出逢い
雨の夜だった。朝からどんよりした空が続いて、昼過ぎから激しい雷雨となった。
夕方8時頃に次の日の為の資料を作り終わり、コンビニで適当な弁当でも買って帰ろう。そう思いながら雨の中を歩いていた。
いつも通る自販機が3台とベンチが並んだ小さな公園に、お前は居た。
傘もささずに、背中を小さく丸めてベンチに座る人影。気になって近づいてみた。性別は雨の夜の暗さで判別出来ないが、震えている事は分かった。その震えが雨に打たれている寒さなのか、何かに怯えているのか。いや、後者だと思った。何故かと言われれば困るが、そんな気がした。
「あの、大丈夫ですか?」
そんな在り来りな言葉しか思いつかなかったが、何も言葉を掛けないという事は出来なかった。
ゆっくりと顔を上げたその瞳には、儚さが溢れていた。この激しい雨と共に、何処かに流されてしまいそうな、そんな儚さ。
「僕、何処に行けばいい?僕の居場所は何処にあるの?」
消え入りそうな声でそう言った。まず、男性である事に驚いたし、問い掛けられた言葉の内容にも驚いた。
「ここじゃ風邪引くから、
何馬鹿な事を言っているんだと気付いたのはもう少し先の話で、それ位、彼をどうにかしなければと必死だった。
すっかり濡れて冷めきった華奢な肩を支え、傘をさしてやりながら家へと向かった。
純愛 櫻田 梛葵斗 @hitaga
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。純愛の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます