第25話 悠亜のせいじゃん
4限目の授業が終わり昼休みに入ると俺の周りは人で溢れていた。
クラスのやつだけじゃなく、他のクラスのやつまで集まってきた。
「おいおいなんでこんなに人が集まってんだよ俺何かしたか?」
「はいはい無自覚ラノベ主人公くんは黙ってね」
俺の無自覚ラノベ主人公的台詞は海斗にツッコまれた。
まあツッコミますよねはい。
「黒咲、お前学校一の美少女の柊悠亜の家でお泊まり会したんだって?!」
「ヤったのか?! ヤっちまったのか?!」
「あぁ……我らの女神が……こんなクズ野郎に……」
こいつらうるせー。
まぁ俺でも好きな女の子が女たらしでイケメンなやつを家に止めたって聞いたら同じ反応するかなぁ。
「ヤってません。俺の貞操が喰われそうになりはしたが……」
俺がそう言うと男どもは驚いたような反応をした後同情の目でこちらを見てきた。
おいやめろ、その目はやめろ、虚しくなるだろ。
俺が可哀想なやつみたいになるだろ。
トントンっ。
「海斗どうした? お前まで俺に哀れみの目を向けながら肩を叩いてきてほんとどうした」
「みんなに妄想するほど可哀想なやつ認定されてどんまい」
こいつらそんな認定したのか……。
そっか、こいつらは学校での純粋な悠亜しか見てないもんな。
そりゃそうなるわ。
「OKなるほど。俺は可哀想なやつ認定されたのか」
「そうだね」
「ちなみにこの誤解を解く術はありますか軍師殿」
「今の僕にとって面白いから解く気はないねー。よって解く術はないですお疲れさま」
くそぅ。
楽しそうにしやがって……。
「空ー。お昼食べよー!」
俺が遊ばれているところで廊下から悠亜たちに呼ばれた。
「りょーかい。今行くー」
俺と海斗は準備をして羨ましがる男子たちの包囲網から抜け出した。
あのまんま哀れみの目線を浴び続けたらほんとに悲しくなるわ。
だから助かったー。
悠亜に感謝……ってあれ?
元はといえば悠亜の家に泊まったせい?
さらに言えば悠亜のせい?
そんなことを考えていると前を歩いていた悠亜が振り向いた。
「空っ! 昨日は楽しかったね!」
満面の笑みで言うその言葉は周りにいる奴ら全員を勘違いさせた。
やっぱ悠亜のせいじゃん。
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