第41話 街に顔を出す
ポーリン「マスター、食材持ってきたわよー」
バル「おお、ポーリン、なんかだかすっかりルークの
ポーリン「いやだ何言ってるのアタシハベツニ~」(ぱしぱし)
バル「イテッ、叩くなって、痛いイタイ」
メア「ちょっと! ポーリン! あなたルークと一緒に住んでるって本当?!」
ポーリン「あらメア、ふふふ、本当よ~」
メア「ちょどうしてそんな事に……まさか、本当に結婚? 結婚するの?! 一体どういう流れでそんな話に~」
女冒険者達「ちょっといらしたわよ! リスティ様よ! きゃぁステキ~!」
ルークは、ポーリンが森の家で訓練している間も、変わらず定期的に街に干し肉等の食材を卸しに行っていたが、それにポーリンとリスティも同行するようになったのである。
ポーリンがルークを手伝うようになり、すわポーリンは冒険者を辞めたのか? 結婚退職なのか? と冒険者ギルドでは少し騒ぎになったのだが(別にポーリンは冒険者を辞めたわけではない)、それ以上に、エルフのリスティが現れるようになった事のほうが衝撃が大きかったようで、メア以外はあまりポーリンの事は気にならなかったようであった。
リスティが街に顔を出すようにしたのは、近い将来街に住む事を考慮して、街の人に顔を見せて慣れてもらうという意味があった。予想通り、エルフを見たことがある者はこの街にはほとんど居らず、街往く人はみな思わず振り返ってリスティを見てしまう。その美しさに、そのうち街の娘達(オバサマ達)から追っかけまで出現した。
また、リスティは冒険者である事も判明し(しかもAランク!)、自分のパーティに勧誘したいという動きも活発化したが、冒険者の女性を中心にできたリスティのファンクラブと、街の娘(オバサマ)が作った追っかけグループがお互いに牽制しあい、暗黙のルールのようなものもできたので、意外とリスティに直接話しかける者は少なかった。
まぁ当のリスティは今の所ルークと行動を共にする事しか考えていないので、ルークが冒険者になると言い出さない限りは冒険者として本格的に活動する気もないようだが。
……実は、親友フィルを失った事で、表情には出さないがリスティも少なからず悲しみに沈んでいた。あまり知られていないが、エルフは人間よりずっと情が深い種族なのである。それゆえ、別離の悲しみも深い。そのために重いうつ病になってしまうエルフも居るのだ。(エルフのうつ病はけっこう深刻なのである。)リスティも、あまり沈んでいるとうつ病になってしまいそうな気がして、ルークについて街に出ようと思ったのは、気を紛らわすためでもあったのだが。
エルフの人生は長い。その生活の時間の感覚は、人間よりずっとのんびりしている。エルフのゆっくりとした生活のリズムの中では、ついつい悲しい事を思い出してしまう事が多くなる気がしたのだ。だが、ルークと(人間と)居れば退屈しない。面白い事、刺激的な事が速い展開で訪れるので、悲しいことを考える時間は少なくて済む。
ただ、あまり人間と親しくなりすぎると今度は人間との別れが辛くなってしまうという問題があるのだが……
今はただ悲しいので、気持ちが落ち着いたら、適当なところでフェードアウトしていけばいいと思っていた。
長く生きているエルフの中には、人間などの寿命の短い種族との付き合いについても、もはや達観してしまってあまり気にしない者もいたのだが(ペットを飼っては寿命で見送る事を繰り返している人間の感覚に近いのかもしれないが)、エルフとしてはまだ若いリスティはまだそこまでは達観できてはいないのだった。
* * * * *
森の家で訓練も続く。
どうやらバッケンがレインクラッド流の技を教える必要はなさそうであったが、それとは別に、バッケンはルークとポーリンに自身の身につけている戦闘技術を教えてくれた。(バッケンはそのために残ってくれていたのだ。)戦闘時の “駆け引き” や、戦場での色々な(
それは、変則的な戦闘術に留まらず、暗器や投擲用の隠し武器、毒、罠など多岐に渡った。バッケンもそれを身につけて活用しろとまでは言わなかったが、知っていないと対応できない事もあるからである。
投げナイフや手裏剣の練習などもさせられた。ルークはリスティに教わって弓と投げナイフの技術を身につけていたが、あまり経験のないポーリンは投擲武器には少し手こずっていた。
バッケン「まぁ、練習を積んでおけ。いずれ上手くなる」
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