第52話 天才だよ、先輩ちゃん!
「外部コーチ……ですか?」
「そうよ」
先輩は、腕組みをしながら自信満々に頷きました。
「最近、うちの学校で、部活動をもっと活性化させようっていう話が出てるらしくてね。その一環として、外部からコーチを招くことを推奨してるみたいなの。だから、それを利用すれば、お姉さんも将棋部の活動に参加できるかもしれないわ」
先輩の言う部活動活性化についての話は、クラスメイトが話題にしているのを小耳に挟んだことがあります。あの時は、自分に関係がないものだと思って「ふーん」としか思いませんでしたが、まさかこんな形で関係してくるなんて。ですが、そんなに上手く事が運ぶものでしょうか。不安は募るばかりです。
「て、天才。天才だよ、先輩ちゃん!」
そんな僕をよそに、死神さんの目がキラキラと輝き出します。そこには、不安のひとかけらもありません。
「と、いうわけで。これからよろしくね。お姉さん」
「こっちこそ、よろしくだよー」
二人は、がっちりと固い握手を交わしました。
「……先輩、本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫、大丈夫。私に任せておきなさい。さて、帰ったら、親戚のおじさんに電話しておこうかしらね。どうやって話をつけようかしら……」
「……親戚の……おじさん?」
突然先輩の口から飛び出した、『親戚のおじさん』という言葉。その意味が理解できず、僕は首を傾げました。
「あれ? 言ってなかったかしらね。私たちの学校の校長先生って、私の親戚なのよ」
「…………へ?」
何ですかそのご都合主義は!?
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