第7話 サッカー部3


 景山はディフェンスと対面すると細かなタッチでステップを踏み始めた。

 右、左、右、左。

 リズムよく刻まれるステップ。


「上手いな」


 俺がそう呟くと同時にリズムが乱れた。

 右、左、右、右。

 急にズレるリズムにディフェンスは半歩遅れた。

 そしてその瞬間、影山のドリブルスピードが上がりディフェンスを抜き去った。

 一瞬にして一人、二人、三人、四人、五人……全員を抜き切った。

 そしてゴールを決めた。


「なんだあいつ!」

「上手すぎだろ」

 ギャラリーこと2、3年生が騒ぐ。


 すごいな。

 ほんと言うだけある。


 その後も赤対青の試合は景山のいる青が圧倒し、紅白戦終了時には3対10で青チームが勝利で終わったのだ。


「すごかったなさっきの」

「次の試合も楽しみだな」


 ギャラリーが騒いでいる。

 そしてギャラリーたちは次の試合にも興味が向いていた。


「これはアピールにもってこいの流れでは?」


 俺がそう言うと海斗がニカッと笑っていた。


「僕もそう思ってたよ」


 どうやら海斗もやる気満々のようだ。


「やる気満々だな」

「当然だよ。ようやく空と一緒のコートに立てるんだから」


 俺と海斗は小学校の時も中学校の時も同じチームだ。

 でも同じコートに立ったことはない。

 小学校の時は海斗が、中学校の時は俺がベンチだったから。


「やっとだもんな」


 俺たちは小学校の時にある約束をしていた。


「二人でW杯取ろうぜ!」


 そう約束したにもかかわらず、俺たちは一緒のコートに立ったことがなかった。

 だから、高校からは……やってやるんだ、俺たち二人で。


 ピッピー!

 赤対青の紅白戦終了のホイッスルが鳴った。


「次! 黄と緑! コートに入れ!」


「よしやるぞっ!」

 俺たちは気合を入れて紅白戦へと向かった。


 絶対活躍してやるんだ。

 準備万端!

 気合も十分!

 やってやる!


 試合が終わった後には俺たちが主役だ!

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