『なう。あい、はぼぅ、あ、べん』
やましん(テンパー)
『なう。あい、はぼぅ、あ、べん』
(このお話は、お腹がいたくなること以外は、すべて、ナンセンス・ホラ・フィクションです。冗談がお嫌いな方は、ご遠慮ください。)
高校生時代からそうだったのだけれども、学校や、さらに就職後は職場に、ただ行きかけると、それだけで、猛烈にお腹がいたくなるのである。
一回、全部出してしまわないと、直らない。
休みの日には、起らないことが多い。
その、苦しみというものは、経験者でないと、なかなかわからないものであろう。
我慢してしまうと(我慢できないが・・・)、いったい、どういうことになるかは、文章化することが、憚られるのである。
簡単に言えば、破綻するのである。
実際に破綻した事もあるから、ばかにならない。
悲惨な状況となるのだ。
最近は、進んだ紙パンツがあるので、それでも対処が可能になったが、当時はなかなか難しかった。
だから、電車にせよ、自家用車にせよ、常にお手洗いの場所を確認しておく必要性がある。
電車の中は、極めて危険なのだ。
ところが、そうした、ある種の症状を呈する人は、けっして少なくはなかったらしいのだ。
つまり、どうなるかは、明らかである。
数が少ない、駅や、パーキングエリア内の、お手洗いの、し烈な奪い合いになるのだ。
だいたい、多くの人は、みんな、同じ時間帯に通学、通勤をするものだから、ある意味当然のなりゆきである。
我が、日本合衆国の場合、公衆のお手洗いは、まず、無料であろう。
もし、ヨーロッパのように、お手洗いが有料だとすると、そのような症状が出る我々は、大打撃を被ることになりかねないし、小銭がないと、立ち往生することになる。
ある日、突然、おかしな『空襲』があった。
無予告、無差別である。
誰の仕業なのかも、まったくわからなかった。
空襲かどうかも、言い切れないものだった。
いや、気が付いた人自体が、ほとんど無かったのである。
昔あった、空に住む、恐怖の生物による、戦慄のSF小節の、筋書きみないな感じである。
ちょうど何かが降ってくるのと、ぼくが私鉄から国鉄の、乗り換え駅に駆け込んだのは、ほぼ、同時だった。
幸いだったのか、どうか、これは当然、核爆弾の類ではなかったらしい。
普通の爆発も見えなかった。
ここはやたら、頑丈な駅だったのだが、そうした障壁は問題外だったらしい。
ところで、先の第2.5次世界大戦では、わが連邦政府は、早々と南北アメリカ国と講和してしまい、他の諸国を慌てさせた。
あっさりと、大陸での利権を投げ出したには、それなりに訳があった。
当時、『南北大アメリカ国』は、密かに、宇宙からきたある勢力と、秘密の協力関係を構築しようとしていたが、それを察知した我が国政府が、その仲間に入れるように迫った。
そのかわり、大陸の利権は、放棄するとしたらしい。
その宇宙勢力(正体は不明のママである。)は、非常に進んだ技術を持っており、新しい資源や宇宙開発に、その技術を提供する約束をしてきたが、替わりに、地球人の豊富な労働力を提供するように、求めてきていたのである。
別に、知識人や技術者でなくて、良いと言う。
方法は、任せると言うのだった。
そこで両政府は、『国民の選択』を、する必要性に直面した。
わが政府は、さまざまなやり方を考えたのだが、その中に、ストレス性の腹痛持ちを、差し出す案があったのである。
ただ誘拐したのでは、あからさますぎるので、ちょと、おかしな仕掛けをしたのだ。
この自国内『空爆』も、その、方便の1つだったようである。
その技術自体が、宇宙勢力から借りたモノだったらしい。
空中で、ある種のエネルギーの爆発現象を起こし、その未知のエネルギーの透過力で、腹痛もちの学生やサラリマンを選別するのである。
そうして、該当者を、宇宙勢力の開発基地に、それぞれ分配、直接転送するのだ。
政府には、もちろん、原因不明なのである。
そこで、ぼくは、地球の月の裏側にあった、彼らの、基地に瞬間移動したのである。
火星にも、金星にも、資源の採掘施設があるらしかったが、月の裏側では、地球は見えないのが、寂しい。
しかし、その労働自体は、なにしろ、進んだ宇宙勢力のことだから、非常に楽だった。
三食昼寝付きである。
一日の労働時間は、6時間で、残業、ノルマなし。
賃金は出ないのが問題だが、生活はすべて保証される。
体調が悪い時などは、休暇が取得できたし、治療もしてもらえた。
悪性のがんなどでも、あっというまに、直ってしまう。
しかも、週休3日ときた。
宿泊施設は、個室で清潔。テレビ、万能オーディオ装置、冷蔵庫、バストイレ付きである。地球のニュースや映画や、コンサート番組も受信できる。
レクリエーション設備も各種完備していた。
というか、ひとつの施設が、何にでもなるのだ。
地球上のどんな仕事より楽だし、なにしろ、宇宙勢力は、とても、親切で、紳士的だったのだ。
ブラックなところは、まったく、皆無だった。(強制収容したことと、賃金がないことは別として。しかし、その選別方法は、地球の政府が決めたことだ。)
地球上の多くの地域では、いまだ軍人中心の政府による、圧政が続いていた。
もっとも、圧政かどうかは、個人の考えにもよるから、すべてを言い切ることはできないのかもしれないのだが、中には、許しがたい事例もあったのである。
いずれにせよ、ぼくの腹痛は、あっさりと、治ってしまったのである。
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問題は、用済みになった場合の、ぼくたちの処分方法である。
これについて、説明は受けていない。
ある日、消えてしまうのである。
わかっているのは、それだけだった。
が、それは、地球上でも変わらないことではある。
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お し ま い
『なう。あい、はぼぅ、あ、べん』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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