第51話 何とかなるかもしれないわ
「えっと……もう一度言ってくれませんか?」
「え? 私も将棋部の活動に参加するって言ったんだけど……」
はてなマークを浮かべる僕と先輩に向かって、不思議そうに首を傾げる死神さん。
「いや……いやいやいや。急に何言ってるんですか?」
「だって……先輩ちゃんに勝ち逃げされるの悔しいし。まあ、君と一緒に参加するわけだから、帰ってすぐに晩御飯が食べられないっていうのは変わらないけど。将棋のためなら問題なし!」
そう言いながら、死神さんは、右手の拳を天井に向かって突き上げます。どうやら、死神さんにとって、将棋の価値は晩御飯の価値よりも大きいようです。何という将棋愛。
ですが、まだ問題はあります。
「そもそも、部活は学校の中でやるんですよ。しに……姉さんはうちの学校の人じゃないですよね」
「……は!」
死神さんの目が大きく見開かれました。
「分かってなかったんですね」
「……ワカッテタヨ」
「どうして片言なんですか……」
まあ、理由なんて、聞くまでもないでしょうが……。
ちょっと既視感のあるやりとりをする僕と死神さん。すると、突然、先輩が「そうだ!」と何かに気が付いたような声をあげました。
「先輩、どうしました?」
僕の言葉に、先輩はニンマリと笑みを浮かべます。何か悪いことを企んでいるのは明白でした。
「何とかなるかもしれないわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます