第9話 部活後のヨンゼリアにて
『ヨンゼリア』
それはみんな大好き、安くて手軽で美味しいファミレスだ。
中学校の時の打ち上げなどでは『ヨンゼリア』か『しゃぶ肉』と言われる食べ放題系のお店のどちらかがよく選ばれた。
そして俺と海斗は部活が終わってすぐのタイミングで悠亜に呼ばれて『ヨンゼリア』に来ていた。
「遅いよー空ー!」
「もっと早く来れなかったのかよー」
悠亜と蓮にそう言われた。
俺たちは部活後、着替えたのにもかかわらず汗だく。
「これでも結構頑張って走ってきたんだぞ」
「ほんとだよ……。空が悠亜に早く会いたいとか言うから……」
さらっと嘘を言う海斗。
「えっ……////」
そして頬を赤らめてときめく悠亜。
「おい嘘つくなー。俺はそんなこと言ってないぞー」
「さあ店はいろー」
俺たちの茶番を無視して未羽が店に入っていった。
そしてゾロゾロとみんな入っていった。
「俺の反論は無視かよ!」
そして俺のツッコミも無視された。
ひ、ひでぇー。
諦めて俺も店に入った。
ところで春がいなかったのでなんでって聞いたんだけど家族で外食するかららしい。
ほんと残念だ。
席につきそれぞれがジュースを持った。
「「「「「乾杯っ!」」」」」
カンっ。
気持ちいいほどにいい音が鳴った後、グビグビとまるで会社上がりのサラリーマンがビール飲む時みたいにみんな一気に飲んでいた。
「で、みんな部活どうだった?」
悠亜がみんなに聞いた。
「ちなみに私と春ちゃんはAチームに無事昇格!」
二人はテニス部だ。
「俺も無事一軍入りしたぜ!」
蓮も野球部で初日昇格できたようだ。
「私もAチームに昇格した!」
バスケ部の未羽もか。
「空たちは?」
ワクワクした顔で悠亜が見てくる。
俺は渾身のドヤ顔でピースして言った。
「俺と海斗は当然Aチームだぜ!」
……あれっ反応ないな。
「反応してくれません?」
思わず言ってしまった。
「だってなんか当たり前っていうか」
「空と海斗だもん。当たり前感よね」
「だな」
悠亜、未羽、蓮に呆れられた。
「空は褒めて欲しいんだよね〜」
そして海斗にはいじられた。
「いじらないでもらえます?」
「あー空! 赤くなってる〜〜! か〜わいい〜〜」
「悠亜さんほんと見ないで恥ずか死しちゃう」
そこで笑いが弾けた。
「空ってほんとナルシストだよね〜」
「ほんとね〜」
女子二人に笑われた。
ほんと恥ずかしい……。
「カルボナーラでーす」
しばらくして俺のカルボナーラが届いた。
ヨンゼリアのカルボナーラはとってもクリーミーで温泉卵が上に乗っているのでとっても俺の好みだ。
「さあさあ、いつもながら美味しそうなカルボナーラが来ましたよと」
俺はしっかりと卵を割らないようにたっぷりとソースを絡めて口の中に頬張った。
「うんまぁぁ〜〜〜〜!」
ついつい口から漏れてしまう。
それほどの美味さだ。
「あっ! 空のカルボナーラ美味しそう! 私も欲しい!」
悠亜はそう言ってフォークで終えのカルボナーラを取ろうとした。
「おい、やめろよ。俺の大事なカルボナーラだぞ!」
「いいじゃんー」
そしてそんな言い合いをよそに俺のカルボナーラが悠亜の隣の未羽に取られた。
「あたしがもーらいっ!」
「あっ! 私のカルボナーラ!」
「おい、俺のだよ!」
俺のカルボナーラを取り合う二人にツッコまざる終えなかった。
「もう一個頼めばいいだろ……」
呆れながら俺がそういうと二人はキョトンっとした顔をした後にほんとわかってないなぁって顔で言われた。
「私たちはカルボナーラが欲しいんじゃないの。“空の“カルボナーラが欲しいんだよ!」
何言ってんだこいつら。
またも鈍いなぁって顔で見られた。
そして悠亜が口を開いた。
「はあ……もう! 私たちは空と間接キスがしたいの! わかる?」
は、何言ってんの。
恥ずかしくないの?!
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