第51話 何とかなるかもしれないわ

「えっと……もう一度言ってくれませんか?」


「え? 私も将棋部の活動に参加するって言ったんだけど……」


 はてなマークを浮かべる僕と先輩に向かって、不思議そうに首を傾げる死神さん。


「いや……いやいやいや。急に何言ってるんですか?」


「だって……先輩ちゃんに勝ち逃げされるの悔しいし。まあ、君と一緒に参加するわけだから、帰ってすぐに晩御飯が食べられないっていうのは変わらないけど。将棋のためなら問題なし!」


 そう言いながら、死神さんは、右手の拳を天井に向かって突き上げます。どうやら、死神さんにとって、将棋の価値は晩御飯の価値よりも大きいようです。何という将棋愛。


 ですが、まだ問題はあります。


「そもそも、部活は学校の中でやるんですよ。しに……姉さんはうちの学校の人じゃないですよね」


「……は!」


 死神さんの目が大きく見開かれました。


「分かってなかったんですね」


「……ワカッテタヨ」


「どうして片言なんですか……」


 まあ、理由なんて、聞くまでもないでしょうが……。


 ちょっと既視感のあるやりとりをする僕と死神さん。すると、突然、先輩が「そうだ!」と何かに気が付いたような声をあげました。


「先輩、どうしました?」


 僕の言葉に、先輩はニンマリと笑みを浮かべます。何か悪いことを企んでいるのは明白でした。


「何とかなるかもしれないわ」

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