第3話 アブノーマル教団の黒咲空……ではないです!
俺が心の中で色々考えてるとガラララっと出席簿を取ってきた平澤先生が入ってきた。
どうやらいつの間にかチャイムはなっていたらしい。
「おいお前ら席につけー」
先生は中学校の時に知り合った人だ。
昔から結構お世話になっている。
たまにうざいくてめんどくさって思うけど。
「あれっ? お前らは隣のクラスじゃなかったか? なんでまだいる?」
先生がこちらを見て言った。
俺はこのクラスだぞって言いそうになったがよく考えると、先生は俺の後ろにいる二人を見ていた。
「えーとですね、僕らは元からこのクラスだったかというか……」
焦った感じで蓮が答える。
「そうそう! 元からこのクラスだったって!」
同調して未羽もそう答えた。
二人は隣のクラスでもうホームルームの時間なのにまだ俺らの教室にいたのだ。
二人の言葉を聞いた平澤先生は笑顔で二人のすぐそばまで近づいた。
その笑顔例えるなら悪魔の微笑み。
「よしお前ら……」
やばって顔が出てるぞ二人とも。
「そんなに生徒指導室に行きたいか……そうかそうか、今から連れてってやるよ」
この先生まじか……。
「「先生」」
二人が口を揃えて言うと先生が「ん?」と笑顔で答えた。
先生の笑顔で察した二人は足に力を入れ、空気を思いっきり吸い込み、地面を力強く蹴って走り出した。
「「すいませんでしたーーーーー!」」
そう叫びながら二人は自分の教室へと走っていった。
二人は自分たちのクラスである12組へ。
しかし先生がいるのに教室に残り続けるなんてあいつらすごいな。
二人が隣の教室に戻ったであろう時に隣の教室で二人が「すいませんーー!」って言ってるのが聞こえてきた。
ほんと馬鹿だろ。
「全く、いくら黒咲のことが好きでもチャイムなったら戻れよなー」
二人が出てったあとに先生は俺にそう言ってきた。
「ちょっと先生、未羽が俺を好きって言うのはいいけど蓮はやめてください」
「まあまあ、男同士でも誰も責めないんだしいいじゃないか」
俺のツッコミに先生はそう返してきた。
「やめてください。俺は健全なノーマル男子ですよ」
「ん? 君はアブノーマル教団代表だったろ?」
「なんですかその教団……。てか俺代表なってるし。生徒を架空の団体に勝手に入れるのはやめてもらっていいですかね」
「ノリ悪いなー君は」
「先生がおかしいんですよ」
そう俺は呆れ顔で言った。
それに対して先生は「そうか?」と笑っていた。
ほんとこの人いい歳して子供みたいだな。
だから生徒に好かれやすいんだろうけど。
「とりあえずこんな男女たらし野郎は置いといてHR始めるぞー」
「おい、男女たらしってなんですか」
「男にも女にもちょっかいかけて弄ぶクソ野郎のことだが?」
「それって俺のことじゃないですよね?!」
「はい始めまーす」
「俺を放置すんな!」
俺たちの言い合いに教室全体が笑いに包まれた。
「ま、いいか」
呆れと同時にため息が溢れた。
俺は諦めて静かにHRを受けることにした。
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