164:龍脈と番
ザッシュ!!!
『ぐぅうう!!』
「・・・やっぱりしぶといね。」
ヴェリエルとユージィンはほぼ互角に渡り合っていった。ユージィンも身体の一部が凍ってはいたが、ヴェリエルもドラゴンスレイヤーで顔や胴体のあらゆる箇所を切りつけられていたのだ。
「さすが、団長・・・」
「あんなデカい竜でさえ、臆することなく・・・すげぇ!」
遠巻きでユージィンと水竜の戦いを見ていた竜騎士達は、団長ユージィンに対して改めて尊敬の念を抱いていた。
(おかしい・・・僕も他人のことは言えないが、ヴェリエルは本気ではないが・・?)
ユージィンはヴェリエルとの戦いの最中、ヴェリエルが本気で戦っていないことに気が付いていた。そしてその理由を思量していくうちにユージィンはあることを思い出した。
『考え事とは余裕だな!!』
ヴェリエルがその隙を狙い、ユージィンに氷のブレスを放ったが、ユージィンはギリギリのところで避けた。
「なるほど、そういうことか。」
『!?』
「時間稼ぎをしているんだね。」
『・・・・なぜそう思う。』
ユージィンはヴェリエルが動揺したのを見逃さなかった。
「いや、だって本気じゃないでしょ君。」
『貴様に言われたくはないな・・・』
「じゃ、お互い様だね。」
そう言いながら、ユージィンはまたヴェリエルに切りかかった。
「イシュタル!!」
『!!』
ダメージを負っていたイシュタルは、足手まといにならないようにと、少し離れたところで、二人の戦いを見ながら、町に被害が及ばないように結界を張っていた。
「ぼくの記憶が正しいのなら、この辺りに龍穴があるはずだ!龍脈を辿ってそれの一番気が大きいところを探してくれ!!」
『あっ!!わ、わかったわ。』
イシュタルもユージィンの言わんとすることがわかったのだ。イシュタルはその気配を探る為集中していたが、
『ちぃ、させるか!!』
だが、それをさせまいと、ヴェリエルは躍起になり、今度はイシュタルに襲い掛かった。
龍穴(りゅうけつ)とは、地中の中にある気のエネルギーの塊のようなもので、そのエネルギーがまるで竜が辿っているような形から龍脈と言われ、龍脈が湧き出るところで、最も噴き出ているところが、龍穴と言われているのだ。そのエネルギーを使えば恩恵にあやかれるのだが、それは良くも悪くも使うことができる為、通常どこに龍脈が通っているのかはわからないのである。だが、今回龍脈は地上に近いところにまで来ていた。その理由は・・・
寸でのところで、ユージィンはイシュタルとヴェリエルの間に入り、ドラゴンスレイヤーでヴェリエルを切りつけたが、傷はまたもや浅かった。
『くっ!』
「龍脈は、黄金期には付き物だったものね。僕もさっきまで忘れていたよ。」
『伊達に、覚醒者ではないということだな・・・』
黄金期、それは『竜の祖』達が、番を得る時期なのだが、それと合わせて龍脈が変化するのだ。そしてその時に、龍脈は実際地中深くだったものが、地上に近づき文字通り浮き彫りといった状態になるのだ。『魔王の欠片』を持つ『器』は元々『竜の祖』の一部であることから、龍脈の辿る場所で番として転生してくるのだ。その為『竜の祖』達が、同じような場所で番を見つけることになるのである。
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