第15話 街へ戻ろう、送っていくよ

ポーリン「うわ、ナニコレ、ふわふわ~」


ここで寝ろと案内された部屋のベッドに腰掛けてポーリンは、その寝具の柔らかさに感動していた。


ルーク「【クリーン】をかけてあるから布団は清潔だから安心して。【ドライ】でばっちり乾燥してるから、ふわふわでしょ。あと…」


ルークはポーリンの身体にも【クリーン】を掛ける。


一瞬にして服も身体もすべて、汚れがなくなり清潔な状態になる。


ポーリン「これは……! 凄い……【クリーン】の魔法って便利だったのね、快適だわ」


冒険者は戦闘に必要な魔法やスキルや生き残るための支援魔法や回復魔法が重視されるので、あまり生活魔法系の魔法、単に手や服を綺麗にするだけで結構な魔力を消費してしまう【クリーン】のような魔法を使う者は少ないのである。


ルーク「ポーリンは僕の部屋ここで寝るといいよ。僕は食堂のベンチで寝るから」


ポーリン「え? そんなの悪いわよ、私がベンチで寝るわ」


ルーク「いいってば。疲れてるだろ? ちゃんとベッドで寝ないと身体のダメージも回復しないよ? とりあえず横になってごらんよ? ふわふわで気持ちいいだろう? 感触だけでも味わってみて」


疲れもあったのだろう、言われるままに横になったポーリンは、あっという間に眠りに落ちてしまったのであった。


毛布をポーリンにかけてやると、ルークは食堂のベンチの上で横になった。(一緒に寝たりはしません。)




   * * * * *




翌日、すっかり元気になったポーリンとともに街へ向かったルーク。


途中で何度か魔物に遭遇するが、元気になったポーリンが退治していく。ポーリンは攻撃魔法も少々使えるが、剣術を主とする前衛の剣士であった。


だが、剣で魔物を斬り倒すのは良いが、その度に返り血で汚れてしまう。


その度に、ルークが【クリーン】を使って綺麗にしてやった。


一度、毒をもった魔物の攻撃が掠ってしまい、毒がわずかに身体に入ってしまったポーリンであったが、それもルークの【クリーン】で解毒・浄化されてしまった。


ポーリン「本当に、【クリーン】で毒まで浄化できるんだ……」


ルーク「もともと【キュア】と【クリーン】は同系列の魔法なんだって。リスティが教えてくれた。だから、【クリーン】がちゃんと使えれば【キュア】は必要ないんじゃないかと思うんだけどね」


ポーリン「そんなわけないと思うんだけど……」


ルーク「だって、【クリーン】ていうのは、汚れを消し去ってしまう魔法だろ? でも、何が汚れで何が消してはいけないものなのか、どうやって区別されてるのか? って話。術者のイメージによって左右されるのか、いまいちよく分からないんだけど」


ポーリン「あなたの【クリーン】はリスティさんに教わったから効果が高いのね? エルフは魔法にも詳しいっていうものね」


ルーク「いや、気がついた時には普通に使ってたから、誰に教わったわけでもないんだよね。これだけはリスティより僕のほうが上手かったから。多分生まれつき適性があったから、赤ん坊のうちに見様見真似で覚えたんだろうって」


ポーリン「ねぇ、気になってたんだけど、そんなに【クリーン】連発して、魔力は大丈夫なの? 【クリーン】ってかなりの魔力を消費する魔法のはずだけど……


…まぁ、冒険者じゃないから、戦わないから魔力を温存しておく必要もないんだろうけどさ」


ルーク「別に? 【クリーン】なら何百回使ったって平気だよ? みんなそうじゃないの?」


ポーリン「そんなわけないでしょ。前に一度【クリーン】が使える冒険者と臨時パーティ組んだ事があるけど、【クリーン】使えるなら汚れた返り血綺麗にしてって言ったら、クエスト中にそんな魔力の無駄遣いができるかってえらく怒られたわ」


ルーク「そう、その人は、【クリーン】は使えるけど、そんなに得意ってわけじゃなかったのかもね」


そう言いながら、再び【クリーン】を自分とポーリンに掛けるルーク。ちょっと汗をかいたのが気になったのだ。


ポーリン「いつもそんな風に頻繁に使ってるの?」


ルーク「そうだよ、汚れたままだと気持ち悪いだろ?」


ポーリン「はぁ、まぁ、たしかに快適だから助かるけど……


…それと!」


ルーク「?」


ポーリン「その! さっきから倒した魔物をポンポン収納してるマジックストレージ? どんだけ入るのよ?!」



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