふふふっ。ちゃんと、石鹸が出来ると嬉しいな!」
石鹸を寝かしている間は何もする事が無いので、僕達は鍋の中の残った液体で手を洗ってみる。
泡立ちは良い物では無いが、ちゃんと洗浄力はありそうだ。
汗をかいた頭もそれで洗ってみる。
元の世界のシャンプーを知っている身としては、なんだか髪の毛がゴワゴワする。
それでも、髪の毛のべた付きは取れてスッキリとした。
「水で流すだけよりもスッキリとする!」と、さくらも気持ち良さそうだ。
何もしない状態よりは、臭いも取れて、スッキリするから良いのかも。
(でも、この石鹸だと、髪の毛が痛んでしまうかな?)
さくらの綺麗な髪の毛を見ていて思わずそう考えた。
これでは勿体無いと。
(シャンプーとリンスが必要だな...)
『でしたら、蜂蜜をベースにした物なら保湿効果があります。これも恵みの森で取れる素材なので、次回あたりに採集は如何でしょうか?』
石鹸と蜂蜜とぬるま湯を混ぜれば、保湿効果を持ったシャンプーが完成するそうだ。
この時、ぬるま湯の代わりにココナッツミルクがあれば、もっと良いのだが。
オリーブオイルは既にあるので、ハーブなどの精油を混ぜれば色々な効果を乗せる事も出来る。
これが出来るなら、髪の毛の艶を引き出せる。
(次の目標は、シャンプーかな?だけど、次に進むのは、この石鹸がちゃんと出来てからだな!)
一つずつ、目標を達成させて行く。
出来ていない状態で、あれもこれも手を出すと中途半端になってしまうからだ。
これが会社のように部署を分けて、チームごとに別々に動けるなら別だが、今は僕とさくらの二人だけ。
逆に成功した喜びも、感動も、失敗した悲しみも、苦難も、二人で共有出来るのは今しかない。
何よりも僕は、二人で物作りをしている事が、とても楽しいのだ。
「石鹸が出来るまで時間が掛かりそうだから、明日は料理の改善をして行こうかな?」
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