第105話 死神さん!
「死神さん!」
僕は、ベッドから飛び起きました。
壁に掛けてある時計の針は、7時を指し示しています。窓からは、暖かな日の光が差し込んでいました。もうすっかり朝です。
部屋の中を見渡す僕。これまでと大きな変化はほとんどありません。ですが、変わったところもあります。テーブルの上に置いてあった将棋セットが無くなっているのです。そして、その代わりに、封筒が置いてあります。封筒には、『起きたら読んでね』の文字。
僕は、急いでその封筒を手に取り、封を開けました。中には、2枚の折りたたまれた便箋。それを開くと、文字がびっしりと書き込まれています。おそらく、泣きながら書いたのでしょう。便箋の所々に水滴が落ちたような跡があり、文字が滲んでいました。
「…………」
僕は、無言でそれを読みました。読み終わると、また最初から読みました。何度も、何度も、読みました。そこに書かれていることが、嘘であってほしいと願いながら。
一体どれくらいの時が流れたでしょうか。便箋には、真新しい水滴の跡が、いくつもいくつもできていました。
僕は、便箋をゆっくりとテーブルの上に置き、ベッドに倒れこみました。
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