第23話 恋ばな



「やらないといけないことについて教えて」


 そう聞いた悠亜だったが先に恋バナから始まった。

 何でかわからないけど始まった。

 

「ねぇ空は私たちの中で誰が好きなの?」

「うーんみんな好きかなぁ」


 今の俺にはそんな答えしか出せない。

 みんなのことは好きだから嘘はついてないけど。

 ここで誰かを選ぶとかはできない。


「いっつも空はそれだね。みんな好きって」

「実際みんな好きだけどね」

「けどそれは異性としてだったりじゃなくて友達として、でしょ?」


 その通り。


「けどいつかは向き合ってくれる。そうだよね?」

「いつか、な」


 あいつを見返す。

 それさえ終われば向き合うなり付き合うなりしようと思っている。


「でもさ、待たなくてもいいんだぞ」


 悠亜たちにはひどいことをしてる自覚はある。

 だからこそ、俺みたいなやつが向き合ってくれるのを待たなくてもいいと思う。

 けど悠亜は言うんだ。


「私たちは空のことが大好きだから、待ちたいの。選ばれるのが私じゃなくてもいいとかは言わない。だって私を選んで欲しいし、私が空とずっと一緒にいたいもん」


 ほんとに悪いと思っている。

 でも俺は主人公になるために負けっぱなしじゃダメなんだ。

 これはただの意地。

 

「私たちは空がやることを終えて向き合ってくれるのをずっと待ってる。だからさ、空」


 そんな俺に彼女は優しく包むように言う。

 そして背中を押してくれた。


「頑張って」


 そう、どこまでも優しく。

 真っ直ぐと……。


「さて、そろそろ寝ますか」

 

 そう声をかけ、二人でベッドに入り横になる。


 そこでみんな疑問に思っただろう。

 女子と一緒に寝て理性大丈夫かって?

 大丈夫なわけない。


 俺も男なんで当然おっぱいとか女の子の身体が当たるとドキドキするわけですよ。

 なんならあそこが元気になってます。

 やばいです。


 同じ布団で当たらないわけがなかった……。

 そんな俺なのに悠亜が話しかけてくる。


「ねぇ空」

「何?」

「ドキドキしてるでしょ」

「そりゃね。学校一の美少女にここまで密着されたら誰だってドキドキするよ」

「えっちなことしたい?」


 あれっ雰囲気的にやばいかも?


「そりゃしたくないと言ったら嘘になる」

「じゃあしよっか」


 悠亜はゆっくりとこちらに近づいてくる。


 そして俺に跨り……恍惚な笑みを浮かべた。


「ふふ……ふふふっ……」


 そして俺のズボンに手を……。


「するわけないだろ! ばか!」


 どうにか俺の理性が仕事をして貞操は守られました。

 ほんとよかった!

 危なすぎ。


 すると悠亜は目に涙を浮かべて、「もう知らないっ! 女の子に恥かかせるなんて……ひどいっ」って拗ねて寝た。

 

 ふう……よかった……。

 悠亜っていっつも俺が好きとか言うだけで照れるくせに、深夜テンションかよ。


 てか深夜テンションってこわ。

 もう少しで俺の貞操が奪われるとこだった……。


 けどさ、やりたくなるほど俺のこと好きで不安に思ってんのかな。

 

 俺は悠亜にしっかりと向き合わないといけないな。

 そう思いながら俺も寝る。

 少しの不安を抱えながら。


 てか俺のやらないといけないことについて知りたいって言ってたのに寝てんじゃん!

 ま、いいか。

 寝よ。

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