第44話 それは、私に将棋で勝つこと!
「……別に、弟が将棋部に入るのは構わないよ」
「ほんと!?」
死神さんの言葉に、先輩は、下げていた頭を勢いよく上げました。目はキラキラと輝き、顔には満面の笑みが浮かんでいます。
「でも、一つだけ条件がある」
「……条件?」
首を傾げる先輩に向かって、死神さんはドヤ顔で言い放ちます。
「それは、私に将棋で勝つこと!」
それは、紛れもない宣戦布告。横で会話を聞いていた僕は、思わず大きく肩を落としました。一体どこの少年漫画を見せられているのでしょうか。この瞬間、僕は悟ってしまったのです。「あ、これはダメなパターンだ」と。
「ルールは簡単だよ。将棋で勝った方が、弟を好きなようにできる。つまり、先輩ちゃんが勝てば、弟を将棋部に入部させることができる。逆に、私が勝てば、…………ジュルリ。おっとよだれが」
言葉の途中で、突然、口元を拭う死神さん。僕の背筋に、冷たい汗が流れます。
「しに……姉さん!? 僕に何させようっていうんですか!?」
「フフフ……。今まで我慢してたあれやこれやを……」
どうやら、死神さんは妄想の世界に行ってしまったようです。ニンマリと笑みを浮かべながら、何かを呟いています。
いや、そもそも、僕の権利はどこに……って、ついさっき、似たようなことを考えましたね。さっきは、「僕の人権が軽く見られている」でしたが、どうやらその考えは甘かったようです。軽く見られているどころの騒ぎじゃありません。本当に、何をさせられるのやら……。
「まずは膝枕から……それで……ニヒヒ」
…………膝枕くらいなら、いいかもしれませんね。
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