第28話 いつもの中の違和感

 いつものように学校に登校し、部活をして帰宅する。


「あ、あの! ずっと前からあんたのことを見ていてずっと好きでした! 付き合ってください!」

「ごめんね。君の気持ちには答えられないんだ」


 告白されて振る。 

 

「またあいつ女の子泣かせてるぞ」

「最低かよ」


 そして疎まれる。


 そんないつも通りの毎日を過ごしていた。

 

 ある時、悠亜からあることを聞いた。


「最近春ちゃんが学校に来てないんだけど。空なにか知ってる?」

「いんや。俺は何も聞いてないけど」

「風邪かなぁ?」

「連絡はしたのか?」


 すると悠亜は首を振った。


「連絡はしたんだけど既読すらつかないの」

「相当しんどいのかな?」

「じゃあ今日春ちゃんの家に行こっか」


 え、急すぎない?

 まぁいいけど。

 今日はちょうど部活休みだし。


「OK。けど急に行って大丈夫か?」

「心配だもん。まず既読つかないんだから連絡のしようもないでしょ!」


 ごもっとも。

 既読無視なら悠亜が嫌われてるか忙しいかだけど既読すらつかないんならなにかあるかもしれない。

 何かで忙しいだけだったらいいんだけどな。


「空ー行くよー」

「わかってるよ」


 俺たちは学校が終わってすぐに春の家に向かった。

 俺も春が学校に来てないのは心配だな。

 あいつ中学の時は皆勤賞貰ってたくらいだし。


 色々なことを考えつつ最後には行ってみないとわかんないよなで結論づける。

 そうしているうちに春の家の前に着いた。


「じゃあピンポン押すね」

「りょーかい」


 ピーンポーン。

 放課後の時間の住宅街道にチャイムの音が鳴り響いた。

 1、2分待ってみたが特に反応はなく、もう一度押した。

 寝てるかもしれないしね。

 ピーンポーン。

 また音が鳴り響くが特に反応はない。


「どうしたんだろ」


 さぁ、俺にもいっちょんわからん。


「出かけてるのかな」

「そうだといいけどね」


 俺は知っている。

 春の親は少しきつい性格……いや、娘への期待が強すぎることを。


 それが何か関係してるんだろうか。

 そう気になってると悠亜がスッと顔を覗かせた。


「どうしたの空?」

 

 確証がないうちは下手に言って心配させるのも良くないな。


「別に。何もないよ」

 

 不思議がられたけどしょうがない。

 だって確証がないんだ。


 確証が持てたら……。

 みんなで相談して解決しようとかできるんだけどな。

 

 相談すればいいじゃないかって?

 相談してもいいけどもし全てが俺の勘違いでみんなの時間を浪費させただけだったらどうするんだ。

 みんなに俺の推測で迷惑はかけられない。

 

「とりあえずまた今度改めて来よっか!」

「だね」


 そうして俺たちは春の家を後にした。

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