第34話 解決?

ルーク「オジサン、止めなよ。それ以上やったら、オジサンを殺さなければならなくなる」


ゴリキン「動くなと言ってるだろう! そこからあと一歩でも近づいたらポーリンの首を掻っ切ってやる!

さぁ来いポーリン! 俺の隠れ家に行って楽しいことしようぜぇ……! へへへっ、まともにったら俺なんかじゃ歯が立たないポーリンだが、縛られちまえば可愛いもんだ。たっぷり楽しんで、後は殺して外国にでも逃げるかな」


ルーク「殺るか……」


バッケン「いや、俺が殺る」


次の瞬間、バッケンが、ゴリキンの背後に高速で移動していた。


腕を斬られて戦闘不能状態だったので、ゴリキンは油断してバッケンをマークから外していたため、容易に接近を許してしまったのだ。


バッケンの振った剣によってゴリキンの首が飛び、地面に転がる。見れば、斬られたはずのバッケンの腕は元通り接合されていた。


バッケン「上級ポーションを持っていたんだよ、手足の切断程度なら接合できる」


ルーク「へぇ、凄いね、上級ポーションって……」


バッケン「値は張るがな……。それより、なぁルークよ、頼む! お前の師匠に会わせてくれないか? 俺の昔の知り合いかも知れないんだ」


ルーク「だからそれはでき~」


バッケン「その人物に会って、どうしても確認したい事があるんだ! 俺の名前を伝えて、会って貰えないか尋ねてみてくれないか? 俺の名は、バッケンジーグ・レオグランドだ」


ルーク「……分かったよ、訊くだけ聞いてみる……」


バッケン「頼む……」





その場は解散になり、ポーリンもバッケンも冒険者達も街に戻った。(ポーリンの首の傷はルークが【ヒール】で即座に治している。)


ゴリキンを殺したことは、ポーリンが殺されそうだったと言うことを、その場に居た冒険者達全員が証言しているので問題ないだろうと言う事になった。


ポーリン「アンタ達、“貸し”だからね!」


バッケンに加担し、ポーリンを捕らえた冒険者達については、ポーリンが貸し一つ・・・・で赦してやる事にした。


もともと冒険者達はバッケンの依頼を請け負っただけで、依頼の内容もただ捕まえるだけ、怪我をさせたりはしないと聞いていたのだ。冒険者達は(ゴリキン以外は)ポーリンとルークに対し害意はなかったそうで、妙な企みに加担してしまった事を素直に謝ったので、ポーリンも貸しと言う事で許す事にしたのだ。


バッケンについては、ポーリンとはお互いに対等な条件で決闘した結果であり、お互いに傷ついてもいないので、遺恨はなしということでポーリンは赦す事にした。そもそも剣の勝負をして負けた側が騒ぎ立てても、剣士として恥になるだけである。


むしろ、戦い終わって奇妙な友情さえ芽生え始めている脳筋の二人なのであった。


ポーリン的には戦いの内容については不満が残るものの、それはまた精進していつか雪辱してやると考えていたが。


ただ、ルークを狙った事に関しては、改めて謝罪と賠償をするようポーリンがバッケンに厳しく言った。冒険者同士のいざこざはよく有ることなので大目に見られる事も多いが、ルークは冒険者並みに強いが冒険者登録をしていない“一般人”なのである。


冒険者が一般人に危害を加えるなどあってはならない。もし冒険者が一般人に暴力を振ったり傷つけたりしたら、大変重い罪に問われる事になるのだ。そうでないと、荒くれ者が多い冒険者などという、一歩間違えば暴力団になりかねない組織を街の中に置いてはおけないからである。


だが、ルークがそれについては自分は何も被害を被ってないと言って不問にしてしまった。甘い、訴えるべきだとポーリンは主張したが、バッケンは腕を斬られて痛い思いもしているし、それを治療するために高額なポーションを使ってしまっているのでもういいだろうとルークが譲ってしまったのだ。



   * * * * *

 


翌日の午後、ラハールの街の冒険者ギルドにルークが現れる。


酒場で待っていたバッケンに近づき、ルークが言った。


ルーク「爺ちゃんが、会いたいって」



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