第6話 広がる黒い影

 翌日、ノアはアリアベルと共にいつも通り学院へ向かい遅れてダリアも見回りに向かった。


 リージアは書庫室へ入り積まれた書類の前に座った。他の隊員達も入ってきて一緒に作業を始める。


 ドーマは王室敷地内の見回りをする。これまで確認してきた場所も含めて念入りに、数人の隊員も分担して行う。


「毎日見回りしてるが毎回何かしら見つかるってこともねぇな」


 そんなことをぼやきながらも皆注意して辺りを確認する。すべての騎士隊をそれぞれに分け王室外から隣町にかけての道中と町中を調査していく。セパルとクリスにアリス、ジャーミス等もそれぞれ分かれて行動する。


 セパルは一班の隊員たちと町から外れた森の中を調査していた。


「いいか、不審物を発見したらすぐ報告しろ。特に今までに見たこともないような物が生息している可能性にも注意してかかれ」


 隊員に呼びかけ皆が返事をする。そうして数時間かけて調査をしていくのだが、ここまではいつも通りの流れだった。


 だがこの日、セパルたちとは反対の方向で調査をしていた班から通信が入った。


 調査中は遠隔魔法で通信を繋げた機械同士、遠距離の電波が無い所でも連絡を取り合うことができるテシーバを利用している。


 テシーバが鳴り話を聞くと隊員たちのいる町の一部の地域で体調不良者が続出しているという内容だった。セパルはその場所を確認しすぐにドーマに知らせて向かわせると伝えて通信を切った。それからすぐにドーマにかけ直しこの事を説明すると、ドーマは承諾してすぐに言われた場所へと飛び立った。


 一方、クリスとアリスは住民に案内され、町の中で一番大きな病院であるフォークス病院へと訪れていた。


「王室に仕える騎士団隊員のクリスといいます。我々はある事件の調査に来ていたのですが、先程住民の方から気になることを耳にしまして。詳しく話を伺いたいのですがよろしいですか」


 フォークス病院の創設者であるフォークス・ベルベット子爵の孫、グレイブ・ベルベット教授がクリスの話に応じた。


「一昨日から急に患者が増えはじめたんだ。それも皆腹痛や下痢、吐き気と同じ症状が出ているんだ。この二日間で今現在来訪している患者をあわせて十六名が脱水症状をおこして重症化している」


 たったの二日間で十名超えの患者がでていることはかなり重大な状況であり、このまま放置すれば数日で町全体にまで広がりかねないだろう。診察時に何を口にしたか、体調の異常に気付きはじめた時の状況を聞くが特に変わったところもなく何が原因なのか見当がつかなかった。


 クリスが院内で話している最中、外で隊員が待機しているところへ突然上空から降り立った人影にざわつくがそこに立っていたのがドーマだと気づき、アリスを呼ぶとドーマを連れてクリスの元へと向かった。


 

 二人が話している院長室へ案内され中に入った。


「失礼します」


「お、着いたのか。すまない急な呼び出しで。グレイブ教授、こちらアシュタル王国のクラエル邸から来ていただいているドーマです」


 ドーマは一礼した。グレイブはクラエルの名前を聞いて驚いているようだ。


「ドーマ、こちらがフォークス病院院長のグレイブ・ベルベット子爵だ」


 クリスの言葉にはっとしてグレイブも挨拶をした。そしてクリスは先程まで話していたことをドーマに伝えた。


「あの、もし可能であれば患者の状態を少し見させてもらいたいんですが大丈夫ですか?」


 ドーマが言った。


「え、えぇ構いませんよ」


 グレイブはそう言ってドーマを病室に案内した。案内した先には四人一部屋の大部屋で軽症患者が点滴を打っていた。


 ドーマはグレイブが声をかけた患者の様子を見る。


(かすかだが生気が濁っている。完全に瘴気に触れてしまっているな)


 病室を出た後ドーマは気になっていたことを聞く。


「ここに来る時上空から川が見えましたが、この町の水の供給源はあの川からになってるんですか?」


「そうですが、どうかしましたか」


「以前違う町の川沿いで毒を持つ植物が発見されました。もうしかしたらあの川周辺にも生息している可能性があります。今すぐ俺が行って見てきます」


「毒!? わ、分かりました。とにかく私共は来訪されている患者を診ておきますのでどうかよろしくお願いしますっ」


 グレイブが言うとドーマは最後に一礼してからすぐに病室を出た。病院から出るとドーマはクリスとアリスに言った。


「どちらか一人は先に俺と一緒に連れて行こうと思うんだが、どっちが来る?」


 ドーマの言葉に二人は反応する。空を飛ぶことができる機会なんてそうそうないだろう。だが調査に出る際分けられている班の内、クリスはリーダーを任せられている。アリスは欲を抑えて同行するのはクリスに決まった。


 そしてドーマはクリスの腕を肩に回し担ぐと地面を蹴り上げ宙へと飛んだ。


 アリスは隊員に指示を出し飛んでいくドーマの後を追った。



 空を飛び、クリスは目を輝かせていた。


「すっげぇ!! こんな景色初めてだっ」


 地面が遠のき町が一望できる高さまで上昇。興奮するクリスを担いだまま飛行していたが物の数分で目的地が見えてきて地上へと下降していく。


 クリスは降り立ってからもまだはしゃいでいる。


「空を飛べるってのはすごいことだなっ! 俺も飛べたらなぁ、本当にあっという間だっ」


「早く行くぞ」


 歓喜するクリスにドーマは言った。ドーマの呼びかけにクリスは本来の目的を思い出し照れ隠しするように咳払いをした。


「そうだな、すまん。捜査に掛かろう」


 改めクリスとドーマは共に川沿いを歩きはじめた。二人は川を挟むように両側に立ち、周囲を注視しながら進んでいく。


 すると何かに気付いたのか、ドーマが急に立ち止まった。


「何だ、この臭い……」


「ドーマ、どうかしたのか」


 ドーマは辺りを見渡す。


「何か臭わないか」


 ドーマの言葉にクリスは首をかしげる。


「臭い……、そんな変な臭いはしないと思うけどなぁ。って、おいっ」


 クリスを余所にドーマは走り出した。クリスは驚きながらも必死に追いかけていく。そして草木が生い茂っている場所まで来た時、クリスもその異変に気付いた。かすかに鉄と、何かが腐ったような嫌な臭いがしてくる。茂みの中を進んでいくとドーマが足を止めた。


 そこにあったのは血を流して横たわる一頭の鹿の死骸だった。


 その死体からは鼻を衝く異臭を放っていた。


「うっっ。なんだよこれ……、獣にやられたのか」


 クリスがえずきながら言う。だがドーマは首を横に振った。

 

「違う、よく見ろ。体に植物のツタが絡んでる。それに開きかけの蕾もある。あの花と同じ物だ」


 鹿の体をよく見ると確かにツタが絡んでいる。獣の爪で切られた傷に見えたものは、元々あった小さな傷口から侵入した植物の根が花を咲かせるために内側から肉が裂かれた痕だった。天に垂れる茎が風もない中ゆらゆらと揺れ、開花寸前の膨れた蕾の隙間から見える花びらは赤黒く染まっていた。


 今この時も鹿の血を吸い、成長し続けている。


「それにしてもこの腐敗臭が酷いな」


 植物の毒が混ざった血液は地面に滴り土の上で道をなして川へと流れ、水の中へと零れ落ちていた。


「おそらくこの鹿はここらの草を食べてるときにでもこの花に触れてしまったんだろう。あるいは花自体を食べているかだな。町で体調不良者が出ているのも毒に穢れた水のせいだ」


 ドーマが言った。


「原因は分かったけどこれ、どう処理するよ」


 クリスが聞く。

 

 ドーマは鹿に手をかざした。


「暴炎(ボルフ)」


 ドーマの手から青く光る炎が飛び出す。その炎は鹿の体を包み込み骨まで焼き尽くし、残り火はそのまま流れて地面に移り血の広がる土や草も燃やしていく。


「魔法か。これで大丈夫なのか?」


 クリスにドーマは言った。


「この場の瘴気を浄化するには火が手っ取り早い。ここで全部焼き払えばこれ以上広がることはないから大丈夫だろう。広さや瘴気もあるからもう少し時間はかかるが」


 そうしていると遠くから数人の足音と二人の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。どうやらアリスたちが追いついたようだ。こちらへ走ってくる。


 アリスは慌てたように言う。


「遠くから煙が上がってるのが見えてたぞ! 何かあったのかっ」


 息を切らすアリスにクリスは状況を説明した。話を聞くアリスや他の隊員も驚いている。ここは三日前に見回りに来ていたがそれから二日間、空いた期間で惨事が起こっていたのだ。


「今はドーマが魔法で処理したからこれ以上悪化することはない」


 クリスが言った。


「けどさ、その死骸の処理はいいとして、川の方はどうなんだ? 町の水はここの水を使ってるんだろう」


 アリスはドーマに聞いた。ドーマも一番の問題はそれだという。


 草や土はドーマの火の魔法で消し去れる。だがドーマには水の穢れを払う癒しの力は無い。水だけでなく触れている側面の岩や川底の土にも毒は付着し穢れていく。


 考えを巡らせつつドーマは言った。


「とりあえず皆はここに残って周辺の確認を。俺は一度病院に戻ってこの事を伝えてくる。お互いの仕事を終わらせ次第王室に戻ろう」


「分かった」


 クリスは頷く。そしてドーマはまた、病院の方へと飛んで行った。


 だがこの日、事件が発生したのはドーマたちの方だけではなかった。







 王室ではリージアが書庫室で仕事をしていた。大量の書類に目を通し気になった人物は過去の書類まで遡って要注意となりうる人物を絞っていく。王室の関係者には他国の業者も含まれるためかなりの数だ。


 現時点で絞られている人物は三人。一人は、ダニアン・カルーザ子爵。もう一人がアルフィン・バロッタ男爵。そして、ジビル・ランバート男爵の三人だ。この内カルーザ子爵とバロッタ男爵は国と契約を交わす裏で不正を働いていたことが公になり処罰されている。


 ここで一緒に調査をしている隊員にはリージアの目に留まった人物の過去すべて交渉関係で残っている書類を出してもらい、それに合わせて家族構成から血の繋がりのある遠縁まで調べてまとめさせる作業でリージアは仕事を進めていく。


 隊員たちには訓練もあるため昼頃にそれぞれ交代するように組んでいる。隊員が引き継ぎをした後もリージアは座ったまま書類と睨み合っている。


 これまで通りの作業をしている時だった。扉が勢いよく開かれ一人の隊員が入ってきた。


「すみません!! 王室の見回り中に何者かと接触し、怪我人が出ました!すぐに来てくださいっ」


 急いでいたせいで息を荒げながら必死に訴える隊員の様子に事態を察したリージアはすぐに立ち上がり急いで部屋を出て行った。


「負傷者はどの辺りだ」


「門を出て裏通りへ入ったところです!」


「手遅れになる前に急ぐぞっ」


 リージアは場所を聞くと風邪を操って隊員の体を浮かしそのままリージアも空へと飛びあがった。


「うわっっあ、はっはい!」

 

 急に体が軽くなって足場が離れたことに隊員は体が縺れる。


 裏通りへと飛び、上空から人が集まってるのが見えてきた。そこへ降り立ち負傷者の元へ駆け寄る。倒れている隊員は足を抑えて蹲っている。


「ニコル! しっかりして!」


 声をかけながら怪我をしているであろう足の上に布を被せて抑えている。出血が酷いのか布が赤く滲んでいた。


 リージアが寄って声をかける。


「おいっ、大丈夫か。しっかりしろ、俺の声が聞こえるか」


 リージアの問いかけにニコルと呼ばれていた男、元いニコラスは苦しみながらも掠れた声で返事をした。かなり憔悴している。怪我の部分が変色し青くなり、浮き出た血管が破裂しそうなほど膨れている。


「毒にやられてるな、すぐに取り除く。意識をしっかりと持つんだ、いいな」


 リージアは呼びかけながら足に手をかざし魔法をかける。薄緑の光に包まれた傷口から黒いゼリー状の固体がどろりと出てきた。


「な、なに……それ」


 出てきた塊は燃えたように塵となって消えていく。


「これは毒が混ざって固まった血液だ」


 リージアは全ての毒を取り除き魔法を解いた。傷は血が止まり、削れた皮膚は盛り上がりほぼ傷が塞がっている状態だ。


「すごい、もうほとんど治ってる」


 隊員たちは安堵で肩を下す。


 リージアは再びニコラスに声をかける。ニコラスは浅い呼吸を繰り返しながらも体を起こすことができた。


「すみません……、ありがとうございました」


 ニコラスは掠れた声で言った。


「よく耐えたな。来るのがもう少し遅かったら間に合わなかったかもな。治療は済んだからこの薬を飲むんだ」


 リージアはポケットから小さな缶を取り出しニコラスにカプセルを一粒渡した。


「そのまま飲み込んで。毒で破壊された体内の細胞を再生する効果がある」


 ニコラスは言われたようにカプセルを飲み込んだ。そしてリージアは次に別の木でできた小箱を出し、中に入っている塗り薬を傷口に塗った。


「痛むか?」


「いえ、大丈夫です」


「治ってるように見えるかもしれないがまだ完治には至ってない。塗ったところはなるべく濡れないようにしろ。この薬が落ちたら傷跡が残ってしまうから、明日まではこのままにしておくようにな」


 それから処置を終えるとリージアは一体何があってこんな事態になったのかを聞いた。


 ニコラス達は見回りをしていてちょうど裏手に入る曲がり角に差し掛かった時だった。瞬きをする一瞬の間に目の前に黒いローブを纏った人物が現れたのだと言う。


「顔は見たか」


 ニコラスは顔を横に振った。


「いや、顔は深く被ったフードで全然見えませんでした」


 その人物は隠し持っていたナイフで切りかかってきた。


「最初の攻撃は何とか避けれたんですけど」


 ニコラスは言う。すると近くにいた隊員も言った。


「俺とハナが近くにいたんですけど、急にニコラスの大声で呼ぶ声が聞こえて。すぐに向かって応戦しようとしたんですけど」


 ニコラスの怪我を布で抑えていた女性隊員がハナだ。ハナは強張った顔で呟いた。


「あいつ……、あれはとても人間とは思えない動きをしてたわ」


 応戦に向かったのはハナとタイガの二人。ニコラスは敵と間合いを開けて睨み合っている。二人も戦闘態勢を取ろうとした瞬間、敵は目にも止まらぬ速さでニコラスに接近した。消えたように思えたその現象に反応が遅れてしまい、敵の振り下ろしたナイフで足を切られてしまった。

 

 ニコラスは倒れ込みタイガが敵に向かって切りかかる。ハナは銃で隙を狙って発砲するも容易くかわされる。離れたところで見回りをしていた隊員も移動中、銃声を聞いて駆け付けた。


 だが敵はハナの銃弾を避けた後、体を煙に巻いて姿を消した。


「俺達が見てる目の前で、姿が消えたんです。風に吹かれて溶けていくように……」


「そうか。分かった、とにかく今日はもう戻ろう」


 話を聞き終えてリージアは言った。ハナとタイガがニコラスを支え、急いで寮へと戻った。




 リージアたちが戻ってから数時間後、帰宅したドーマ、ノア、ダリアを会議室に集めた。初めにドーマが報告をした。町で入院患者が急増したこと、その原因が毒による生活水の汚染によるものだったこと等を話した。今は貯水タンクから少しずつ出しているようだが速やかに穢れを払わなければならない。


 リージアに相談したところ屋敷から持ってきていた薬草を使って魔法薬を作れば対処できるということだった。


「それって時間かかるのか?」


 カトラーがリージアに聞いた。


「会議が終わってすぐに取り掛かれば今夜中にはできるさ」


 リージアは言った。


「ドーマが病院に戻ってる間俺達は周囲の捜索をしたんだが、見つけたぞ。しかも群れだ」


 クリスが言った。


「おそらく鹿が倒れて息が無くなったのは移動してきた先だったんだろう。少し離れた場所にも血痕があってそこに群れで咲いていた。全部切り抜いて処分したが見つかったのはそこだけだな」


 クリスの話にカトラーは重く息を吐いた。


「所々で確認されてるな……。ダリアの方は見かけたか?」


 カトラーに聞かれるがダリアは首を横に振った。今のところダリアの方では初日の一本しか見つかっていない。


「花もそうだが、今日は以前から報告されていた不審人物が姿を出した。これまでの事件の犯人なのか、または同一の犯人が行ったものかどうかは分からないが。今日見周りに出ていた隊員に近づき、居合わせたニコラスと接触した」


 リージアは同席させていたニコラスのことを話した。あれから数時間経ち一人で歩くには辛そうだった怪我はかなり回復しているようだ。


「そいつはフードを深く被っていて顔を確認することができませんでした。けど多分、大柄な体格から見て男だったんじゃないかと思われます」


 ニコラスが言った。


「そういえば、要注意人物として見てるのも学院で警戒している不審者も大体が男だったよなぁ」


 アリスが呟く。


「どちらにせよニコラスの負った毒はあの花の毒と近いものだ。瘴気を放つ毒を扱うのに正体が人間とは考えられない」


 リージアが言った。瘴気に触れれば人間は徐々に体の生気を蝕まれ衰弱していく。ノアは腕組をしたまま聞き、考える。


「俺達のような人間以外の種族の可能性も無くはないが、魔物の方が考えられるな」


 ノアの言葉にカトラーは気にかかった。


「もう悪魔で確定なんじゃないのか?」


「そうだとは思うが一応そのことも注意しておこうってだけだ。ニサの屋敷には魔の力を持つ奴だっている。種族と魔物の間で産まれたり、取り憑かれた自身の魂と魔物の魂が融合……、なんてことも稀にあることだからな」


 ドーマ達も頷き、ノアは続けて言った。


「今後の調査は今まで通り、それぞれの場所に班で分かれて行う」


「え、今日だけでも事件が起きてるのは西の方面だぞ。調査の場所を移動して戻ってきた時に事件が起きてるんだから場所を絞った方がいいんじゃないのか?」


 すぐにセパルが反応した。ノアは言う。


「それもそうだが、逆効果になる。今は事が起きただけで相手の動きがまだ予測できていない。現に敵は学院から王室近くまでに移動している。場所を絞るよりも人数の調節をして班を増やし、調査する場所を滞ることがないようにした方がいい。それに加えてダリアとリージアもテシーバを持つようにして三人が常に動けるよう態勢をとる」


 ダリアとリージアは頷いた。実際に事件が起きてからの対応として、ドーマは速やかに実行できたがリージアの方では王室まで戻ってからになったため時間がかかってしまった。また、重複する場合と戦闘になることも考え三人の情報伝達が早くなれば十分に対応ができるようになる。


「なんというか……ほんと、頭が上がらないな。自分達の限界を思い知らされるというかさ」


 クリスにアリスは呟いた。これに対してダリアが言う。


「もう、またそういうこと言うなよ。リージアの調査も町の調査も皆の情報や知識のおかげで進められてるんだ。皆の知恵が頼りなんだぞ」


 カトラーがダリア達に向かって言った。


「俺達も頼りっぱなしなんてことはしない」


 カトラーの言葉にダリアは笑みを浮かべ手を差し出した。三人もカトラー達を見ている。


 カトラーは強い眼差しでダリアの手を取った。


 


 



 


 


 






 


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