第10話 ヨンゼリア⇨女の子の膝枕
「そう言うこと外で言うなよ! 恥ずかしいだろ!」
「だってー空がなかなか振り向いてくれないからじゃん!」
悠亜に言われたことに対して少し考えてしまった。
え、俺のせい?
俺が悪いのか?
恥ずかしいことを公衆の面前で言うのは全部俺のせい?
俺が悠亜たちにしっかりと言わないから?
「まぁまぁそんな考えなくてもいいじゃん。いつもの悠亜の言い訳だよ」
そう言って俺のカルボナーラを未羽が持っていた。
「ひどーい! どさくさに紛れて取らないでよー!」
二人して俺のカルボナーラを取り合っていた。
流石にそろそろ店の方から文句を言われそうなほどに二人は騒いでいた。
止めないと出禁になるな……。
「おい! 二人ともそろそろやめ……ゔっ」
俺は二人を止めようと間に入ろうした。
その時、二人の取り合っていたカルボナーラの皿がこちらへと飛んできた。
そして俺のおでこに当たり、俺の視界が真っ暗になった。
なんでこんなことに……。
そんなことを思いながら。
意識が戻りかけているのを感じた。
暗い視界が徐々に明るさを取り戻していった。
「……ん、ん?!」
あれっ……。
俺の視界には二つの大きな山が存在した。
いや、山じゃない。
おっぱいだ!!
おっぱいが目の前にあって、頭の下には柔らかいものがある。
これは…膝枕だ!
名推理だろ(きらっ)。
これでも探偵を目指そうと推理小説読んでた時期があったんだぞ。
では推理を始めよう(きらっ)。
おっぱいがあるってことは女の子だ。
おっぱい=女の子、OK?
じゃあ誰だ?
おっぱいで顔が見えない。
考えろ、俺に膝枕してくれてそこそこのおっぱいを持っている女の子。
候補者は……多くて絞れない!
程なくして俺は特定を諦めた。
だってわからないでしょ。
おっぱいと膝の質感で人を特定できる人がいるなら教えて欲しいくらいだ!
「あっ! 空起きた?」
この声は、悠亜か!
このおっぱいと膝の質感は悠亜だったのか。
俺の脳内メモリにメモメモ、と。
そして疑問をぶつけた。
「えーと、悠亜さん? なんで膝枕なんでしょうか? ちなみにどれくらい寝てたか教えてもらえると嬉しいです」
「やっと起きたー。結構寝てたよ」
結構ってどれくらいだろう。
「どれくらい寝てた?」
悠亜は少し考えてから2時間くらい寝てたよと教えてくれた。
2時間も寝てたのか。
ファミレスで?
ところでここはどこだ?
ファミレスには見えないけど。
もしかして犯罪組織に誘拐された?!
んなことないか。
こんなことばっか考えてたらまたあいつに「これだからオタクくんはさぁ〜」って言われちまうな。
「悠亜、ここどこ?」
見慣れない部屋でベッドにはぬいぐるみが転がっている。
女の子の部屋……か?
「私の部屋だよ」
「え、ここ悠亜の部屋?」
「そうだけど、何かある?」
俺は悠亜の部屋に何回も来たことがある。
小さい頃だけど。
俺とは海斗、悠亜は幼馴染で小さい頃から交流がある。
親同士の交流もあるほどに仲もいい。
小さい頃、小学生の時なんかは週一のペースで遊びに来ていたほどだ。
しかしそんな俺でもこんな部屋は見たことがない。
そんな困惑している俺を見て悠亜は笑った。
「空なんで物珍しそうに私の部屋見てるの?」
そう言われても部屋をキョロキョロしてる俺を見て悠亜は閃いたって感じに手を叩いた。
「そっか! ぬいぐるみ増えてるもんね!」
いや、そこじゃないんだが。
まあそこもあるんだけども。
「あーもしかして緊張してる? 美少女の部屋にご招待されて」
「そんなことは断じて、絶対にない」
「もー照れなくていのにー」
「照れてないって」
ほんとに、心の底から緊張はしていないと断言できる。
「じゃあ何かあるの?」
「フツーに昔に比べて女の子らしい部屋だなって思っただけだよ」
ほんとにそれだけだ。
俺が言った言葉を聞いて悠亜の顔が拗ねた顔へと変わった。
「えー何よー、昔の私は女の子らしくないって?」
「別にそう言うわけじゃなくてだな……いやそれもあるけど」
言い訳がましく言ってるように聞こえたんだろうか。
悠亜は少し拗ねたのかプイッとそっぽを向いてしまった。
「な、なあ。別にそう言うことじゃなくてだな」
「いいもんいいもん。どうせ私は女らしくないですよーだ!」
別に女らしくないとかじゃなくてだな。
悠亜は小学校の時に男みたいって言われたのを今でも気にしている。
そんなのに気にしなくてもいいのにな。
普通にかわいいと思うんだけどなー。
学校でも美少女って言われてるのに気づいてないのはもはやすごいとまで言える。
拗ねてこっちを向いてくれない。
こう言うところがめんどくさいんだけど、可愛くもあるんだよな。
そう思ってしまった。
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