第42話 ち、違うから!
「……へ?」
部屋に入った僕の目に映ったのは、摩訶不思議な光景でした。僕と死神さんが話している間、部屋の中で待ってもらっていた先輩。彼女が、床に顔をつけながらベッドの下を覗いていたのです。
「あの……先輩?」
僕の言葉に、先輩の体がビクリと大きく跳ね上がりました。上半身を起こし、真っ赤な顔をこちらに向けています。
「ち、違うから!」
先輩の大きな声が、部屋の中に響き渡りました。
「えっと……」
「べ、別に、男の子の部屋に来たのが初めてで、舞い上がってるわけじゃないから! あまつさえ、男の子特有のそういう本があるかどうかなんて、気になってなんかないから!」
きっと、先輩は相当慌てているのでしょう。手をブンブンと振りながら、いろいろなことを暴露してしまっていました。
「せ、先輩、落ち着いてください」
「お、おお落ち着いてるし!」
プイッと横を向く先輩。全く落ち着いているようには見えません。黒髪の間から見える耳は、今にも火が出そうなほど真っ赤になっていました。
「ふっ、先輩ちゃんはまだまだだね。彼は、そういう本を持ってないんだよ。部屋を全て探索した私だから分かることだけど」
僕の隣で、なぜかドヤ顔を浮かべる死神さん。
「しに……姉さん、どうしてそこで先輩と張り合おうとするんですか? って、今何か凄いこと言いませんでした?」
最近、僕の人権が軽く見られているのは気のせいでしょうか?
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