第27話 やらかし空ですが大丈夫です
俺はやらかした。
食堂にて他の生徒もいる前で大々的に百合大好きですと言ってしまった。
ちょうど昼休みにそれを言ったからその後の授業でとことんいじられた。
そしてそのいじりが一番酷かったのは平澤先生の授業。
「えーとだな。日本の歴史には数々の偉人や詩人が言葉を残してるんだが、その言葉は変なやつからなんかすごいやつとたくさんある。そんな言葉の数々を学んでいくんだがたまに変なやつも学ぶ。例で紹介するから黒咲、読んでくれ」
先生はそう言って黒板に書き出した。
「じゃ、読んでくれ」
先生はニマニマして俺に促す。
「やです」
俺は即拒否した。
「いやじゃないんだよ黒咲。これは授業なんだ。君が読んでくれないと進まないんだよ」
「だとしても嫌です」
俺がとことん断って意地でも読まない意思が先生に伝わると先生はため息をついてから自分で読み始めた。
そして同時に俺は顔を真っ赤に染める。
「百合が尊いと思うことは恥ずべきことじゃない。むしろ誇るべきことだ! だって何かを尊いと思うことは悪いことではないのだから!」
うん。
これは死にたくなるほど恥ずかしい。
先生は言った後に俺の方を向いてこう言ってきた。
「ちなみにこの言葉を残したすごーい偉人さんが今ここにいるんだけど誰かわかるか?」
あ、これ終わったわ。
俺の残りの高校生活グッバイ!
そしてクラスの全員、次に学年、最後には学校全体で話題になった。
「あいつ入学式の新入生挨拶でかっこつけてたやつだろ?」
「そんなやつが食堂で叫んでたらしいぜ」
「何を叫んでたかって? 俺は百合が尊いと思っていることを誇りに思っている。だっけな」
「うわやば。クソキモ」
俺の心は折れた。
なんてことはなく。
普通に気にしないように学校生活を送っていた。
「黒咲、百合が大好きでも私はお前に対して見方を変えたりしないからな」
いろんな先生に言われた。
正直恥ずかしさがなかったわけじゃない。
てか恥ずかしかった。
けどそんなん気にしてる暇があるなら俺は少しでも主人公に
なれるよう頑張りたいと思う気持ちの方が強かった。
そして一ヶ月が過ぎた頃。
その話題は本人が恥ずかしがらないこともあって話題にされなくなった。
やはり問題は時間が解決してくれるんだな。
そう俺は再確認した。
時間で解決しない問題があるにもかかわらず俺は前より強くそう思ってしまった。
しかしその話題のことを気にしないようにしていたと言いつつ、少しは気にしていた俺はその時に起きていたもう一つの問題の重大さに気づけていなかった。
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